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2012.05.01

『黒のストライカ(5)』

黒のストライカ(5)』(十文字青/角川スニーカー文庫)

前作のクライマックスを受けて、すべてを失ったかに見えた主人公がそれを取り戻す話になっている。一冊ですべてを取り戻す展開なったのは、驚くというほどではなかったけれども意外ではあった。もう少し大きな話に持っていくことは出来ないでもなかったけど、と言うかこれが一迅社文庫だとしたら間違いなく取り戻せないままカタストロフに雪崩れ込んだだろうけど、それを寸前で回避したと言う感じもある。ただ作者の意図がどこにあったにせよ、すべてを決着をつけるためには、まだまだ主人公の成長が足りないって言うか、もう少し器が大きくなって欲しいところなのだが、それでも解決しなければならない以上、敵役の格が落ちてしまったように感じられなくもない。

東方博士・ジークリードは、前巻までは主人公がどうあがいても敵わない、一段も二段も上の舞台から見下ろしているという印象があったんだけど、それがどうも小物になってしまったように思える。もちろん、今巻では彼に勝つために特訓をしたわけだけど、まあアレだから……なんかこう、あんなんで克服できる程度の敵だったのか。そして、その程度でうろたえる程度の人間だったのか、と拍子抜けをした。圧倒的な敵になんとか勝ったというよりも、なんで今まで勝てなかったの?みたいな……。

もっとも、この展開で納得のいく勝ち方をするのは無理と言うか、一巻やそこら修行したぐらいで今までの描写からして勝てるイメージは浮かばないところはある。それぐらいジークリードの格上描写であったわけで、それならいっそギャグで乗り切るのも選択肢として理解は出来る。そう考えると、ここからは妄想になるんだけど、作者としてはこの巻でジークリードに勝利する展開は考えれなかったのかも。あくまでも一矢報いる程度で、何も解決しない、ぐらいな。まあ、それはどうでもいい。ただ、ここで決着をつけてしまったというとは、もしかすると打ち切りということなんだろうか?というところはわりと問題だ。

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