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2012.05.26

『蘭陵王』

蘭陵王』(田中芳樹/文春文庫)

南北朝の時代には不勉強なので、蘭陵王、正確には高長恭という人物は、美貌のせいで兵の士気が下がるのを恐れ仮面をつけて戦場に出たという話ぐらいしか知らなくて、おかげで素直な気持ちで読めたのだった。

まあ、暗君に仕えた名将だけに、とにかく悲惨な一生というしかないところなんだけど、田中芳樹の文体には重苦しい真剣さというのからは外れた軽さがあって、非常に爽快な話になっている。まあ悲劇には違いないんだけど、それもまた一つの生涯よね、みたいな感じ。一応、本人的には納得しているみたいだし、それをどうこう言ってもしょうがないし。ある意味、すごく突き放した書き方をしているんだけど、田中先生のそういうところは嫌いじゃないのだった。人間の生涯なんてものは、どんな英雄であっても膨大な時間の中では微生物みたいなものだ、でも微生物もみな生きている、みたいな、そういうのだ。

で、高長恭という人物、前述の逸話の影響でちょっと柔弱っぽい印象を持っていたんだけど、これを読んだ限りだと名将と言って良いみたい。少なくとも、同時代の北斉と北周の中では彼に比肩する武将はいても、凌駕するレベルはいなかったようだ。暗君に目をつけられないようにするためだろうけど、名声に比べてつつましく生活もしていたようだし、美女にも酒にも溺れなかった。しかも、なんと言っても史書(まあ公式の歴史だ)にさえ超美形と書かれるあたり、少なくとも当時の美的感覚からは誰もが認める美形だったわけで、おいこらなんだこの完璧超人は。まさに歴史が認めるチートキャラといった風情だ。

主人公があまりにも完璧すぎるために、どうも高長恭自身の物語としてはあんまり動かなくて(歴史縛りがあるからしょうがないけど)、半ばオリジナルキャラである徐月琴が狂言回しとして動いている。田中芳樹ヒロインらしく、あんまり女性的な情念のないキャラクターで、高長恭の愛妾になったりしながらも、カラっとした印象になっています。あるいは彼女の視点から見ているから、ここまで湿度の低い物語になっているのかなあとも思いますがそれはさておき。最初は人間的な情念がなかった彼女が、高長恭の最期が近づくにつれて人間的なところに降りてくるあたりが面白いところだった。彼女が”人間”になったところで、物語はばっさりと終わっているあたり、なるほどなーという感じがしたのだった。

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2012.05.25

『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金(1)』

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金(1)』(鳳乃一真/ファミ通文庫)

言い方は悪いけれども、西尾維新の流れを正しく受け継いでいるという印象がある。まあ、西尾維新フォロワーってのは、もう本当に雨後の筍並にぽこぽこあるんだけど、この作品の場合、きちんと自分の作風に取り入れている感じがあって安心感がある。

安心感という意味では、実に新人離れしているというか、キャラクターの行動と動機が密接に結び付いていて(まあ、探偵の子はいまいち良くわかんないけど、あれは分からないというキャラクターだから良いんだ)、それでいて意外性もちゃんとある。最初は分からなくても後で考えれば矛盾なく説明できるというのは、キャラクターがきちんと動いている証拠だと思う。

などと分析的なことを書いてみたけど、実は自分でも良く分からんレベルでこの作品が好きだ。まあ、ものすごい好き、という感じでもないのだが、なんかこう、ただ好きだなあこれ、みたいな感じ。たぶん、キャラクターがものすごく魅力的に動いていて、魅力的というのは萌えるとか可愛いとかそういう意味ではなく、あるいはキャラにブレがないとかそういうのとも違っていて、要するに”生きている”って感じがあるんだ。

それはつまりキャラクターが読者の予測や予想を逸脱する瞬間があるということで、こっちがだいたいこういう奴なんじゃないかな?って思っているキャラクター像を、ときどき凌駕する瞬間がある。主人公が読者の知らないところで動いていることが分かった瞬間とか、探偵の女の子の真意とか、とにかくキャラクターを構築する流れというものから、わずかに逸脱するところがあって、こちらが予想しているよりも少しだけ頭良かったり逆に隙があったり、そういうのっていうのが好ましいと思う。

