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2012.06.01

『棺姫のチャイカⅣ』

棺姫のチャイカIV』(榊一郎/富士見ファンタジア文庫)

このシリーズは感想を書いてなかったけど、ちょっと興味深い展開になってきたので書いて見ます。と言うのは、どうもこれ”偽物”についての話っぽいんですよね。偽物って言えば、最近だと西尾維新の”偽物語”とかあったけど、ようするにああいう話です。”偽物”とは”本物ではない”と言うこと、ならば偽物には価値はないのか?本物が出てくるまでの代替品でしかないのか?ならば、偽物として生まれたものは、なんの意味があるのか?と言う話。

結論から言ってしまえば、どうやらヒロインであるチャイカは、ガズ皇帝の娘であると言う触れ込みだったけれども、その意味が揺らいで来ています。チャイカと容姿がそっくりな、名前も同じなチャイカという少女が現れて、自分こそがガズ皇帝の娘なのだと語る。まあ、チャイカ自身の記憶も怪しいし、年齢も合わないということで、チャイカが偽物であるという複線はもう露骨にはられていたわけですが、どうもこの感じからすると偽物どころか、まともな人間でさえないと言う感じもあって、このチャイカたちは完全に本物の代替品としての存在のようです。

そうなると、次は、ただ本物と代わりでしかない偽物たちは、果たして本物と対峙したときに、どのような決断を下すのか、と言うところになるわけですね。本物と偽物というテーマは、最近の自分の中ではホットな話題なので、榊先生がどのような決着を持ってくるのかとても楽しみですね。あるいはそこを決着点にしないで、その先を持ってくる可能性もありますが、まあ榊先生は、アクセルを踏み抜くよりも堅実にブレーキをかけるタイプなので、そこまでは期待しないでおきますか。

一番つまらない決着は、アイデンティティが揺らいだチャイカが、他者(トールとか)の承認を経て復活すると言うもので、正直、他者に依存した結果の自己確立は勘弁して欲しいところですね…。まあ、否定するつもりはないけど。でも、その他者がいなくなったらどうするつもりだという感じがするしなあ。あと、偽物だと思ったけど実は本物だったぜ!という展開もありえるが、これはこれでどう展開するの興味深いのでOK。本物なんていなかったんや!と言う展開も現代性があって(まあ新鮮味はないが)悪くない。どうするんだろうねー(超無責任)。

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