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2012.12.09

『魔法少女育成計画 restart (前)』

魔法少女育成計画 restart (前)』(遠藤浅蜊/このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女たちが出てくるバトルロワイヤル(映画にもなっている小説のやつね)だった前回の続編となると、焼き直しにならないようにするのは大変だろうと思うのだが、今回読んだ限りでは割合上手くやっていると思う。今回はどちらかというとネットワークゲームとしての要素が強くなっていて、ゲームに興じている魔法少女たちの背後に陰謀が走っているという、まあそれだけ見れば目新しさはまったくないところではあるんだけど、なんと言っても大量に出てくる魔法少女たちの物量によってなんか上手く行っている感じがする。

大量に出てくるにしてはそれぞれのキャラクターはきちんと動いているしその動機や行動までをかなり明確に描いているので、決して十把一絡げな扱いにはなっていないのが良いですね。と言うか序盤であっさりと命を落とすような魔法少女であっても、その意思や想いというのはちゃんと描かれているのはけっこうすごい。死んでいった魔法少女にもそれぞれに抱えていた人生があって、そこで屈託やそれでもあきらめきれない夢があって、そういうものを抱え込んで生きている感じが、決して通り一遍ではない描き方がされている。こういうのはわりと好きだ。

そして彼女たちの人生を、彼女たちの想いを体現する”魔法少女”という象徴があることで決して”重すぎない”ところも技巧的だと思う。魔法少女とは、彼女たちにとって良くも悪くも人生そのものであるので、魔法少女の外見的、能力的な描写をするだけで、けっこう彼女たちにを描くことにも繋がっているわけですね。大量のキャラクターを処理するための方法として、前作でも上手いなーと思っていたけど、今回も良かった。やっぱりぶち殺される女の子はちゃんと魅力的に描かないといけないよね(下種な笑顔)。

そして今回の話で登場人物たちは目の前の悲劇に対してそれぞれのスタンスを決めていくことになって、覚悟のあるものは立ち向かい、無いものは逃げ惑い、強いものは戦い、弱いものは踏み潰されていく後編につながるのでしょう。舞台は出揃った感は、やっぱりにいいね。下手をすると始まる前よりも楽しいが、こういうのは始まるから楽しいんだ。後編の開幕が楽しみです。

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