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2011.04.04

『月見月理解の探偵殺人(4)』

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月見月理解の探偵殺人(4)』(明月千里/GA文庫)

ついに探偵殺人ゲームの始まったのか、と思うとなにやら感じるものがある。探偵殺人ゲームはこの作品の根幹に位置していると思うのだが、実はまともにゲームが行われたのは今まで一度もなかったし。とは言え、元ネタとなるゲームもあるし、大体ところは自分も理解できていた(ような気がする)し、別に気にしていませんでした。なので、今回、ついに探偵殺人ゲームに挑むことになって、今まで探偵殺人ゲームが実施されたことが無いという事実に思い至り、なんとも不可思議な気分になりました。なんなんだろうね。

あと、一巻から続いていた「妹との対立」が、今回ついに解消されたというのも、物語に一区切りがついた気がします。なんだかんだと言って主人公の行動原理の一つとして機能していただけに、ここで和解するという事はなんらかの意味があるんじゃないでしょうか。まあ、ある意味において、主人公の妹に対するスタンスと言うのは、妹の世界を守るために過保護になっていたという側面もあり、彼女の意思をまったく無視するものであったことは確かです(それをしなくては彼女の心が壊れていたかもしれないが)。それをついに解消したというのは、ようやく主人公の妹離れ(あるいは妹の自立)となり、それぞれの人生を生きる事が出来るようになる。これは、今までのマイナスをようやく解消できたという事であり、ついにスタートラインに立つことで出来たということですね。ひたすらに過去を見つめて生きてきた兄妹が、ようやく未来を見ることが出来るようになった、と。喜ばしいことです。

探偵殺人ゲームについては、結局、なんだかんだで今までルールが良く分かっていなかったところをきちんと描いてくれているのがありがたい。駆け引きゲームとしては、わりと王道でした。主人公が驚いたことにわりと真面目に活躍しているのには意外な気持ち。彼の賢さは、悪い言い方をすると小賢しいというべきものであって、それはヒロインや敵と比べて、あくまでも凡人の賢さです。目の前の困難を除くことは出来ても、それが生まれた原因までは届かない。そういうスケールの小ささみたいなものがあります。しかし、そうした自分のスケールの小ささを自覚して、その上で天才に対して戦いを挑むと言うところが良いですね。超人が活躍する作品も良いですが、凡人が自分の出来る範囲で頑張る話と言うのもわりと好きなんです。

これで主人公の話は一区切りついた感もあるので、続くのであればどこに焦点で当たるのでしょうか。ヒロインの話になるのかもしれないけど、彼女を掘り下げるのは作品としてかなりクリティカルな部分になるので、難しいところ。期待したいと思います。

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