まあ、こういう書き方は、巻を追うごとに読者の裏をかくことは難しくなるだろうし、どうなるかわかんないんだけどね。

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2012.05.22

『プレーンソング』

プレーンソング』(保坂和志/中公文庫)

なるほどこれがデビュー作か、という印象。今現在、『カンバセーション・ピース』を読んでいるんだけど、なるほど最初にこういう作品を書いているのなら、今はああいう作品を書くのも納得だな、という感じ。いや、どんな感じなのかよくわかんねーけど。

この頃の作品と最近の作品を比べてみると、まったく違うようにも、それほど変わっていないようにも思うのだけど、まあ、最初からエンタメ精神はまったくない人なんだな、ということだけははっきりと分かる。途中で本人なりにエンタメ精神に目覚めたのか、ちょっと奇を衒ったことをやってみたけれど、『カンバセーション・ピース』あたりになると、またエンタメから離れている感じ。ただまあ、エンタメ精神に欠けていると言っても『プレーンソング』の方はエンタメに”ならないようにする”という気負いみたいなものがあって、意識的に”波”を排除しようとしている感じがする。まあ、単なる印象だけどね。最近の作品にはそういう感じはしなくて、ナチュラルにエンタメになっていないという印象があって、なるほど、こういうツッパっている時代もあったんだな、と勝手に納得したのだった。

『プレーンソング』という作品について書くと、見事なまでに日常の話で、何人かの男女がグダグダと共同生活をしているシーンが延々に続く。まあ、退屈といえばとても退屈な話なんだけど、日常系の話というのはむしろそういう退屈さこそを楽しむ話であって、主人公たちがどうでもいい話を、しかし、とても楽しそうに語るのを眺めるという意味で、日常系アニメやライトノベルを思わせる面白味があるようにも思える。もっとも、その題材が競馬の話だったり猫の話だったり、あるいは映画の話だったりするのだけど、そうした会話が関連性を持ったりそうでもないようなゆるい影響を与えながら、続いたり続かなかったりする。そういうところにある種の”リアルさ”というのを自分は感じていて、そのリアルさを感じるのは、自分が意識というのは連続していないという感覚のせいだろう。昨日の自分は今日の自分に影響は与えているけれど、昨日の自分が今日の自分とイコールではない、という感覚。たぶん”日常”ってのはそういう非連続的な瞬間の積み重ねであるという意識があって、だからこの作品における会話のゆるいつながりにリアルを感じのだろう。

そういう非連続性というのは、ある意味あいまいというか地に足のつかない感じがあって、ちょっと自分でもどうかという気もしているのだが、そういう浮き立った感じこそが幸福なのだ、という意識もあって、うーん、まあ。いいじゃん、別に。

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2012.05.21

『背約のキャバリアー』

背約のキャバリアー』(六塚光/一迅社文庫)

主人公が事件にかかわる動機が強すぎず弱すぎず、適正な感じがあるのが好ましい。「何が何でも困っている女の子を命に代えても助けよう!」みたいな突き抜けたヒーローという感じでもなくて、だからと言って「女の子の仲良くなってあんなことやこんなことやー」みたいな(まあこんな主人公はあんまりいないが)軽いものでもないし、しかし消極的というよりは前向きに姿勢がある。つまり中庸ということなのだが、前のめりな、悪い言い方をすると異常な義侠心みたいなものとは無縁の感じが、まあなんと言うか、安心感がある。

あまり熱血すぎたりテンションが高すぎるノリについていけないおっさんにとっては、誰かを助けるために頭に血を上らせて叫ぶ、みたいな感じはちょっと勘弁して、というところがあって、むしろ「彼女が困っているなら助けて上げたいなあ」という感じの(あくまでも例えだけど)乾いたところの方が、とても信頼感のあるものに思える。あんまり熱血に叫ばれると、お前本当に覚悟あんの?なんか誤魔化そうとしてんじゃないの?みたいな、ちょっと嫌らしい感情が湧いてきてしまうのだ。

