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2012.08.21

『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金(3)』

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金(3)』(鳳乃一真/ファミ通文庫)

この作品で自分が気に入っているところの一つに、キャラクターが多彩で魅力的であることなんだけど、自分の思う”魅力的なキャラクター”と言うのは、”関係性”が描かれているかと言うことでもある。まあ、”関係性”という言葉をわりと自己流の意味で使っているため、ちょっと大袈裟に捉えられてしまうような気がするので、もうちょっと説明すると、心情的、あるいは立場的に異なるキャラクターたちが交流することで生じる”変化”が描かれている、という事だ。

これまた個人的な見解になってしまうのだけど、自分は”関係性”と言うのは”変化”の中にしか存在しないものだという感覚がある。つまり、キャラクターの設定(性格、背景)は確固としたものがあるとしても、それだけでは関係性は生まれなくて、多くのキャラクターが交わることで生まれる葛藤によって、それぞれの持つ”設定”、つまりキャラクターの心情や立場と言ったものが”変化”していく。その変化こそが、自分の思う”関係性”であって、そこには”関係”そのものはそれほど重要ではない。友達だったり敵だったりというのは関係性の一側面であって、それはいくらでも変化するものなのだ。

この作品にはそういう変化している関係というのが描かれているような感じがあって、つまり、キャラクターの関係を”設定”で語るのではなく、それぞれの交流の上で自分の立場を決めていくような物語の流れに身を任せているような印象があって、そういう”動き”のある描き方がとても好ましいのだった。(まあ、これは勝手な思い込みであって、作者すでにキャラの関係を決めている可能性もあるけど、それはそれでかまわない。)

キャラクターがとにかくいっぱい出てくる作品は、ただキャラクターが多いというだけで独自の力学が発生してくるものだけど、それをきちんと関係性を描いてくれる作品となると、これはライトノベルでは多くない。大抵は関係性を制限することで物語を描こうとする傾向があって、それを乗り越えているだけで、自分なんか喜んでしまうのだった。

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