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2011.04.03

『烙印の紋章(7) 愚者たちの挽歌よ、竜に届け』

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烙印の紋章(7) 愚者たちの挽歌よ、竜に届け』(杉原智則/電撃文庫)

己のためではなく、己の為すべきことのためにガルダを打ち倒したオルバは、再び自分の道を模索していた。一方で、ギルの死に不審な点のあることに気がついたビリーナは、真実を求めて行動を開始する。

と言うわけで、物語はネクストステージへ。お前、前回で自分の為すべきことを見定めたんじゃなかったのか?と思わなくても無いオルバだけど、まあ彼は明確な目的なないと動けないタイプなのかもしれない。目的があれば如何なる手段も実行し、辛苦にも耐えられるけれども、漠然と何かをしなければいけない、と言う時には動きが鈍くなる。まあ、確かに、これから何をしていくかと言うのは、わりと重要なところではあるけども。”為すべきこと”はわかっているけれども、具体的に何をするべきかは決まっていないからね。いわば、使命感はあれども達成目標が無い状態。基本的にオルバは自ら目的を見出したことはなく、常に外部からの干渉によって目的を構築していたところがあるので(家族の仇であるとか、侵略されたとか)、今は、ようやく自分の目的を探している。ガルダ編が始まった時は、そもそも自分の”為すべきこと”さえ理解していなかったのだから、これでも進歩しているんだと思います。

一方、沈み込んでいたビリーナ姫は、不審な点に気がつくと同時に行動を開始しています。ここは、ある意味女性的な強さと言うか、彼女の果断さが良く表われています(そういう意味では、オルバはちょっとウジウジしすぎだよね)。やはり彼女は、根本的に”王族”であって、自分の為すべきことに迷ったりはしないのでしょう。やるべきことがあるのであれば、即座にそれを為す。自分の義務からは決して逃げない。強いですねー。キャラ的にも。これほど強力なキャラクターを、ガルダ編では封印していたというのも、なかなか面白いところですね。ガルダ編とは、オルバが迷いの中から一歩踏み出す話であるので、彼女が出てくるのは不都合があったのでしょう。彼女がメインに出てくると、オルバが迷っている暇がなくなるので(ビリーナが迷わせてくれない)、オルバとビリーナが再会するのはまだまだ先になりそうですね。早くてもこのステージの最後か、下手をすると物語のクライマックスまで再会しない可能性もありうるなー。

あと、最近ちょっと気になっているんですが、イネーリ王女の動き方が不思議な感じですぞ?自分はこの人、物語における”蛇”になると思っていたんです。蛇と言うのは、アダムとイブにおける蛇のイメージですね。物語におけるトリックスター。その印象は変わらないものの、どうもイネーリ王女の行動に、なんとも言えぬ可愛げが出てきた感じ。彼女はオルバとイネーリに対する破滅への毒を打ち込む役割(物語上のね)だと思っていたのに、あるいはオルバの味方になる可能性もあり、か?まあヤンデレの可能性もあるので、蛇の役回りの線は消えてないどころか危険度はさらに増している気もするけどな・・・。ただ、個人的には彼女もヒロイン化してくれても悪くないです。と言うか大歓迎です。わがままで高慢で意地の悪い王女様って、良いよね・・・。

物語はようやくオルバがメフィウス側と事を構えることになるなるわけで、次あたりは、彼がガルダとの戦いで得たものを試す試金石になると思われます。まあ、一朝一夕になんとかなるはずはないので、次はボロボロに負けそうな気がするけど、そこからどう立て直すかで真価が問われるのであろうな。決して倒れぬ勇士であるより、倒れてもなお前に進むものであれ。たぶん、この作品はそのあたりに焦点が当たっていると思うんですよ。

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