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2011.05.01

『ニーナとうさぎと魔法の戦車(2)』

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ニーナとうさぎと魔法の戦車(2)』(兎月龍之介/スーパーダッシュ文庫)

かわいそうな女の子たちが登場するシリーズ第二弾。ここまで徹底して男が排除されていると清々しい気持ちにになる。なんと言っても、主人公もそのサポーターも敵も味方全部女の子であり(一部、女の子と言うより大人の女と言うキャラクターもいるが、なあに心に少女を住まわせていればいつだって少女なのさ)、さらにその全てがかわいそうな過去を背負っているのは圧巻である。ラビッツの面々の掘り下げも行っていないのに、これほどの戦闘力を高めてくるとは予想外と言わざるを得ませんね。

実はもっとニーナとラビッツとの関係を深める展開にするのかと予想していたんですが、ニーナのエピソードになると言うのは意外な感じがしました。ニーナの恩人にあたる”彼女”が登場してくるのはもっと後になってからではないか、勝手に思っていただけに驚きましたね。作者はまだまだニーナをいじめ足りないのかーみたいな(誤解を招く表現)。まあこの作品はあくまでもニーナの物語であって、ラビッツ隊は彼女のサポーター、あるいはヒーローのような位置付けなのかもしれません。苦難や困難に対して立ち向かうのはあくまでもニーナの意思であるべきなのでしょう。

本編内容は、いわゆる上げて落とすと言う基本に忠実ですね。基本的にはニーナが過去と向き合い、自分の中の勇気を奮い起こしていく展開は非常に爽やかでさえあります。彼女の傷になっていたものを、前に進むための動機となると言うのは非常に正しさを感じます。ただ、そこまで前向きにニーナを進ませると、必ずどこかで落としたくなるのでしょうが、ニーナはこれ以上なく信頼した相手に、決定的な裏切りられる事になります。個人的には今回の”敵”は非常にキャラクターとして「おいしい」ので、裏切らせなくても良かったんじゃないかなあ、と思いました。もっと大きな物語を背負えるだけのポテンシャルはあったように感じるので、ここであたかも使い潰してしまうようにしてしまうのは勿体無いと思わざるを得ません。ただ、そこをあえて手札を切ってしまうのが、作者の趣味と言うかあるいは業みたいなものなのかもしれません。

少なくとも主人公を絶望のふちに追い込み、そこから立ち上がる姿を描くためならば他の描写を犠牲にさえする、と言う作者のスタンスは明確なので安心感がありますね。

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