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2012.06.15

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(10)』

俺の妹がこんなに可愛いわけがない(10)』(伏見つかさ/電撃文庫)

京介くんは良い意味で大人っぽいところがあって好感が持てるのだけど、クライマックスのネゴシエーションシーンで、相手を不用意に追い詰めすぎないところなんかが特にそう思う。相手がどんなに自己中心的であっても、認めるところは認めて追い詰めすぎないようにしていて、まあ盗人にも三分の理じゃないけど、どっかで相手が収まる場所を作るところがいい奴だなーって思う。まあ、交渉ってのはそういうもので、お互いに納得できる妥協点を探るものだから当たり前だけど、基本的に子供な登場人物が多い話だけに(麻奈実は別だけど)、ちゃんと年上らしいことをしてんな、って思う。いや、こんな交渉事に強い高校生なんて滅多にいないけど。

説教を食らわせて相手を説得するという意味で、さらに説教した相手でハーレムを構築していると言う点で、禁書目録の上条さんが思い起こされるわけですが、あの人に比べると京介くんは己の理念と言うのがないのでそういうことになるのだろう。まあ、それは人間のスケールが小さいから相手に自分の影響を強く押しつけることが出来ないということでもあるのだろうが。でも、必ずしも”勝つ”ことが”正しい”わけじゃないしね。負けることが出来る京介くんは、これはこれでたいしたものだと思うわけですよ。こういうヒーローがいてもいいんじゃないかな、などど今まで思っていたけど書きそびれていたことを書いてみました。

しかし、もう十巻かー。こんな長丁場になるとは思わなかったな。実を言うとこういうオタクを自己肯定するような作品にはあまり良い印象を持ってなかったんだけど、この作品には、オタクという存在は良いところもあるけど悪いところもあるというバランス感覚(特に二巻以降)があったので、そのうち気にならなくなったのよね。むしろ”オタクでも一生懸命に生きている”みたいな、そういう真面目な印象が強くなってきて、良い話だなーと思う。ま、ホントにこいつら気持ち悪いけどね!(自虐)でも、それでも生きていてもいいんだ、生きる権利はあるんだ、と言うようなものは、存外切ないし、けなげなあり方だと思うんだ。そういう自己嫌悪と自己否定の闇の中に囚われた人間が、それでも前に進む話って、僕は好きなんだよね。

あと、こういう話が”好き”だと言えるようになったのは、実はこのシリーズのおかげなところもあって、けっこう僕の考え方にも影響をもらっている。そういう意味でも感謝しています。次からは新展開ということだけど、これからも学ばせてもらいたいと思っています。かしこ。

 

しかし、なんで自分はまとめみたいなことを書いているんだろうな……。

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