« 『銀のプロゲーマー』 | トップページ | 『あるゾンビ少女の災難Ⅰ』『あるゾンビ少女の災難Ⅱ』 »

2012.07.25

『魔法少女育成計画』

魔法少女育成計画 』(遠藤浅蜊/このライトノベルがすごい!文庫)

今のご時勢で魔法少女ものをやると、どうしてもまどかマギカの影響を疑ってしまうのだけど、意外なことにそうでもなかった。どっちかと言うとバトルロワイヤルの影響下にある作品だった(と言うだけにネタバレになってしまうような気もする)。もっとも、まどかマギカがなければ問題作扱いされたかもしれないし、あるいは読者が受け入れられずに無視されていた可能性もある。良くも悪くも、まどかマギカ以降の受け手側には受容が出来ているという事で、その意味ではやっぱりまどかマギカの影響下にはあるのだろう。

まあ、そんなことはどうでも良くて。バトルロワイヤルの系譜と言うだけあって、キャラクターの持っている命の価値が極端に低くて、もうなにか事件が起こるたびにボロボロと魔法少女たちが死んでいく。さすがに死に方にはいろいろあって、状況を理解出来ないままに死ぬもの、信念に準じるもの、愛情のために死ぬもの、絶望から死ぬものなど、いろんなのがいる。あるキャラクターが予想外の死に方をしたり、極限状態の中で隠されていた本性が明らかになったりと、立場がどんどん変化していくところも良いと思う。

特に魔法少女育成計画と書いておきながら、実際に”少女”である魔法少女がほとんどいないのが面白かった。もはや”魔法少女”と言うのはホンモノは存在せず、魔法少女に憧れる人たちによって生み出されているのだと。そこは過剰にデコレートされた偽りの”少女”たちであって、彼女らにとっては失われた(あるいは得られなかった)少女時代の代償(あるいは消費)としてしか”魔法少女”は存在し得ないようにさえ思える。それゆえに、彼女らの持っている”魔法少女観”はさまざまで(彼女たちの青春の投影だから)、それぞれが対立していく。だから、彼女らの戦いとは、彼女たちそれぞれの持つ”魔法少女観”のぶつかり合いともいえるわけで、もはや統一的な魔法少女像というのは存在していない、と言えるのかもしれない。それゆえに彼女たちの戦いは凄惨となるしかなく、どこまでも現実そのままの世界が幻想の世界でも繰り返されるのだ。

|

« 『銀のプロゲーマー』 | トップページ | 『あるゾンビ少女の災難Ⅰ』『あるゾンビ少女の災難Ⅱ』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/55277480

この記事へのトラックバック一覧です: 『魔法少女育成計画』:

« 『銀のプロゲーマー』 | トップページ | 『あるゾンビ少女の災難Ⅰ』『あるゾンビ少女の災難Ⅱ』 »