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2010.12.02

『銀の河のガーディアン』

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銀の河のガーディアン』(三浦良/富士見ファンタジア文庫)

超未来における宇宙で、呪術によって成り立つ国家と科学技術によって成り立つ国家の対立が続く中、出会った少年と少女と、物語としては王道一直線を行っている感があります。しかしながら、『抗いし者たちの系譜』シリーズを読めばわかるように、王道と言うにはいささかクレバーな部分が作者にはあるので、そのぶん単純な冒険活劇にはなっていないように思います。未熟な少年少女が敵国のスパイと渡り合う作品を躊躇いなく描くことにリアリティが感じられないタイプなのかも、とも思います(妄想ですが)。それはともかくとして、主人公たちが単純に活躍するのではなく、もっと大きな国家間の状況から構築しているところが実に頼もしい。呪術と科学と言う異なるものを信奉する国家間の対立と、それに従って行動する組織、翻弄される個人がきちんと描写されています。主人公は生まれついて強大な魔力を持っているようですが、実戦経験と言うか、そもそも殺し合いの訓練を受けていないので、なかなか思うようには行かない。ただ、それによって主人公の格が落ちるかと言うとそうではなく、むしろろくな訓練を受けていないのに状況を生き延びていく主人公がすごい、と思わせられたのは状況が成立する過程の描写に説得力を感じたと言うことでしょう。もっとも普通のSF大河ロマンほどと言うわけではないので、その点に不満を持つ人もいるかもしれません。自分もライトSFオペラとしては優れているとは思いますが、冒頭で書いたよう大河ロマン的な設定~期待した人にとっては物足りないと思う可能性はあります。ただ、キャラクター中心に描きつつ(少年と少女のやり取りを中心に置きつつ)、必要最小限のキャラクターと描写で大きな状況を描き得たという点は評価されてもいいのではないか、と自分は思います。

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