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2011.07.25

『変愛サイケデリック』

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変愛サイケデリック』(間宮夏生/電撃文庫)

この作品に登場するキャラクターは、皆、とても良い。特徴的なキャラクター造型がされているけれども、どのキャラクターも、どこかで感情移入できるような普遍性を感じさせるところがあり、読者を惹き付ける魅力があるように感じられる。主人公の彩家亭理子は、いわゆる学園物ライトノベルにはよく登場する、美人で傍若無人で抜群の行動力を有する、いわゆる無敵系女先輩(部活の先輩だったり、生徒会長のような権力を持った役回りだったりすることが多い)の系譜。この手のキャラクターは、主人公を振り回すトリックスターになることが多く、彼女が主人公となっているところに、この作品の面白い視点だと思うけど、それはともかく。彼女は、自分の興味の赴くままに、死にたがりの宇宙人、神宇知悠仁に関わっていくのだが、単純に、周囲の目を気にせず、自分の不利益も省みず、己のやりたいことを貫き通す姿は、単純にカッコイイ。一方で、周囲にいる人間に対して、気を遣って、己を抑えることも出来る人物として描かれている。このあたりの、カッコよさと良識のバランスの良さというものが、作中の登場人物の描き方全般に見えるように思う。どの登場人物も、エキセントリックではあるけれども、その行動理由には、きちんとした少年少女らしい動機がある。作者がこの辺りを計算しているのか、天然なのか、判断するのは難しいものの、個人的な印象では、たぶん計算でやっているのだろう。そのようにして、魅力的でバイタリティのある主人公が、動き回る姿というのは、単純に楽しいし、彼女に巻き込まれて周囲が動いていくという展開があると、物語はもっとダイナミックになると思うのだけど、そのあたりは次回以降に期待してもいいのだろうか。まあ、でも、こいつら個性が強すぎてチームワークが悪そうだしなー。基本的に、理子無双の展開になると見ていいのだろうか。もちろん、なにやら無意味に倒錯している恋愛関係も、今後の注目になるのだろう。いちばん普通に可愛いはずの優衣が恋愛関係から外れているのがひねくれているけど、彼女の役回りは変恋部の潤滑油的な役回りとして超重要になると思うので頑張ってほしいものだ。

話は変わりますが、帯に、作者の前作、「『月光』と同じ世界を舞台にした」という一文があったんだけど、これは何の意味があったんだろう。前作と同じ世界だから意味があるとも思えない話だけど……。てっきり、前作との関連を匂わせるなにかがあると思ったんだけど、そんなこともなかったし。気がついていないだけで、何か共有するところがあったのかなあ……。あるいは、続刊で月光とクロスオーバーする可能性もあるということだろうか。だからと言って、帯でネタバレすることはないと思うのだが……。なんだかよくわかりません。

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