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2011.08.17

『バカとテストと召喚獣9.5』

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バカとテストと召喚獣9.5』(井上堅二/ファミ通文庫)

もう超安定の面白さ。あるいは、面白いと言うよりも、楽しい作品ですね。キャラクターが完全に安定した配置をされていて、それぞれの役回りがかっちりと決められているので、作者はキャラクターたちに何らかの運動を起こす契機さえ与えれば、キャラくクターたちが勝手に物語を作ってくれるわけですね。これはちょっとすごいことで、作者のキャラクター設計力、ひいては物語の構成の確かさには、読むたびに感嘆させれてしまいます。

アニメでも二期が始まっていますけど、30分という枠組みが決まっているせいか、余計に構造の巧みさが分かります。明久と雄二という物語の根幹にいる主軸たちと、その周囲にいて主軸に干渉してくるヒロイン、そして時に主軸のフォローをし、あるいはヒロインたちをそそのかすサブキャラクターたち。それぞれのキャラクターがそれぞれの”キャラクターらしく”行動するだけで、キャラクター同士が連鎖反応を起こして物語が転がっていく。すごいよねー。もう三回も読み直したけど、そのたびに新しい発見がある。最初にキャラクターの配置(無論、それに見合うキャラクター性もあるし、関係性にも気を配らなくてはいけないが)を固めるだけで、ここまで面白くなってしまうのか。感動に近いものがあります。

この構造の巧みさは、短編においても、いやむしろ短編にこそ真価を発揮します。基本的に、今回の短編は、すべてある種のシチュエーションのみをキャラクターに与えて、あとはキャラクターがそれぞれに行動することで出来上がっていますからね。それぞれのボケとツッコミ、それを上回るさらなるボケ、それに対応するツッコミの繰り返しで話が進むところなど、コント的な側面が強くなっているともいえます。最後の「俺と喧嘩と不思議なバカども」だけは、普通のストーリー物に近くなっていて、上記の枠組みに当てはまらないんですけどね(関係性が固まる前の話なので当然ですが)。ただ、ストーリーものにもシュチュエーションコメディにも、臨機応変に対応できるのは、キャラ設計が非常にシンプルで強靭だからなんじゃないかなあ、と思います。

こういう作品を読んでいると、キャラクターの設計と構造の面白さを実感します。どうすれば読者は”面白い”と感じるのか。たぶん作者は、その方程式が出来上がっているんでしょうね。

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