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2011.01.26

『ニーナとうさぎと魔法の戦車』

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ニーナとうさぎと魔法の戦車』(兎月竜之介/スーパーダッシュ文庫)

なかなかナイスな作品。スーパーダッシュ文庫の新人賞で大賞を取ったのは伊達ではない。作者が書きたいものと言うのがこれ以上なく明確になっていて、そのブレなさには感心さえしてしまった。そのブレのなさが安定感につながり、完成度の高さとなるのだろうなあ。大賞も納得だ。

あとがきでも作者が書いていたけど、要するにこれ”可哀想な女の子が頑張る話”です。子供ゆえ、女ゆえに戦乱の世では搾取され虐待されていたニーナが、放浪の先で出会った戦車隊に受け入れられ癒されていく過程と、その癒しさえも打ち壊していく理不尽に打ちひしがれながらも前に進む姿が描かれています。もう、作者が可哀想な女の子萌えと言い切るだけあって、過去に散々騙されて来たニーナが人間不信になって周囲にハリネズミの如くつんけんするのも、それを乗り越えて抱きしめてくる”首なしラビッツ”の面々のやりとりは確かに萌える。自分には可哀想な女の子属性っていまいち良く分かってなかったんですが、なるほどこういうものなのか、と新しい世界を教えてもらった感じ。もちろん、可哀想な女の子萌えとしては、そうして癒されていったところで、またしてもズガン!と不幸のスパイラルに嵌ってしまうことも勿論含めているでしょうね。そこで歯を食いしばって、再び不幸と人間不信の罠に陥ることから、少しでも出て行こうという過程を含めて萌えるのだ(と、書いていると、まるで人の不幸を喜ぶ人非人みたいな気がしてくるけど、まあこれは物語について回る宿命みたいなものでしょうよ)。

女の子たちが戦車に乗ってドンパチやるという作品である以上、作品の持つボンクラ度もなかなかのもので、野良戦車どもとの砲撃戦を緊迫感のあるものにしているのはなかなか素晴らしいんじゃないかと言う気がしてきた。やはり戦車は火力と機動性よのー(偏見)。ラストバトルのありえないハッタリ具合も心地良く、実に趣味的な作品であると思います。またその一方でそれほどまでに趣味的な作品でありながら、自己満足に陥ることなくきちんとエンターテインメントを行っているところがおそらく最大の長所なのではないでしょうか。”作者”が全面に出てくる臭みがないと言うのは、作品をきちんと管理している証拠ですね。

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