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2012.09.27

『RPF レッドドラゴン(2) 第二夜 竜の爪痕』

RPF レッドドラゴン(2) 第二夜 竜の爪痕』(三田誠/星海社FICTIONS)

相変わらず読みものとして普通に面白い。プレイヤーたちがすっかり自分のキャラクターを主人公にした話を作り始めているが面白いのだが、これはやっぱりプレイヤースキルに極端に依存する形式なので、どう足掻いてもTRPG文化の再興というわけにはいきそうもないのだが、ここに至ってもゲームルールを開示しないあたり、まずは読みものとしてのTRPGを見せていくつもりなのかもしれない。あるいは最初からそっちをイメージしていなくて、あくまでも物語の手法の一つとしてTRPGを使っているということなのかもしれない。正直な話、この形式で発展性があるとはまったく思えないのだけど、きちんと完結してくれることを願います。

成田良悟が担当する禍グラバというキャラクターは超絶金持ちの権力者と言う立ち位置なので、半ば物語世界における黒幕的な立場のプレイヤーという非常に面白いキャラクターだと思う。はっきり言って彼が作品世界で行使できる権力には相当なものがあって、具体的に言うと国家間の経済を動かすレベルの力がある。そんなキャラクターをプレイヤーとして動かしていくとなると、あっさりゲームマスター(いや、フィクションマスターか)を離れて暴走してしまうのが普通のTRPGだけど、このRPFではそういうものではなくて、あくまでも”物語を作る”という事が第一義になっているため、成田良悟もそこまでむちゃくちゃなことはしない。と言うより、FMと半ば共謀して物語を動かしていくことになる。このあたり、本当に即興劇という印象があって、それぞれのプレイヤーがお互いに見せ場や伏線を仕込んでいくところがやたらと高度なことをしているな、と思った。

いろいろ好き放題に動いている虚淵玄のキャラクターも、あれはあくまでもキャラクター性に忠実に動いているだけであって(むろん趣味という事もあるんだろうけど)、本当に場をむちゃくちゃにすることはない。今回登場の成田良悟とは、お互いの行動を抑止しながらにらみ合いを続けている感じになっていて、すげーな、と。一方、奈須きのこの竜騎士は、能天気なキャラに設定してしまったせいで、二人の行動にぜんぜんついていけてなくて、プレイヤーはなんとか回避したいんだけど、キャラの性格を捻じ曲げて行動するようなことはしないため、どうしても翻弄されてしまうところも、きちんとキャラとプレイヤーを切り離してプレイしているのはさすがですね。紅玉いづきとしまどりるは……もうなんか二人だけの世界でいちゃいちゃしているんだけど、これは一体…。ひょっとしてTRPGでガチの人間ドラマをプレイヤーパーティ内でやろうとしているのだろうか?ここまで来ると完全に劇と言うか、先ほど書いた即興劇というのは比喩ではないレベルになっていて、そういうところが”物語を作るためのTRPG”という事なのだろう。

ところで少し気になったんだけど、ひょっとしてプレイヤーたちもルールを完全には理解していないのかな?FMが状況に応じて適宜ルールを小出しにしているみたいだけど、これは完全にFMの公平性が確保されていないと成立しないよなー。とは言え、ルールでガチガチに縛ってしまうと、今度は”物語を作る”という前提が崩れる可能性があるので、このあたりは臨機応変にやるしかないんだろうな。

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