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2011.03.08

『あるいは現在進行形の黒歴史(2) -紅バラの剣姫が俺の嫁?』『あるいは現在進行形の黒歴史(3) -わだつみの海妃が俺の嫁?』

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『あるいは現在進行形の黒歴史(2) -紅バラの剣姫が俺の嫁?』『あるいは現在進行形の黒歴史(3) -わだつみの海妃が俺の嫁?』(あわむら赤光/GA文庫)

宿題をさくさく終わらせる感じで二冊同時感想。手抜きではない。

基本的に前回の敵キャラが次巻のヒロインになるというローテーション制を取っている作品なので、2巻においてはロザリンドがヒロインでアイシャリアが敵キャラ、3巻においてはアイシャリアがヒロインでキキが敵キャラとなっています。これは、まず敵としてキャラ立てを行った後に、ヒロインとして主人公とラブコメをさせる手法を露骨に行っているわけで、非常に洗練された手法とは言えますね。ワンパターンと言えばワンパターンですけど、ヒロインをいかに描写するかと言う部分に特化していく方法論としてはアリだと思います。それできちんとヒロインを魅力的に描けるかどうかは作者の手腕だしね。

2巻は紅バラの剣姫ことロザリンドがメインの回、なのはずなんですが、メイン回のわりに扱いは悪いです。まあ、典型的中二病気質で(中身が)残念ヒロインとしてはそれなりにキャラが立っているんですが、早々たる(残念な)メンツの中ではキャラクターとしては弱いので(言っちゃったよ)、驚異のスーパー残念ヒロイン力を誇る楓子の前では苦しい状況でありました。まあキャラが弱いという以前に、彼女は自分の内面を他人にさらけ出せない内気なタイプなので、いきなりメインヒロインとしてラブコメしろ!と言われても無理な話だよね。どちらかと言うと彼女がヒロインとして主人公との関係を描かれるというよりも、彼女自身の屈託が問題の中心にあって、それに取り組む構成になっているように思います。ただ、それが本来は物語の中心になるべきだと思うのだが(主人公が問題解決に協力する形がセオリー)、なんと言うか、とにかくアイシャリア(と楓子)パートがあまりにも頭が悪すぎたせいに割を食ってしまいましたね。さすが序列一位ヒロインさんは強いなあ(基本的にこの作品はヒロインが大量に出てくるのだけど、物語的には楓子(妹)が最上位に置かれているんですね。ヒロインたちときゃっきゃうふふな展開でも、かならず主人公は楓子のところに帰ってくる)。

ただ、ロザリンドはかつての自分が”脇役”であったことを嫌い、今度こそ”主人公”なろうとしているわけだけど、そんな風にカッコを付けているだけでは”主人公”にはなれないと言う意味では、ロザリンドの扱いの悪さも、理屈としては合っているような気もします。キャラクターとして不遇である方が輝くタイプと言われればそれまでだけど、そういう自分のキャラクターを認められるかどうかと言うのも重要なことだと思うんだよね。過去の自分を否定して、現在だけあれば良いってのはやっぱり長続きしないし、したとしても本人がつらいだけだもの。なので、この巻でロザリンドの扱いが(メインのはずなのに)悪いというのは、ある意味、キャラクターの理屈に叶った展開であると思うのでした。

で、3巻の方ではアイシャリアがメインになるわけですが、アイシャリアのキャラクターはロザリンドとはぜんぜん違いましたね(そりゃそうだ)。ロザリンドと対比するとわりと面白いかなとも思うんですが、アイシャリアは現在でも過去においても、自分自身にはほとんど不満がなかったタイプですね。天然気質みたいな感じ。なので、主人公に対するアプローチも実にナチュラルで、ロザリンドのような空回り感がない。なんと言うか、すごく”強い”キャラクターのように思います。前回はロザリンド編をぐっちゃぐっちゃにしてしまった楓子でさえ、アイシャリアに押され気味だったような気がします。この強さの理由は、おそらくアイシャリアは精神的に成熟しており、大人の女性なので、そもそも主人公に”救われる必要がない”と言うところかもしれません。彼女は自分の問題は自分で解決できる力もあり余裕もあるので、主人公が彼女を救うことで惚れられるという展開が実は”無い”んですよね。それでいながら主人公に好意を寄せるとどういうことになるかと言うと、ヒロイン側に主人公に対する”負い目”と言うものがまったく無いため、主人公は拒否が出来なくなるわけです。”救われている”から生じる負い目から自由なので、アイシャリアは自分の心のままに振舞うことが出来てしまう。これが彼女の”強さ”に繋がっている、のかもしれない。

まあ、そもそもが他のヒロイン連中が不甲斐なさ過ぎるということもあるかもしれません。ロザリンドは前述の通り”弱い”(キャラクター的に、あるいは人間的に)ので相手にならないし、マリスはそもそもヒロイン闘争(なんすかそれ?)と言うものをあまり理解していないみたいで、結局、外野で騒いでいるだけでした。3巻はメインだからいいけど、こんなにキャラを強くしちゃって、次巻はどうするんだろう?と思わないでもないですが、まあ、そのあたりは幼女の力でなんとかするつもりなのかもしれませんが・・・さて。

さて、このように、非常に明瞭な構造を持って作られている作品ですが、気になるのは落とし所ですね。ヒロインを単純に追加していくだけだと、5人しかいない現状では全員がメインを張ったら終わってしまう。どんなに頑張っても5巻で終わってしまいます。そうならないために、おそらく4巻で何かを仕掛けてくると思うのですが、どんなものでしょうか。特に主人公と最後の天使であるメープルの間にラインが引かれているので、ここが作品の落とし所になるのではないかと思っているのですが、あるいは単なる転換点に過ぎない可能性もあります。なんかもう読者の方も忘れかけていますが、マリスを除く天使は幽霊ですからね。もしかしたら、メープルと主人公に生前、関わりがあったのかもしれないし、あるいは別の要因を持ち込むトリガーになるのかもしれない。ま、ぶっちゃけた話、売り上げ次第なんだろうけどね。4巻で終わらせることも出来るし、続けることも出来ないでもないって言うか。いやらしい話ですねえ(言ったのはオレだけど)。

まあ、次は満を持しての幼女ヒロインなので、作者としても気合が入っているみたいです(たぶん)。メープルがどんな形で介入してくるのか、そのあたりが注目ですね。なんとなくものすごくどうでもいいオチが待っていそうな気もします(良い意味で)。

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