その点、この主人公の”動機”のあり方は、いわゆる強引なところがあまり感じられなくて、とても信頼が出来る気がする。まあ、好みの問題だろうと思うのだが、いわゆる分を弁えているというか、自分に出来る勇気を振り絞っているように感じられるのだ。そこから主人公がバトルに入る展開と、動機の結び付き方も納得的というか無駄がなくて、別に独創的なことをやっているという感じもしないけど、すごく自然な流れみたいなのが感じられて、とても癒されるのだった

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2012.05.19

『デート・ア・ライブ(4) 五河シスター』

デート・ア・ライブ(4) 五河シスター』(橘公司/富士見ファンタジア文庫)

どうも作者が何を意図しているのかが良く分からないというか、実はこれ素直にセカイ系的なラブコメとして読んだ方が通りが良いのかしらん、と言うのはちょっと投げやりすぎるか。まあ、もともとそういう要素があるのは確かだけで、一方でそれに対立するような要素を排していて、そのあたりをどうやってすり合わせていくのかと思っていて、まあそのあたりはあまり進まなかったかな、と。ま、今のところはキャラクターを配置している段階なのかもしれないね。

ただ、個人的に読み取りを阻害する要因として、ラタストクの存在が、完全に恋愛パートの障害物としてしか機能していないと言う点で、こいつらがいなければ精霊をデレさせる(今回は妹だけど)のはもっと簡単だったろうと思ってしまう。まあ、恋愛には障害がつきもので、障害があればあるほど恋愛は燃え上がると言うのは理解できるし、ラタストクの本来の(あるいは裏の)存在意義というのはそういうものだろうとは分かるのだが。つまり、そのままだとふつーのラブコメになってしまうところを、こいつらが不要な介入をすることで、ただのラブコメをセカイ系的純愛に高める効果があるんだろうね。ただ、そのための障害がほんとに邪魔と言うか、単に自分が理不尽な恋愛のドラマティックな障害が嫌いなだけかもしれないけど、目障りに感じてしまうのだった。特に今回は、ほんとにラタストクのアドバイスはいらなかったよな……。

このままセカイ系的な恋愛要素ばかりが強くなると、ちょっと個人的に厳しいと言うか、あまり興味が持てなくなるので、そろそろ対立項を作って欲しいなーって思うんだけど、そういう需要はあまりないのかなあ。

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2012.05.18

『千の魔剣と盾の乙女(6)』

千の魔剣と盾の乙女(6)』(川口士/一迅社文庫)

前編ラブまっしぐらで大変潔いと思います。師匠の過去話からロックたちのパーティー結成話まで、とにかくひたすらラブ押しというかラブ寄せと言うか。たぶん、中途参入したナギのキャラクターとエピソードを前回までで積みすぎてしまった感があるので、ヒロイン戦線のバランスを取ったんじゃないかと思うんだけど、もちろん何の証拠もない憶測です。でもまあ、中途参入ヒロインの方が、主人公との出会いと絆の育む過程をきっちりと描けるので、結果的に最初から好感度マックスヒロインよりも印象が強くなってしまうのも当然と言えば当然なのだった。

つうか、最初から好感度マックスヒロインってのはなんなんだろうな……と思わないでもないところがあって。そういう恋愛の過程を省くことで、キャラクター造詣面において、いったいどんなプラスがあるのだろう、と常々思うのだった。主人公に好意を持っているだけでは物語としては動きがなくて、シグルイでも言っていたように、デレが欲しければツンを求めよ、という原則があって、ツンのないデレには運動性が足りないのだ、とかなんとか言ってみたりしたけど、要するに好感度マックスヒロインが好きじゃないだけです。すいません。

だからまあ、ここで過去編をおいたのは、まあ分かるって言うか、(僕が)分かりやすいっていう感じなのだった。もっとも、フィルはともかくアリシアはあんまりデレの前の抑圧が少ないって言うか、本当にアリシアさんはちょろイン(ちょろいヒロイン)だな、と思うのだった。こういう子は、どうも心配になるというか、本当にそんなんでいいのか?男は他にもいるんだぜ?とか思ったりもしなくもない。まあ、本人が納得しているんならいいんだし、そもそもちょろくないヒロインは、この作品にはいないような気もするし、つまり僕の突っ込みが無粋だったと言うことにしよう。なんだこの結論は。

