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2012.03.27

『千の魔剣と盾の乙女(5)』

千の魔剣と盾の乙女(5)』(川口士/一迅社文庫)

仲間が愛用の武器を失ったので伝説の武器を探して砂漠の都市へ向かうと言う、TRPGのシナリオにありそうな話だったけど、そういうのが決して嫌いではない自分がそこにはあって、改めて自分はわりとTRPG脳をしているのだな、と思った。伝説の武器を探して探索行ってのは、やっぱりロマンだと思うのだ。まあ、ここの伝説の武器はわりかしあっさりと見つかってしまうので、なんだ意外と安いな伝説の武器、と思わなくもないが、まあこの伝説の武器は実在が確認されている武器だし、いいのか。

ともあれ、こんな古典的とも言える王道なプロットが受け入れられると言うのはなかなか面白いところで、基本的に美少女が登場してキャッキャウフフしていれば、大抵のものは受け入れられるといえなくもなくて、川口先生は完全にライトノベルに適応しているのだな、と思いました。まあ、それはともかくとして、昔はこういうところがライトノベルの懐の深さだ、みたいな表現をされていたこともあって、自分もそう思ってはいたんだけど、これは表現の形態に縛りがあるというわけで、そんなに自由な話でもないな。これではライトノベルから”卒業”しようとする作家も出るのは当然であるなあ、などと思わなくもないけど、まあそんなことはどうでもいい話。

あと、川口士の持っている”道徳観”とでも言うべきものが自分はわりと好きなのだけど、今回のナギの悩みとかは割りと多くの人が経過する悩みだと思うし、そういう普遍性が川口作品を通り一遍の物語には終わらせない土台を与えているとも思う。そういう悩みがなぜ生まれるのか、そしてそれを解決するためにはどうすれば良いのかが明確にあって、そういうところは児童文学的な語りの強さに繋がっていて、それを説教深くには行わないと言うところに、とてつもない安心感があって、最良の説教と言うのは聴かされている側が説教だと思わないものなのだよな、などと思うのだった。

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