『あるいは現在進行形の黒歴史(8)キモウトのシナリオで俺が嫁?』
『あるいは現在進行形の黒歴史(8)キモウトのシナリオで俺が嫁?』(あわむら赤光/GA文庫)
第二部開始ということもあって、物語の目的そのものが変化していくようだ。前巻までの目的はあくまでも”ヒロインの攻略”にあったわけだが、今回からヒロインたちと協力して”敵”と戦っていく形になるのだろう。ただ、第一部で死神と幽霊という物語から始まりながら”まったく別の物語で上書きする”ということをやった作者のことだから、もう少しなにかあるのかもしれない。この作者は、なんと言うか、そういう”舞台”に対して非常に自覚的である感じがあって、次はどういう”舞台”を見せてくれるのかとても楽しみなのである。
ヒロインたちとの契約?みたいなものは前回で一度切れているので、今回から再び再契約をしていくことが当面の目的になるようだけど、はっきりいってヒロインたちは全員主人公にベタ惚れ状態なので、再契約自体はつつがなく行われることになると思う。そこで登場するのか今回の敵になるわけど、まあネタバレを気にしていては何もかけないので書いてしまうが、今回の敵は主人公によって幾度か言及されていた超優秀な兄なのだが、彼は本気で日本転覆を目論むことになって、ヒロインたちの再契約の障害になっていくのではないかと思われる。ただ、気になるのが、今回現れた四天王の一人が倒されたわけだけど、四天王がそれぞれ一冊の敵役になるとしても、再契約するためには数が足りないんだよね。兄貴を含めても、五人のヒロインと再契約したら話が終わってしまう。これは切り札か黒幕が出てくるフラグだろうかね。まあ、その辺は今後の楽しみに取っておくことにする。
しかし、日本を転覆してしまった兄貴には、いかにもラスボスの風格が漂っているわけだけど、見方を変えれば、またしても家庭の兄弟の問題に過ぎないとも言えるわけで、楓子といいなんと迷惑のスケールがでかい兄妹なのかと感心してしまう。間違いなくお前たちは日本一迷惑な兄妹だ。複数のバトルヒロインでハーレムを作っている主人公も大概なので、ようするにこのご家庭の構成員は全員超人ということなのだろう。話が逸れたので戻すけど、そういうご家庭の話に終始していくのなら、第二部の目的は兄との和解、あるいは決別となるのだろうが、兄貴の内面がさっぱり分からないので、このあたりも保留にしておきます。主人公の兄貴コンプレックスは深刻なものがあるので、”主人公の物語”としてはかなり強く出てきそうな気もするけどね。
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