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2012.05.15

2012年4月に読んだ本

淡々と読んだ本を晒すだけの簡単なお仕事。

 

4月の読書メーター
読んだ本の数:39冊
読んだページ数:8716ページ
ナイス数:48ナイス

スカイ・ワールド (富士見ファンタジア文庫)スカイ・ワールド (富士見ファンタジア文庫)
MMOと言うよりもっと古いコンピューターゲームのノリだな。
読了日:04月26日 著者:瀬尾 つかさ
神さまのいない日曜日VII (富士見ファンタジア文庫)神さまのいない日曜日VII (富士見ファンタジア文庫)
マクロの設計が先行し過ぎててキャラクターの描写に引っかかるものがある。
読了日:04月26日 著者:入江 君人
ファイブスター物語 リブート (3) TRAFFICS (ニュータイプ100%コミックス)ファイブスター物語 リブート (3) TRAFFICS (ニュータイプ100%コミックス)
ピースが繋がっているようなそうでもないようなところが稀有な。
読了日:04月26日 著者:永野 護
夢の上 - サウガ城の六騎将 (C・NOVELSファンタジア)夢の上 - サウガ城の六騎将 (C・NOVELSファンタジア)
小さな話を書くとスケールまで小さくなるのは作者の癖なんですかね。
読了日:04月25日 著者:多崎 礼
六花の勇者 2 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)六花の勇者 2 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
最後のシーンで、あらゆる前提条件がひっくり返ったぞ。
読了日:04月25日 著者:山形 石雄
百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)
”敬意”を持つってのは”大事”にするのとは違うんだよね。
読了日:04月25日 著者:荒川 弘
銃夢 Last Order(17) (KCデラックス)銃夢 Last Order(17) (KCデラックス)
量子力学拳!みたいな話をマジでやるとはすげーな。
読了日:04月25日 著者:木城 ゆきと
ヨルムンガンド 11 (サンデーGXコミックス)ヨルムンガンド 11 (サンデーGXコミックス)
世界は変わるのかもしれないし、変わらないのかもしれない。
読了日:04月22日 著者:高橋 慶太郎
放課後プレイR (電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション 127-4)放課後プレイR (電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション 127-4)
病的で素晴らしいですね。
読了日:04月22日 著者:黒咲 練導
真マジンガーZERO 7 (チャンピオンREDコミックス)真マジンガーZERO 7 (チャンピオンREDコミックス)
上手く言葉に出来ないが、凄さと危うさの両方を感じる。
読了日:04月22日 著者:永井 豪,田畑 由秋
人生 第2章 (ガガガ文庫)人生 第2章 (ガガガ文庫)
なんか普通に面白くてびっくり。騙されている気分になる。
読了日:04月22日 著者:川岸 殴魚
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉4 (MF文庫J)魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉4 (MF文庫J)
刊行速度はもう少し緩めた方がいいかも。他にもシリーズを抱えているんだし。
読了日:04月22日 著者:川口士
木曜日のフルット 2 (少年チャンピオン・コミックス)木曜日のフルット 2 (少年チャンピオン・コミックス)
世界が混沌としてきて不思議な幻想感がある。
読了日:04月18日 著者:石黒 正数
常住戦陣!!ムシブギョー 5 (少年サンデーコミックス)常住戦陣!!ムシブギョー 5 (少年サンデーコミックス)
火鉢殿、早くしないとヒロイン戦線に参加できなくなりますよ…?
読了日:04月18日 著者:福田 宏
マギ 12 (少年サンデーコミックス)マギ 12 (少年サンデーコミックス)
世界が見えてきたような気がするが、それが吉と出るか凶と出るか。
読了日:04月18日 著者:大高 忍
銀の匙 Silver Spoon 3 (少年サンデーコミックス)銀の匙 Silver Spoon 3 (少年サンデーコミックス)
エグい現実をさらっと描くのが上手い…というか何と言うか。いや上手いんだけど。
読了日:04月18日 著者:荒川 弘
ワンスアゲン! 1 (ヤングジャンプコミックス)ワンスアゲン! 1 (ヤングジャンプコミックス)
あらゆる意味で”政治的”な漫画だが、こういうガツガツしたの嫌いじゃねえな。
読了日:04月18日 著者:高遠 るい
ファイブスター物語 リブート (2) CLOTHO (ニュータイプ100%コミックス)ファイブスター物語 リブート (2) CLOTHO (ニュータイプ100%コミックス)
作者の現在の視点で語り直しているところが良いね。
読了日:04月17日 著者:永野 護
