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2011.01.28

『ココロコネクト カコランダム』

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ココロコネクト カコランダム 』(庵田定夏/ファミ通文庫)

昨日に引き続きココロコネクト。別に最新刊が出るから慌てて感想を書いているわけではないぞ。

毎回、ギミック縛りが厳しいなあ、と思いました。このシリーズの場合、登場人物それぞれの心を浮き彫りにして、本当の絆を構築する展開が基本なのだけど、心を浮き彫りにする過程において、必ず”ギミック”が必要になるのだけど、そのギミックはその物語の目的上、必ず登場人物たちの隠している傷を暴く機能が必要になるわけです。たぶん、シリーズを開始する前にある程度の設定はあったかとは思いますが、それでもなお必ずギミックが必要になると言うのは相当に作者に負担になるのではなかろうか・・・・・・。少なくとも、延々に続けられる形じゃあないですよね。

などと言うことを思ったのは、そろそろギミックと登場人物の心をリンクさせるのが厳しくなってきたかなー、と感じてしまったからです。今回の時間退行現象は、今までの出来事と比較すると、やや心の傷を暴き立てるという意味では弱い。どちらかと言うと、皆が子供になってしまったことによって、日常生活で大変な目に会うというドタバタの方が強かったように思ったんですね。まあ、子供に戻ることで、唯や青木、伊織の隠していた、あるいは忘れ去っていた出来事が俎上に上がるという側面はあったにせよ、今までのように「ギミックがあったからこそ」と言う感じは薄かった。ギミック無くしては彼らの問題が解決出来なかった、あるいはギミックゆえに問題が発生したかと言うと…別のケースもありえたんじゃない?と思ってしまいました。

まあ、今回の仕掛け人は”ふうせんかずら”ではなく、”二番目”と呼ばれるなにやら正体はもとより目的も不明な存在だったので、今までと違うのはある意味当然ではあるんですけどね。”ふうせんかずら”が主人公たちの心を暴くのに対して、”2番目”はそうでもない。どっちにしろものすごく迷惑な存在であることには違いないんですが、なんか”2番目”のやり口は「エレガントではない」感じがします。やり口が粗雑って言うか、主人公たちに対する精神攻撃が大雑把と言うか。時間退行現象は、今までの精神を抉る攻撃と違って、純粋に社会生活に困難を来たすものなので性質が悪いっちゃあ性質が極悪なんですが、”ふうせんかずら”だったらそういうことはしないんじゃないかなあ。あくまでも、主人公たちが”真実の関係性”を発揮出来ればあらゆる不幸はきちんと回避できる道は用意していたように思うんですが、今回はそれがない。むしろ”悪意”が込められている感じさえします。と書いてみたところで、今回のギミックはイマイチだなーと思ったのは作者の掌の上の可能性が高いような気がしてきました。むしろそのギミックの粗雑さこそ意味があるのやもしれず。無いのかもしれず。どっちでもいいや。

しかし、唯や姫子が順調に心の傷を克服しつつあるのに対し、メインヒロインである伊織はなかなか心の奥を見せませんねえ。ここまで来ても完全には太一たちを信頼していないというか、本質的に自分一人で全部片付けたがると言う悪癖があって、ああこの子はそういう子なんだなって、改めて思った。基本的に前向きで周囲に対しても影響力のあるタイプだからなおさら始末に終えないぜー。彼女に必要なのはなんなんだろう…。やっぱり太一が真のヒーローになるしかないのか?それで丸く収まるとも思えないんだけど。

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