« 『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない』 | トップページ | 『レイセン File6:三人きりのフォース』 »

2013.03.08

『マグダラで眠れⅡ』

マグダラで眠れⅡ』(支倉凍砂/電撃文庫)

読み終えてから思ったのは「これプリンセスメーカーじゃねえか!?」と言うものでした。無垢な少女を思いのままに自分色の染めていく喜びと言いますか。こういう言い方をするとまた良識を疑われそうですが、こういうことを言いつくろってもしょうがない。相手を自分好みに育成していくことの業の深さは、それゆえにこそ甘美であるよな。

クースラとフェネシスの関係は非常にあいまいなもので、恋人のような親密さはもちろんないし、兄妹のような親しみはなく、師匠と弟子というほどの規律もない。まあ、せいぜいが保護者と被保護者の関係というところなのだが、そうやってお互いの距離感を探っていくところが楽しかった。前回は敵と味方(まあそれもちょっと怪しくはあったが)に分かれていたのだが、そこから新しい関係を作るために、歩み寄ってみたり、その結果意外な一面が見えてきて戸惑ったりと、なんとも初々しいのだった(だから、クースラを惑わす魔性としての無垢、とでもいうものは大分薄れてしまっている。もちろんそれが悪いというわけではなくて、別のものを描こうと言うもののようだ)。

そうした二人をつなぐのは、やはり錬金術、と言うか未知なるものへの好奇心とでも言うもので、それを軸にして関係が新しく結びなおされていく過程が描かれているように思う。人間の関係と言うのは、やはりお互いの意思が寄り添うところから始まるもので、それが何かに対する感動でつながるのは、個人的にはすごく好きな関係なのだ。人間、どうせ他者とつながるのならば、自分のもっとも大切なものでつながりたい。そういう感覚が自分にはあって、だからこういうのはすごく読んでて楽しいのだった。

クースラはフェネシスをとても可愛がっているようで、と言ってもそれは小児性愛的なものではなく、あくまでも年少者に対するそれなのだが(いや、小動物に対するものかもしれないが)、彼女に対する責任を自覚している。無力な彼女に生きるための力を与えてやりたいと言う意思がそこにはあって、そしてそれは自分の思いのままに育てることへの欲求もある。この二つを意識して天秤を取っているあたり、主人公の冷静さがわかります。そして、今後、その天秤がどのように揺らいでいくのかにも、非常に興味があるのだった。

|

« 『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない』 | トップページ | 『レイセン File6:三人きりのフォース』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/56871225

この記事へのトラックバック一覧です: 『マグダラで眠れⅡ』:

« 『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない』 | トップページ | 『レイセン File6:三人きりのフォース』 »