ファイブスター物語 リブート (1) LACHESIS (ニュータイプ100%コミックス)ファイブスター物語 リブート (1) LACHESIS (ニュータイプ100%コミックス)
7巻に単行本未収録があるらしいので、今更集めなおすつもりです。
読了日:04月17日 著者:永野 護
マップスネクストシート⑮ (フレックスコミックス)マップスネクストシート⑮ (フレックスコミックス)
銀河カッターだッ!には正直アホかと(褒め言葉)
読了日:04月17日 著者:長谷川裕一
這いよれ!ニャル子さん 9 (GA文庫)這いよれ!ニャル子さん 9 (GA文庫)
マンネリなようで時間はしっかりと動いている。
読了日:04月17日 著者:逢空 万太
あるいは現在進行形の黒歴史7 -中二天使が俺の嫁?- (GA文庫)あるいは現在進行形の黒歴史7 -中二天使が俺の嫁?- (GA文庫)
一つのルールが終わった後には別のルールがあるのかな。めだかボックスかと。
読了日:04月17日 著者:あわむら 赤光
あるいは現在進行形の黒歴史6 -幼馴染が俺の嫁?- (GA文庫)あるいは現在進行形の黒歴史6 -幼馴染が俺の嫁?- (GA文庫)
主人公の両親の若い頃には、ラノベみたいな活躍がありそうだな。
読了日:04月17日 著者:あわむら 赤光
ショコラティエの勲章 (ハルキ文庫)ショコラティエの勲章 (ハルキ文庫)
あまり深刻に落ち込まず力の抜けた感じ。広がりがあって良い。
読了日:04月13日 著者:上田 早夕里
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)
京介の偉いところは問い詰めつつも相手に逃げ道をちゃんと用意しておくところ。
読了日:04月11日 著者:伏見 つかさ
アクセル・ワールド〈11〉超硬の狼 (電撃文庫)アクセル・ワールド〈11〉超硬の狼 (電撃文庫)
ハルユキ君は物語の都合によって察しが良くなったり悪くなったりするなあ。
読了日:04月11日 著者:川原 礫
進撃の巨人(7) (講談社コミックス)進撃の巨人(7) (講談社コミックス)
最善の選択肢は必ずしも最善の結果を導き出せるとは限らないってことは忘れられがちだ。
読了日:04月11日 著者:諫山 創
自殺島 7 (ジェッツコミックス)自殺島 7 (ジェッツコミックス)
社会に見出せない居場所を自然に見出すってのは、難しいところだな…。
読了日:04月11日 著者:森恒二
もうひとつの季節 (中公文庫)もうひとつの季節 (中公文庫)
話にオチがあってびっくり。いやオチてないけど。
読了日:04月09日 著者:保坂 和志
バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)
純粋に観念に生きると人間は堕落する。やはり身体性を伴わない観念はつまらんな。
読了日:04月07日 著者:笠井 潔
ALPHAS ZETMAN ANOTHER STORY (JUMP j BOOKS)ALPHAS ZETMAN ANOTHER STORY (JUMP j BOOKS)
正義の味方と言う名の滑稽さが持つ矜持。
読了日:04月07日 著者:桂 正和,古橋 秀之
めだかボックス 15 (ジャンプコミックス)めだかボックス 15 (ジャンプコミックス)
これって相互理解の話なんだよな。敵とは理解することで敵じゃなくなるんだ。
読了日:04月06日 著者:暁月 あきら
花のズボラ飯花のズボラ飯
男子高校生的に言うと『ぶっちぎりでイカレた女』だ。むろん良い意味で。
読了日:04月06日 著者:久住 昌之,水沢 悦子
ベイビー、グッドモーニング (角川スニーカー文庫)ベイビー、グッドモーニング (角川スニーカー文庫)
幸福であるとは何か?これは一生かけて考える価値がある。
読了日:04月04日 著者:河野 裕
サクラダリセット7  BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)
ケイの本当の力は、夢や希望を”忘れない”ということなのだ。
読了日:04月04日 著者:河野 裕
薔薇のマリア  17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで (角川スニーカー文庫)薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで (角川スニーカー文庫)
エピソードを詰め込み方が贅沢で勿体無い。これだけで三冊の価値があるぜ。
読了日:04月04日 著者:十文字 青
龍ヶ嬢七々々の埋蔵金2 (ファミ通文庫)龍ヶ嬢七々々の埋蔵金2 (ファミ通文庫)
ミステリ風味な形式の”アレ”を評価する言葉を作らないといけないな。
読了日:04月04日 著者:鳳乃一真
シュヴァルツェスマーケン 3 縹渺たる煉獄の彼方に (ファミ通文庫)シュヴァルツェスマーケン 3 縹渺たる煉獄の彼方に (ファミ通文庫)
信頼は無償であるだけではなく、疑惑の中からでも生むことが出来るんだ。
読了日:04月01日 著者:吉宗鋼紀
ZETMAN 17 (ヤングジャンプコミックス)ZETMAN 17 (ヤングジャンプコミックス)
灰谷にはハガレンのキンブリーを思わせるところがある。
読了日:04月01日 著者:桂 正和

