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2012.09.26

『おまえは私の聖剣です。(2)』

おまえは私の聖剣です。(2)』(大樹連司/GA文庫)

相変わらずメインヒロインである咲耶花が本当に駄目駄目と言うか面倒くさくって良いと思う。人並み以上に責任感があって決断力もあるのに、一兎のことになると判断力がめちゃくちゃになってしまうというところが可愛いよね、って言う。普通のライトノベルなら可愛げがあるで済まされるんだろうけど、この作品の場合、生きるか死ぬかの状況でそれが起るので、まったく洒落になっていないのだった。

個人的な感覚で言うと、この作品で一番面白いのは、そういう咲耶花というヒロインの描き方だと思っていて、彼女はいわゆるライトノベルテンプレ(お嬢様で戦闘美少女でツンデレ)をいろいろ詰め込まれていながら、一兎との間にテンプレ的なラブコメが発生していない、あるいはラブコメ的誤解とすれ違いがバトル面にも反映されているという事かもしれない。つまり、ラブコメの誤解やすれ違いと言うのは本当に理不尽でありえないところから誤解を引っ張ってくることがあるのだけど、ああいう理不尽さが生死をかけたバトル面にも反映されてしまっていることでラブコメの持つ面倒臭さがより強調されている感じがするのだった。

別にラブコメをディスっているわけではなくて、人間の感情は基本的に制御できるものではないという事で、生きるか死ぬかの状況に陥っていたとしても、ふとした拍子に気になる少年が他の少女とキスするのに抵抗を覚えてしまうという、どうしようもなさが描かれているように思う。もしかしたらその逡巡で仲間が死んでいた可能性もあるとしたら、こんなことで死んでしまう仲間こそが悲惨と言うものだけど、それでもやっぱりそういう悲惨さには、ある種のリアルを感じるのだった。

さらに言うと、物語の中でさんざん悩んだ挙句、自分の中で感情を整理した後に即座に”告白”という行動をしたところもなかなか良くて、作中でも咲耶花が自己言及していたけど、普通のライトノベルならばここからさらにツンデレる(動詞)ことがお約束みたいになっているところを、果断に決断していくところは、パターンにはめ込みたくない作者のこだわりが感じられるのだった。

(もっとも最近は”パターン破りと言うパターン”もあって、この告白もその範疇にあるといえなくもないのだが…まあ、難しいところだと思う)

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