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2013.02.02

『大日本サムライガール(4)』

大日本サムライガール(4)』(至道流星/星海社FICTIONS)

自分はどうも主人公の態度、なんつーか業界ノリ?みたいなのが気に入らないんだよね。相手をいじって遊んだり、ボケとツッコミの関係を人間関係に持ち込もうとするやり方は、どうも鬱陶しいっつーか(主人公と千歳のやり取りなんか顕著だね)。そういう態度を持っている人って実際にいて、そういう相手にはほとほとうんざりさせられてきた経験があるだけに、主人公のそうした態度が物語中でスルーされていたのはどうも座りが悪い感じがあったんだ。でも、今回は、凪紗に対する主人公の態度のせいで、凪紗がどんどんメンタルを落としてしまう場面があって、別に深刻な描写というわけではないけど、あれがすごく良かったと思う。ああ、作者は主人公の態度に意識が及んでいない(あの態度に対する問題意識がない)というわけじゃなくて、ちゃんと目を配っている人なんだな、別に肯定も否定もしていないんだな、ってのがわかってすごくすっきりしたんだよね。あれのおかげで主人公の態度も個性の一つ(一つというのが重要)なんだと言う感じがする。人間、どんな良い人にも腹の立つところや気に入らないところはあるんだけど、そういうのも受け入れていこうっていう感じにさせられるんだ。

で、ここまで書いて思いついたけど、わりとこれって重要なことなんじゃないだろうか。日毬の思想はあまりにも過激でおいそれと受け入れることは難しいけれども、それがいくつものある考え方の一つとしてみなされているのであれば、自分は日毬の考え方を容認できると思うんだ。それが唯一の真実とされるようになったら、これはもう断固として闘争しないといけなくなっちゃうけど。必要なのは相対化ってことだね。それも自分と相手の二極化じゃなくて、多種多様の考え方の中で、相互に干渉しあうという意味での相対化。それぞれの立ち位置は揺るがない硬直化したものではなくて、むしろお互いがお互いに影響しあいながら、そして影響された側も別のなにかに影響を与えていく。そういう視点をもつことで、お互いの相違を許容しあうことが出来る。お互いの立場が絶対普遍のものだと思ってしまうと、相違そのものが絶対に許せなくなってしまって、結局、どちらかが全面的に譲歩するしかなくなってしまう。そういうのは、自分はどうも好かん。

やっぱりね、どんな物事でもそうだけど、共有できない相違を、相違そのままに受け入れることってのは重要なことだと思うんだ。自分は政治のことは何一つわからない素人だけど、考え方や思想の好き嫌いで判断するのだけは間違っていると思う。バランスはやっぱり大事だ。まあ、バランスだけでも駄目だけど……。自分はそこがいかんのだよな、バランスばかり気にして一つの考え方を突き詰められない。やっぱ脇目もふらないで進む集中力も大事だ。でも、そればかりやっていると視野狭窄になるのでやっぱりバランスが(以下無限ループ)。

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