2012年4月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター

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2012.05.14

『あなたが踏むまで泣くのをやめない!!』

あなたが踏むまで泣くのをやめない!!』(御影瑛路/電撃文庫)

わかりにくいけど、これはシリーズ二作目です。僕もタイトルだけだとどっちかわからない。

前半は、最近はやりの”残念系”な導入があって、美少女やイケメンだったりしながらも”残念”な側面を持ったキャラクターたちがわいわいがやがやとやってくれるという非常に”優しい”内容で、これはなかなか面白く出来ていたんだけど、後半に入ってその印象ががらりと変わる。ある意味、奇矯なキャラクターたちの、ある意味”萌え”な振る舞いでオブラートにくるまれていたそれが、突然、現実の壁にぶち当たったような感じ。これが本当に突然な感じなんだけど、だからと言って強引な展開というのとも違っていて、”想定された突然”というか、作者の描きたいところはそういうところなんだと思った。

”そういう”っていうのは、別に「”現実”の方が正しくて、”萌え”なんかに逃げるな」ってことじゃなくて、ギャップの事だ。現実と理想(妄想かな?)、あるいは外部と内部のギャップってのは、自意識の問題と密接に絡まっていて、青春を描く上ではポピュラーなテーマではあるんだけど、なるほどこういう描きもあるんだ、って思った。現実と妄想は断絶しているんじゃなくて、あくまでも地続きなものであって、どちらか一方では完結しない。妄想には現実を反映していて、現実には妄想の要因があって、それは不可分なものなんだ。

だから、現実の方が”強い”という描きにはならなくて、もちろん妄想は現実にいつも脅かされているんだけど、それでも妄想のあるべき姿というのがあるんだと思う。それが正しいのかどうかは、まあ、ちょっと良くわからないけど。だから、主人公を慕う幼女なんていう妄想の権化みたいなヒロインにも、きちんと現実(家族や生活)があって、それと主人公は付き合っていかないといけないってことなんだろう。

物語を動かす時には、当然、主人公の”現実”も動き出していて、そこに一つの”覚悟”をもって望んでいる主人公の姿には、なんと言うか、作者の真面目さというか、決して妄想を妄想のままにしないような態度があって、納得できるところなのだった。まあ、ちょっと直接的過ぎるかな、って気もするけどね。

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2012.05.09

『生きる歓び』

生きる歓び』(保坂和志/中公文庫)

