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2012.06.19

『六花の勇者(2)』

六花の勇者(2)』(山形石雄/スーパーダッシュ文庫)

前回は閉鎖空間における犯人当てという推理物としてシンプルな話だったのだけど、今回はそれに凶魔との死闘が加わっているため、非常に忙しい内容になっています。とは言え、バトルファンタジー+推理というコンセプト上物語の要素が混在するのは当然なのでそれ自体は問題はないものの、物語の後半ではそもそも誰が善で誰が悪なのか、と言うところからして疑問が差し挟まれていて、物語はさらに混雑してくることになりそうです。楽しみですね。

今回の”犯人”は山の聖者ことモーラさんで、それは冒頭で示されている。物語は彼女がいかにして犯人になり、いかにして犯行に及んだかが描かれているわけですが、彼女が犯行に及ばざるを得なくなるように布石が打たれていく展開がきちんとしているのが良いと思いました。モーラも決して座して見ているだけではなくて、いろいろと手段を探っているのに、それでもどうしようもなくなっていく、という追い詰められ方がきちんとしている。それだけで安心感がありますね。それがないと、後半のちゃぶ台のひっくり返し方が生きてきませんからね。もともとモーラさんは真面目で融通の利かないタイプであることは前回で十分に示されていたので、その意味でも説得力がありました。

そしてモーラさんの話を主軸にしつつ、”七人目”の存在や凶魔たちの社会、ナッシェタニアの意図などが提示されていて、ある程度明らかになったものもあるけど、よりいっそう状況を複雑にしているものもある。とくにナッシェタニアの意図については、まあ明らかになっているものは少ないけれど、どうやら凶魔の主軸とする考え方からは離れた意図らしくて、徹底的に人間と対決する陣営からは切り離されているところを見ると、ひょっとしてもうちょっと妥協的な態度なんだろうか?まあ前回は完全にアドレットたちを殺そうとしていたけど、それがイコール人間に敵対するとは限らないしね。とにかく、人間VS凶魔、という単純な図式ではないということを考えると、いろいろと振り出しに戻った感じがありますなあ。そもそも”六花の勇者”ってのが具体的に何をするのかも良く分からんし……。あと、ゴルドフの言動と行動がいちいち危なっかしくて、単に落ち込んでいるのかそれとも意図があるのか裏読みしてしまいたくなるところもあったりして、ああ作者の手のひらで踊っているなー自分、と思いました。

結論、良く分からんですが、登場人物たちがひたすら自分の限界を突き詰めて選択している感じがすごく楽しいので次も楽しみにしたいと思います。

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