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2012.03.08

『カンピオーネ!(11) ふたつめの物語』

カンピオーネ!(11) ふたつめの物語』(丈月城/スーパーダッシュ文庫)

なんで今頃……と言う気持ちと、今しかないよな……と言う気持ちが半分くらい。もちろん、11冊目になってからいまさらエピソード2をやっていることについてなのだが、アニメ化前の今を逃してしまってはもはや語るべきタイミングはないだろうし、絶妙と言えば絶妙のタイミング。一方で、今さらこの時点の話をされても反応に困るのも事実。護堂とエリカの関係が初々しくて若返りますねえ、と言うぐらいしか言うことがありませんよ(下劣なおっさんの視点)。個人的にはこの辺りは”過去の事”として処理してしまっても良いとおもったのだが(人間、過去の一つや二つ抱えていても良いじゃないか的思考)、まあ、それはそれとしてきちんと語ることにも意味はあるのだろう。

やっぱりなんと言ってもエリカがツンデレっているのは新鮮で、新鮮と言うのもおかしいような気もするがやっぱり新鮮としか言いようがないのだが、護堂に対する思慕の情を自覚していないというツンデレ的にもっとも美味しいタイミングであった。普通のライトノベルならば、この状態のまま何巻も重ねていくところなのだが、こうした過程をすっ飛ばしているところが新基軸だったのだな、などと言うことを今さら思う自分である。こういうところもまた描く意味というものかもしれない。つまり、エリカってのは己を自負するところが大きいので、ある意味典型的なツンデレキャラになりうるのだが(相手に対する感情と己を律する理性が対立しやすいということ)、本編のエリカと言うのは「主人公に完全にデレた後のツンデレヒロイン」なのだろう。普通の物語だと、こういう描写は物語が終わらないと見れないものだし、この辺りは改めて面白いところだと思った。

こういうことを書いてしまうのも無粋であると思いつつも備忘録として書いておくのだが、カンピオーネという物語の面白さとは、ライトノベル伝奇的な物語が”終わった後の物語”を描いているところなのだろう。つまり、主人公が成長して、ラスボスも倒して、ヒロインと結ばれた”後”の物語を描いているところが、カンピオーネという物語が持っている視点のユニークなところだと思う。まあ護堂は成長するというよりも、最初から完成しているタイプの主人公なので、厳密に言うとちょっと違うところもあるけどね。でも、たぶんそういうことなんだろうと思うので、一応書いておきます。

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コメント

>「主人公に完全にデレた後のツンデレヒロイン」
まだ読んでいない作品ですが、ここに興味が湧きました。
キャラとして、「単に性格付けとしてそうした態度を取る」ヒロインは結構いるように感じるのですが(デレ寄りのツンデレ、のような)、ちゃんと「ツンデレがデレた後」として意図された書き方がされているんだろうなと。感想からは>思慕の情を自覚>しているかどうかが差なのだと思いましたが。
でもすでに11巻なんですね……。

投稿: | 2012.03.09 07:16

>でもすでに11巻なんですね

あまり気にしないで良いと思いますよ。普通に、一冊だけ読んで面白ければ続きを読めばいいし、つまらなければやめればいいのではないでしょうか。長い話だからと言って、別に全部読まなければいけないというものでもないと思うんですけどね。

投稿: 吉兆 | 2012.03.09 21:01

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