自分でも不思議なほどに保坂和志を継続して読んでいて、エンタメではない小説をこんなにきちんと読んでいるのは久しぶりだと思う。

保坂和志作品の面白い(と僕が思っている)ところは、一言でいうと”一言ではいえないようなことについて書いている”というところだ。現代と言うのは効率化の時代であって、これは情報量が多すぎるために、効率的に物事を受け入れていかないと生きていけないところがあるわけだけど、しかし、効率化というのは単純化という意味もあって、単純化とは曖昧ではっきりしない枝葉部分をばっさり切り落として情報を圧縮することを言う。情報量を落とせば、覚えなくてはならないものも減るし、受け入れられやすくなる。ただ、これはあくまでもテクニックであって、別にこれが”正しい”というものではないはずだと、僕などは思ってしまうのだ。

まあ、これは、僕がとてつもなく不器用な人間であって、”効率的に物事をこなす”というのがものすごく下手クソであるのだ。なので、そこに僻みのような感情がない、とは言い切れないのだが、自分が上手く情報を圧縮できなくて四苦八苦しているところを”ほんと馬鹿だなあ”みたいなことを言ってきた高校のクラスメイトたちに対しては、当時は心の中で何十回となく打ち殺してやろうと思っていたものだが、まあそれも過去の話なのでいいや。ともかく、”不要”だと思って切り捨てた物の中に、もしかしたら大切なものがあるかもしれないのに、”今は役に立たないから”という理由だけで捨ててしまうのは、ちょっとどうかと思ったのだった。そんな自分の考えが正しかったかどうかは、実はまだ良くわかってなくて、どっちかと言うと社会では損をする考え方だったのは確かで、おかげでストレスが際限なく溜まってしまったのだった。

そんな話はどうでも良かった。とにかく、保坂和志の小説には、そういう”普通なら切り捨てられる曖昧な細部”が充溢していて、もはや細部が多すぎて本筋が見当たらなくなっている。そういう意味ではいわゆる”物語”と呼べるものは一切なくて、逆に物語に従属することによって失われてしまう”何か”を描くことに注力しているとも言える。そういう、言葉にはしにくくて、上手く体系化も出来なくて、そんなことを考えても対して人生には関係のなさそうな、けれども絶対に大切なものについて、描き続けているところに、僕は昔の自分が悔しくて悔しくてしょうがなかったときのことを思い出す。なんというか、”救われる”っていうか、そういう感じがあるのだ。

一応、この本の内容についても触れておくと、物語を描かないことには人後におちない保坂先生の中でも、トップクラスに物語のない話で、そもそも小説でさえないような話もある。けれども、語り口がとてもニュートラルで、何かを語る上で説教くさいと感じられるところがないのが、良い感じ。なにかについて語ってしまうと、どうしても自意識がついてまわるものなのだが(この文章とか自意識が多すぎて目を覆わんばかりだ)、いかにもふと思いついたのだと言わんばかりの言葉が並ぶ。思考のぷかぷか浮いている、と言うような。そういうのってほほえましくて楽しいんだよね。

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2012.05.04

『神の火』

神の火』(高村薫/新潮文庫)

子供の時、自分の世界ってのは強固と言うか、生半可なことでは揺らがないくらいはっきりしたものだと思っていた。けれど、これは社会人になってから気がついたんだけど、案外みんな社会のルールに対していい加減だし、適当に歯車を回しているようだ。その結果、最近の新聞では不祥事と言うか、まともにシステムが機能していないってことが明らかになっていたりするんだけど、実は、もっともっと根幹的な、これが駄目だと社会がひっくり返るってところからして、わりと適当なんだっていう疑いが湧き上がってくる。もちろん、それは原子力発電所の話なんだけど。

神の火ってのはもちろん原子力のことで、これは原子力の技術者であり、元産業スパイでもあった主人公を中心とするサスペンスなのだけど、僕が思うところでは、そういう曖昧というか、社会が強固だという”幻想”に対して主人公が向き合っていく話なのだと思う。主人公が産業スパイになったのには色々な要因があるのだろうけど、たぶん、自分の手で世界を動かしていくという欲望を満たすという要因が大きなものとしてある。自分の流した情報ひとつで国家間の力関係まで変わっていくという、そういう喜びだ。

