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2012.11.25

『独創短編シリーズ 野﨑まど劇場』

独創短編シリーズ 野﨑まど劇場』(野崎まど/電撃文庫)

とにかく作者の過剰なサービス精神が発露しているショートショート集だった。サービス精神というよりいかに読者の意表をつくかを考えているだけのような気もするけど、もちろんそれこそがサービス精神というもの。意表をつきすぎてコメントに困る作品も多いが、多いというかほとんどがコメントに困る作品ばかりだけど、それはそれで楽しいものだ。なんと言うか作品についてすべて語りきることが出来る作品も悪いものではないが、なにをどう語ればいいのか分からないような作品は、どこか自分の中で熟成させていくような楽しさがあって良いと思うのだ。

まあ、この作品については必ずしもそうとも言えないところがあって、なんと言うか熟成させることが楽しさに繋がるのか良く分からないところがある。別に深読みするような話はあんまりなくて、一発芸のような作品と言っても良いのかもしれない。一発ぶち上げて、そのド派手さを楽しむような、そういう付き合い方もありかも知れない。などと言うことは実はどうでもいい。作品について語りにくいものだから、つい話がわき道に入ってしまうな。いかん、いかん。

まあ、個人的な趣味の話で言うと、そんなに技巧的という感じでもない気はする。さっきも書いたけど、読者を驚かそう、意表をつこうと言う意識が強く出すぎていて、”あざとい”と言うか、作者のドヤ顔が浮かんでくる感じがあるのだ(いや、勝手な想像だけど)。まあでも、むしろ作者はこうやって読者の意表をつくことが大好きなんだろうなあ、今まで書いてきた作品も、きっとこういうニュアンスで書いていたんだろうなあ、と思うとなかなか興味深くもある。短い分、作者の嗜好がもろに出ているんだろうな。

どれもコメントに困る作品ばかりだったけど、一番コメントに困ったのは「土の声」…いや「TP対象性の乱れ」も捨てがたいな。どれも読み終わった後に言葉が出てこないと言うか、言葉にする必要が無い感じの話だった。好きという意味だと「ビームサーベル航海記」かな。これは途中の展開も良かったし、オチまで含めて端整に出来上がっている。そしてなんかの反動があったのか「魔法小料理屋女将 駒野美すゞ」のアレな感じも嫌いじゃねえです。終わり。

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