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2011.10.10

『魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>(2)』

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魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>(2)』(川口士/MF文庫J)

一巻のあたりからその布石は十分にあったが、どうやら主人公のティグルが七人の戦姫と出会い、一人一人を”落としていく”話になるようだ。そうして、彼が戦姫の主となり、戦乱の世を統一する・・・まで行くか分からないが、少なくとも、ティグルは自分の手の届く範囲は守ろうという人物なので、戦姫とのかかわりのなかで、彼の手が”どこまで広くまで届くようになるか”によって、物語の結末も変わってきそうに思える。まあ、十中八九、彼が全てを統べるとは思うが、それがどういう形になるのか。素直に権力の座につけるとも思えないが、どういう成長をするかにもよるかなあ。少なくとも、現時点では、良いリーダーになりそうな素質はあるが、あくまでも超人的な弓の使い手であり、個人戦闘力での活躍が多いし、あまり視野も広くなさそうだ(あくまでも自分の領地を守ろうと奔走している)。ただ、人を動かすことの難しさを知り、命を預かる恐ろしさを知りつつあるので(エレンやリムは、そのようにティグルを成長させようとしている)、順当に行けば、”王”になるのが自然であるように思える。まあ、その辺りは、そう思っておくだけにしておくか。今のところは。

さて、今回は凍漣の雪姫(ミーチェリア)リュミドラが登場する。もちろんティグルに”落とされる”わけだが、彼女の描き方が魅力的であるので違和感がない。プライドの高い高慢なお姫さま、と書くとかなりのテンプレではあるわけだが、彼女の高慢さはまぎれもなく、自他に厳しい克己心の表れでもあるのだ。高慢であることは間違いなく、それがきちんと”魅力的な高慢”さとして描かれている。これを、「普段は高慢だけど主人公にだけは弱い」などという、ツンデレ描写に逃げないというところが良い。誰に対しても高慢であり、主人公に対しても最後まで厳しく、それでいて彼女はそんな己を誇りに思っている。何事も、己の道をつらぬく人間はカッコイイものだが、そういう意味で、彼女は可愛いというより、カッコイイ人間なのである。いわゆる”落ちる”シーンも、きっぱりはっきりしている(いわゆる赤面してあわわ、みたいな初心な反応はしない)ところも凛々しい。この作品に登場するヒロインたちは、みんな”自立”した人間性があって、好ましいところだと思うのだった。

どうでもいい話。表紙のリュミドラ、ぜんぜん貧乳じゃねーぞ。いや、本文できっぱりと貧乳キャラ扱いされているんだから、きちんと反映してくださいよ。おしまい。

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