そこに至る主人公の心理も複雑なものがあるんだけど、とても単純に言ってしまえば、自身の生い立ちから、世界がとてもあやふやで脆弱なものにしか考えられない男が、その脆弱さを自分で証明することに取り付かれている、という言い方が出来るかもしれない。エロゲーで言えば(なんでエロゲーで例える)、月姫の遠野志貴みたいな感じだ。世界は曖昧で、いつだって崩壊と隣り合わせで、自分以外の誰もそれに気がついていないという、そういう感覚なのだった。

そんな主人公があるロシア人の青年と出会い、彼をかけがえのない存在だと思うようになる。別にホモセクシャルな感情があるわけではなくて(いや、あやしいけどね)、このように脆弱な世界で、それでも自分の大切なものを純粋に守ろうとしているその姿に、深い感動を覚えたのだ。自分は世界を損なうことばかりやってきたのに、彼は守ることを考えている。それどころか、世界を愛そうとしている。そのことは、主人公の観念を揺るがすのは十分で、と言ってもそれで彼の信念がひっくり返されるわけではなく、ただ自分には見えてない世界がもしかしたらあるのではないかと思ったのではないか、と僕は思う(ここは想像だけども。ただ、青年に対してある種の感動を覚えたのは、おそらく間違いない)。

彼は青年を守るために、かつてのスパイとしての恩師を頼ったり、彼なりに行動を起こしたりもする。しかし、そうした尽力もむなしく、すべては失われてしまう。世界には決して崩壊するだけの無価値なものでなく、それでもなおすべてが崩壊してしまう世界であるということを知った主人公は、最初の疑問に立ち戻ることになる。あるいは、疑問と言うよりも願いのようなものだったのかもしれない。世界は本当に脆弱なものなのか?その脆弱さの正体とはなんなのか?そうした願いの果てに主人公が見たものはなんだったのだろう。希望なのか絶望だったのか。もしかしたら、両方なのかもしれなかった。

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2012.05.01

『黒のストライカ(5)』

黒のストライカ(5)』(十文字青/角川スニーカー文庫)

前作のクライマックスを受けて、すべてを失ったかに見えた主人公がそれを取り戻す話になっている。一冊ですべてを取り戻す展開なったのは、驚くというほどではなかったけれども意外ではあった。もう少し大きな話に持っていくことは出来ないでもなかったけど、と言うかこれが一迅社文庫だとしたら間違いなく取り戻せないままカタストロフに雪崩れ込んだだろうけど、それを寸前で回避したと言う感じもある。ただ作者の意図がどこにあったにせよ、すべてを決着をつけるためには、まだまだ主人公の成長が足りないって言うか、もう少し器が大きくなって欲しいところなのだが、それでも解決しなければならない以上、敵役の格が落ちてしまったように感じられなくもない。

東方博士・ジークリードは、前巻までは主人公がどうあがいても敵わない、一段も二段も上の舞台から見下ろしているという印象があったんだけど、それがどうも小物になってしまったように思える。もちろん、今巻では彼に勝つために特訓をしたわけだけど、まあアレだから……なんかこう、あんなんで克服できる程度の敵だったのか。そして、その程度でうろたえる程度の人間だったのか、と拍子抜けをした。圧倒的な敵になんとか勝ったというよりも、なんで今まで勝てなかったの?みたいな……。

もっとも、この展開で納得のいく勝ち方をするのは無理と言うか、一巻やそこら修行したぐらいで今までの描写からして勝てるイメージは浮かばないところはある。それぐらいジークリードの格上描写であったわけで、それならいっそギャグで乗り切るのも選択肢として理解は出来る。そう考えると、ここからは妄想になるんだけど、作者としてはこの巻でジークリードに勝利する展開は考えれなかったのかも。あくまでも一矢報いる程度で、何も解決しない、ぐらいな。まあ、それはどうでもいい。ただ、ここで決着をつけてしまったというとは、もしかすると打ち切りということなんだろうか?というところはわりと問題だ。

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