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2012.01.20

『黒のストライカ(4)』

黒のストライカ4 (MF文庫J)』(十文字青/MF文庫J)

主人公がなんでハーレムを拒否しているのかさっぱり分からないのだが、まあ一応ヒロインに対して義理立てしているつもりなのだろう。ここまでドロドロの状況にしておいて、それで誠実さを保てると考えているとは滑稽だが、思春期というのはそういうもので、自分が空回りしていることに気がつかず、むしろ積極的に空回りをするものであって、そういうのも青春というものであろう。

つまるところ、僕はこれを恋愛小説として読んでいて、それもかなり思春期のヤバイ方向性の性欲とか情念ドロドロの方向のもので、それがわりとライトノベルとしてはキャッチーというか良い意味で記号的なヒロインの存在もあいまって、なんだかとてつもないエロ小説を読んでいるような気分になる。それでも初期の十文字青と比べればノーガードで殴りあうようなリアルファイトではなくなっていて、十文字先生はどうやら回避を覚えたみたいだな、って思った。あとは飛び道具とか持てればね。

主人公のどろっどろの内心はわりと好きだというのは前から書いていたけど、ここまで煮詰まっているとこのまま寸止めを継続することは不可能で、だからと言って本懐を遂げさせてしまっては物語が終わってしまうしどうするのかな、と思っていたけど、一応なんとか物語を動かしつつも先延ばしに出来たように思う。ただ、すでに物語は崩壊に向かっていて、そのくせヒロインは増えていて、なんというか、この先ちゃんと物語は物語の体裁を整えていけるのか心配と言えば心配なのだが、十文字青という作家は常に崖っぷちでチキンレースをしているような作風なので、いつも通りと言えばいつも通りだと言えるわけで、実はあまり心配していないのだった。

ただ、今回の主人公はハーレムを受け入れるともとれる決意をしてしまっていて、その結果、ドロドロが解消されないかが唯一のリアルな心配なのだが、まあ解消されたらされたでさらにドツボにハマるのが思春期であるからして、別に心配するようなことでもないのかもしれない。と言うわけで、書いているうちに自分の中の問題が綺麗に解決してしまったので大変めでたい気持ちである。終わり。

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コメント

面白い書評ですね。読み応えがあります。

投稿: ハリマオ | 2012.01.24 17:32

ありがとうございます。

とは言え、自分のこれは書評ではなくただの感想です。自分の感じたことや考えたことを並べているだけですので、過分なお言葉を頂いたようにも思います。

投稿: 吉兆 | 2012.01.25 20:07

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