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2013.02.03

『僕は友達が少ない CONNECT』

僕は友達が少ない CONNECT』(平坂読/MF文庫J)

今回の話は、小鷹の視点で描かれていた『はがない』シリーズの物語を、他の登場人物の視点から語りなおすという話になっているみたいだ。小鷹が遭遇したヘンテコで楽しい出来事の裏で、彼女たちは何を考えて、何のために行動していたのか。そうした小鷹の視点からではわかりえない物事が描かれているわけね。夜空が何を考えて隣人部を作ったのか、星奈はどうして小鷹に惹かれたのか、理科の本心は、幸村の望みは、そうしたものが赤裸々に描かれていて、言ってみれば『はがない解明編』とでも言うべき内容だった。多くの読者としては、今まで想像することしか出来なかった物事にはっきりとした答えが与えられたことで、嬉しいところなのだろう。

ただまあ、個人的な意見を言わせてもらうと、こういうのは蛇足以外の何ものでもないと思うんだよね。そりゃ確かに小鷹の知らないところで彼女たちが何を考えているのか知りたいという欲望はわかるし、自分の中にもないわけじゃないけど、彼女たちの内面を推察するヒントは本編の至るところにあったわけで、それ以上にはっきりとした答えを出してもしょうがないと思うんだ。もちろん、あの時、あの人がこんなことを考えてこんなことをしていたんだよ、と明かされることで綺麗につながる物語もあるけど、はがないはそういう話じゃないと思うしね。そもそも、他人のことがわからないからこそ、相手をわかろうとする努力が必要になるものであって、それを忘れて答えだけを求めるようになっては、それこそ友達なんて出来るはずもない(上っ面の友達だけなら別だが)。

とは言え、作者の意図としては、これから本格的に物語が動いていく前に、登場人物同士の人間関係を明確にして、読者の混乱を排除しようとする配慮があるんだと思う。これは必要と言えば必要かもしれないけど、どうも読者の知性を相当に低く見積もっている感じがあって(ここまで懇切丁寧に説明しないと理解されないと作者が思っている)、読者としては無邪気に喜んでもいられないと言うか……。まあでもライトノベルとして普遍性を獲得する上では仕方ないかなあとも思うし、否定するつ気はないです。主要な客層である10代に伝わらないと意味ないし、そもそも自分のようなはがないを読んでいるおっさんこそ少数派な気もするし……。あらやだ、予想外の方向から痛撃が。

えっと、答え合わせの感覚で読んだ感じだと、だいたい自分の予想通りでした。まあ、幸村の生い立ちとか星奈の異母姉妹とかああいう新情報(だと思う)を除けばの話だけどね。夜空はわかりやすかったし、理科も8巻で見せた”素”の彼女のキャラクターからすれば納得のいく話だ。そうそう、理科の話は、平坂先生がきちんと”天才の一人称”を描こうと努力しているのが偉いなあ、と思った。テンプレの天才描写に逃げないというか、飛躍と直観に満ちた異質な思考を描こうとしているっていうか。まあ、成功したとは言わないけど。だってそもそも天才の思考形態を凡人が書けるわけないし。これはそもそも成功なんてない取り組みで、だからこそ意味があると思うんだよね。あれ何の話だっけ?

そういや今頃になって気が付いたけど、結局、星奈の内面や動機がはっきりと、”本人の一人称”によって語られてない気がするな?ステラさんの視点や、理科の独白などで星奈という人物の外面は描かれているが、その内面まで切り込まれていないような?これはどういうことだ……?もしかして彼女は真のヒロインか、あるいはラスボスなので今はまだ語れないってことなのか……?予想はいろいろ出来るが、今はまだ判断できませんな。

ところで、次には夜空のフルボッコタイム+覚醒があると予想しているんだけど、平坂先生の事だから多分外してくるかもしれないなあ。自分が「お、アクセル入れるか!?」と思ったとこでブレーキをかけて、「ここは待ちだろう……」と言うところで勝負を賭けてきたりするので難しいです。完全に平坂先生の手のひらの上で踊らされています。まあそれが楽しいんだからオールオッケーです。

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