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2012.01.29

『デート・ア・ライブ(3) 狂三キラー』

デート・ア・ライブ(3) 狂三キラー (富士見ファンタジア文庫)』(橘公司/富士見ファンタジア文庫)

どうもこのシリーズは上手く感想が書けなくて、毎巻ごとに苦労しているんだけど、今回は特に難しい。と言うのは、ぶっちゃけた話、この巻はそんなに面白くなかったからなんだけど、それは作品の問題と言うよりもライトノベルの形式的な問題で、どういうわけかライトノベルというのは4巻で一区切りとするところが多く、3巻はその前振りみたいな位置付けになってしまうので、どうしても3巻単独で評価することが難しいからだ。3巻の時点で作者が何をやっているのかは、想定は出来るものの結論については明らかにはならず、結果として曖昧な言い方しか出来ない。どうも自分でも言いたいことがまとまらないので、結論についてはすべて保留だ。

ともあれ、このシリーズは作者の読者に対する悪意というのが伝わってくるシリーズだと思っているのだけど、その辺りが特に分かりやすくなっていたような感じはある。”世界の敵をデレさせよう”という基本コンセプトから真っ向から反する存在が現れて、当然ながら主人公たちはそれに上手く対応することが出来ない。まあ、そもそも「ラタトスク」の取っている手段が実際に有効だった試しはなくて、特に”視聴者の多数決により選択肢を決める”という手段は、僅かなケースを除いてことごとく無意味であるあたり、特に分かりやすくはある。結局のところ、実際に現場に立っていない人間の無責任な主張など、なんの役にも立たないということだ。ほら、よく言うじゃん。事件は会議室で起こっているんじゃない、ってさ。

ここから、さまざま現実からの事例を導き出すことは可能だけど、さすがに上品な行為とは言えないのでしない。結局のところ、”主人公”である士道が、安全圏からの判断を飛躍する行動で対処してきたのであり、もともとそうした歪みが潜在的にあったのだ。それが顕在化してきたのが今回の話なのだと言える。士道は今回の相手は何かが違うということをうすうす感じ取りながら、それに対処することが出来なかった。と言うか、対処する権限が与えられていなかった。なぜなら、実際に対処するのは彼でありながら、その意思を制限されているからだ。つまり、士道は何かを決断したつもりになっていたとしても、それは”狭められた選択肢”の中から選んでいるに過ぎない(ゲームでしかない)。それでは、ただのごっこ遊びでしかない。

今回はそうした”あり方”についてしっぺ返しが来たというわけで、根本的な変化が必要になのではないかと言う気もするのだが、まあそこまではまだ準備が足りないかもしれない。士道にも、読者にも。何でもかんでも選択肢を与えてくれる”優しい”物語ばかりを、みんながみんな望んでいるわけではないと思うんだけどね。

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