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2011.03.18

『カンピオーネ!(8)受難の魔王たち』

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カンピオーネ!(8) 受難の魔王たち』(丈月城/スーパーダッシュ文庫)

今回のカンピオーネはいわば番外編と言うか日常編と言うか、カンピオーネとはいかに奇人変人であるかを描いている回であると言えましょう。こいつらは、ただ普通に暮らしているだけでトラブルを撒き散らしていく台風のような輩揃いなのだ。そう、彼らはトラブルに巻き込まれるのではない。彼ら自身がトラブルを引き起こす。右に行けば嵐を呼び、左に行けば洪水を呼ぶ。だったら昼寝をしてたら、その場に地割れが起るような、まさに人型災害。

従って、彼らには平凡な日常とは縁がありません。より正確に言うならば、彼らが平凡な日常であると考えているものが、本当に平凡な日常であったためしがない。そのくせ、それにまったく無自覚なのです。それゆえに、彼らの”日常”に巻き込まれた人たちにとっては、非常に大変なことになってしまう、と言うわけです。

今回は、そのような奇妙奇天烈ヒューマノイドタイフーンな魔王たちと関わってしまったばかりにその周囲の人たちが大変な目に合ってしまう話。カンピオーネにとっては日常茶飯事ながらも、巻き込まれた人にとっては人生を変える出来事なのでした。

前も思ったけど、カンピオーネの方々は、どいつもこいつもまさに英雄と呼ばざるをえない異能かつ異質な人物ばかりなので、その行状を追っていくだけで非常に面白い内容になってしまいます。ハーレム構築を確固なものとした我らが護堂さんは、本人が一応平和主義を標榜しているだけに、他のカンピオーネに比べて(迷惑度では)大人しいものの、日常を逸脱しているという意味ではいい勝負と言えるでしょう。一応、女の子をまた一人、毒牙にかけてしまったからね・・・(と書くと護堂が一番の鬼畜に思えてくる。間違ってはいないような)。まあ一応は日常編の名に相応しいもの、のような気もしますね。

他にドニが神殺しを行った直後のエピソードがあり、ここで、いい加減に不穏な雰囲気を漂わせ続けて来たドニの根っ子の部分が明らかになりました。が、ある程度は予測できていたものを確認するに留まります。彼が護堂に執着する理由の一端も見えたけど、まあそれはそんなに重要ではなさそうです。なので、ハチャメチャな行動をとるドニに振り回され続けるエリカとリリアナと言うヒロインコンビの姿を楽しむの悪くはないかも知れません。と言うか、エリカとリリアナは仲が良いねえ。お互いを認め合っている関係ってのは、ほんわかしますねえ。あと、ドニはなんと言うか、ザ・英雄と言う感じで良いね。己の欲求のままに振る舞い、その行動が世界の運命を揺り動かす。あらゆる思考と行動が常人ではありえないスケールに達してるという意味で、まさに英雄だよね(良くも悪くも)。

で、未だキャラが明らかにされなかった黒王子ことアレクがメインとなることで、ようやく彼のパーソナリティーが明かされました。今までのところ、妙に細々とした性格っぽくて、なんかカンピオーネとしては面白味がねえなあ、なんて思っていたアレクだったけど、うんまあ、面白味の無い性格はそのとおりだけど、迷惑度では少しも負けてないんだな、とか。やっていることはあんまり変わらん、みたいな。ただ、わがままだけど見栄っ張りと言う性格上、自侭に振舞っても、どこかで渋々ながらも引いてしまう詰めの甘さには、どことなく可愛げと言うものもないではないかもしれない。自分の資質と志向が一致してないという意味では、護堂とタイプが似ているのかもしれないね。

とかなんとか。奇人変人列伝として、たいそう面白い話でした。次はヴォパン侯爵とか出ないかなあ。

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