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2011.05.03

『幕末魔法士(2)大坂鬼譚』

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幕末魔法士(2)大坂鬼譚』(田名部宗司/電撃文庫)

ライトノベルと時代劇と言うのは意外と食い合わせが良いというか、ジャンル的に近縁関係があるのではないかと思っているのだが、自分の観測範囲ではあまりそういう意見は主流ではないように思える。まあ、かく言う自分にしても、時代劇おもしれーなー、と思うようになったのはここ10年ほどなので、あまり偉そうなことは言えないのだが。

それはさておくとして、電撃文庫から、このようにライト時代劇ファンタジーが登場したことはなかなかに喜ぶべきことではないか、と思うのだ。この作品は、とりわけ、時代劇的な要素を多分に含んでおり、言うなればライトノベルと時代劇のハイブリットである。文体も簡素ではあるがライトノベル的な軽妙さ、キャラクターの造型も立っており、「意外と時代劇もいいんじゃないか?」と読者が思ってくれるようになる、と、都合よく行くとも思えない(自分に嘘はつけない)が、ともあれ、ライトノベルと時代劇の良いとこ取りをしていると言えよう。なかなか良いところに目をつけたものだな、と前巻読んだ時に思ったことを思い出しました。

どうでもいい前置きが長くなりましたが、着実に明治維新に向けて話が積みあがっております。タイトルからしても、主人公たちが日本の回天に立ち会うことは明白でありますが、どのような形に関わることになるのかについて、少しずつ明らかになって来たようにも思います。なにやら不可解な暗躍を行う桂小五郎や新撰組を始めとして、幕末の関係者が出揃ってきましたね。魔法と言う便利ガジェットがあるので、どのように転がしていくのかは予測がつきにくいところがあるのだけど、この作品の魔法は、どちらかと言うとTRPGの影響下にある魔法なので、なんでもありと言うわけでもない。なので、きっと悪い魔法使いが幕府を転覆させようとしてくるに違いない。

そういえば、今回の話では、明らかに倒幕側を悪役に描いていたけど、このシリーズではその路線でいくのかしら。まあ体制側とテロリストと言う役割分担をさせればそうなるのは自然なんだけどね(あと新撰組って人気がたけーから、下手に悪役として描くわけにもいかんのかもしれん)。ただ、明治維新ものって本当に腐るほどあるんだけど、価値観が転倒して、正しいものが間違って、間違っていたものが正しいとされる時代だけに、すごく書くのが難しいところではあると思うのだ。この作品がどこまで踏み込んでいくのか分からないけど(たぶん、娯楽の路線は堅持すると思うけど)、できるだけ単純な切り分けにならないことを祈りたいですね。まあ余計なお世話ではあるんだけども。

あと、主人公たちはいい加減にしろ。いちゃいちゃしてんじゃねーぞコラ。もっとやってください。

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