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2012.06.06

『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金(2)』

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金(2)』(鳳乃一真/ファミ通文庫)

探偵と怪盗の物語になっていて、この物語は現代的に語りなおした探偵小説なんだ、と改めて思った。ミステリ的な要素もあるけど、どちらかと言えば探偵と怪盗の対決がメインになっているところとか、そう感じる。探偵と怪盗の勝負が事件についてのアプローチの仕方が勝負の要点になっているところなど、現代的なカスタマイズがとても丁寧なのも好感が持てる。主人公の怪盗がいかにして登場人物たちを騙くらかしていくというところの爽快さとか、それでいて敵役やライバル役や被害者役の人たちと過剰に対立関係を煽る事のない仲の良い関係とか、読者がストレスを感じるところを上手く処理していて、読んでいて心地よいのだ。

もちろん探偵と怪盗の直接対決こそがこの物語のキモであることは間違いなんだけど、一方で、その対決のあり方、敵役としての立ち位置の作り方に、良い意味で深刻な感情はなくて、どこか超然とした感覚がある、と言うことだ。裏切っても、命を狙いさえしても、それでもお互いに絆がある、と言う感じ。これは確かに昔読んだ探偵小説における探偵と怪盗の特別な絆を思い起こさせるものはあるし、それとはまた別の、ライトノベル的な仲良し空間みたいなお約束とも取れるわけだけど、その両者を上手く組み合わせて料理している感じがあって、作者は小説についてとてもよく考えている人なんだろう。

そういえば、一巻では”騙し”のやり方が面白かったのだけど、種の割れた二巻目以降だとどうなるのだろうと思ったのだけど、まったく問題なかったね。むしろ安定感さえ漂う洗練されたやり口。主人公がなんらかの形で”騙す”ことは予想通りだったわけだけど、予想通りだったのが陳腐と感じられることなく、きちんとエンターテインメントになっている感じがする。これはきっとキャラクターの描きが良かったというところもあるのだろうし、最初に書いた過剰な対立関係のない関係の面白味とかもあるんだろう。そういうところの”楽しさ”は、自分の好きなところなのだった。

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