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2011.04.09

『ミスマルカ興国物語 VIII』

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ミスマルカ興国物語 VIII』(林トモアキ/角川スニーカー文庫)

前巻における衝撃的な結末から続き、果たしてマヒロたちの運命やいかに!?・・・と言うところで終わったわけだが、正直なところそのあたりは別にどうでもよい。そんなどうでもいいことはさておいて、自分はとにかくルナス姫について語りたい。それ以外は語りたくない。

しかしなんなのこのルナス姫の超ヒロインっぷりは。ええ?死ぬの?一途にマヒロなんかを想っちゃって、健気過ぎじゃないの?ぬけがらみたいなマヒロをなんとか元気付けようと頑張ったり、マヒロに強いてしまった行為を後悔してじたばたしたり。可愛いじゃないの。なあに、ちょっとマヒロの父親をぶっ殺して首をはねてそれを息子に突きつけたぐらい、彼女の健気さがあれば、すぐに水に流せるよ!大丈夫!

と言うわけで、ちょっと冷静さを失ってしまうぐらいにレナス姫がメインヒロイン顔していたので素晴らしかったです。いいよなー。マヒロがちょっと昔の冷厳な邪悪さを垣間見せたりすると陶然となったり、マヒロが復活したらしたでバカなことを言い出すのを肉体言語でちょっと殺しかけたり、実にヒロインでヒロインだなー(意味不明)。伊達に表紙は飾っておりませんね。

正直、このシリーズが始まった当初の最初の敵として登場した時点では、ルナス姫はそんなに印象が強くなかったんですよね。最強クラスの魔人であるけど、その単純な気性からなんとなく噛ませっぽい立ち位置だったように思います。強いことは強いんだけど、最終的にマヒロに出し抜かれてしまう立場。例えるなら、ルパン三世で言うところの銭形のとっつぁんみたいな(なぜルパン三世で例えた・・・)。それゆえに、出し抜かれるばかりのルナスがマヒロに”勝利”してしまった前巻の展開はまさしく衝撃的であったわけですが、まああんまり今回には関係ありません(ちなみに前巻の展開はたぶん作者はノリでやってしまったんだと睨んでいます。”あの人”がスパイだったなんて唐突にもほどがある。しかし、そのライブ感覚こそがこの作者の非凡な部分であると言えます)。

問題は、突然、この巻からルナス姫が可愛くなってしまったという事。しかし、それでいて今までのキャラからはブレていない・・・よな?少なくともあんまり。たぶん(自信がなくなってきた)。まあ、ブレていてもいいんだけどね。人間なんて変わるものだし、過去の自分を否定しないならば(ただ、林先生は、平然と過去との切断を行うことがあるので油断が出来ない・・・)。このルナスが魅力的になったのは、なんと言うか、本人にすごく薄幸の匂いが漂っているからだと思います。まあ想い人の父親をぶっ殺して首をはねたりする姫が薄幸と言うのも何か間違っている気がしますが、ようやくマヒロを手に入れたと思ったら、相手がぬけがら同然になってしまって、期待外れになってしまった。そんなマヒロに対して、「手を尽くして元に戻そう」と頑張っている(そして上手く行かない)ところに、なんか薄幸さと健気さを感じてしまいました。ただ単純なだけならば、期待外れのマヒロなで捨て去ってしまえばいいものを、つれまわして気に掛けたりして、まったく不器用で可愛いねー。そんな相手に一年もつれなくしてたマヒロはマジ外道。あいつは本当に外道。何をするだー!ゆるさん!

最初に書いたことと矛盾してしまいますが、ある意味、二次ヒロインの悲哀にも近いものを感じます。つまり、どんなに主人公に尽くしても本命ヒロインに取られてしまうといアレです。この場合、マヒロの本命ヒロインは”野心”であるというところが救われないところではありますが・・・。どんなにルナスが頑張っても、マヒロは策謀と無謀を武器にして世界を動かしていくという事そのものに魅了されているので、決して彼女に振り向いてくれることは無い。多分、振り向いた時は利用されてしまうだけであろう、と言うような。まあルナス姫自体は、騙されたら即座にぶっ殺しにかかるようなタイプなので、あらゆる意味で薄幸さとは程遠いキャラではありますが、”報われない”と言う意味では近いかな、と思いました。報われないヒロインて可愛いよね(ゲスい顔で)。

ただ、ルナス姫がメインヒロインっぽいと思ったのも本当です。なんと言うか、どうにも報われない感じはするものの、少なくとも、現状でマヒロと拮抗できるヒロインは、シャルロッテとルナスだけだと思うんですよね。今までパリエルがメインヒロインっぽい立ち位置だったけど、彼女はマヒロと比較すると従格的と言うか、マヒロと同じ視野に立つことが出来ていなかった気がします。大抵はマヒロに駒にされているか、すべてが終わった後で説明される、みたいな立ち位置。一方、シャルロッテとルナスは、マヒロと同じ領域を見ることが出来る。まあルナスの場合、マヒロに対して策謀で勝てるとは思えないけど、それを補う武力があるからね。全力でぶつかり合える対等の存在になれる。何よりマヒロの事を真剣に想っているのが良い。・・・って、ふと気がついたけど、実はいままでマヒロにまともに好意を寄せた女性キャラっていなかったような・・・。という事はメインヒロインとかそういうレベルの問題でさえなかったのか・・・。

・・・まあそれはともかく、ちゃんとマヒロに対して、器としてもつりあうヒロインがようやく現れたという感じがするので、メインヒロインキタコレ!と、声を大にして言いたいと思います(シャルロッテは、まあ、ヒロインと言うには強すぎるので・・・あれはラスボスの間違いだろ・・・)。後はルナスがマヒロの本命ヒロインたる”野心”とどうやって対決していくのかが期待ですね!あるいはパリエルが器を得て成長する可能性も見過ごせない。もしかしたらダークホースになるかも?まあ1巻からのヒロインなのにダークホースと言うのもどうかと思うけど。でも、僕はルナス姫にがんばって欲しいなあ。個人的には”野心”とのハーレムルートなんてゆるさんぜよ!

と言うわけで、今回は本当にルナス姫の事しか書かなかった。余は満足である。おわり。

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コメント

き・・・吉兆先生がキモくなってるぅぅ!
ひぃぃ!!怖ええええ・・・。

>>伊達に表紙は飾っておりませんね。
 まぁ、今回から表紙デザイン安っぽくなっちゃたなぁとか思ってましたが、先生の意見を見るにピンなのも納得ですかね。

>>ちなみに前巻の展開はたぶん作者はノリでやってしまったんだと睨んでいます。
 林さんどうもマジでプロット書いてないらしいですからね。何割かはそうかも。こういう部分が読者の好き嫌いを分けちゃうんですかねぇ?

投稿: もじのくまさん | 2011.04.11 13:01

おっと、少し本気を出し過ぎてしまったかな?まだ3割ぐらいしか出してないですけどね(うぜえ)。

林先生の作風については嫌いな人も多いような気もしますけど、そもそもこの即興で語るのはセンスが必要なんですよね。そこは評価しないと公平ではないんじゃないでしょうか。

投稿: 吉兆 | 2011.04.11 20:50

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