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2010.12.31

雑記

2010年もついに終わり、と言う事でご挨拶。ここ数年、低空飛行で続けてきたこのブログですが、今年は後半にドタバタして更新が2度にわたって止まったりと低空がほとんど墜落に近いこともありましたら、どうやらこれからも更新は続けていけそうです。更新をもう少し真面目に行いたいとは思っていますが、どうも最近は頭の調子が悪く、きちんと物事が考えられていない感じもあるので、そこのところの改善を来年度初期の目標にしたいと思います。

そんな感じで、来年もよろしくお願いいたします。

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2010.12.29

『月光』

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月光』(間宮夏生/電撃文庫)

なんだか知らないがやたらと面白く読めてしまった。とは言え(誤解を恐れずに言うと)、ミステリとしてもサスペンスとしても、きちんと作っているけれども(もっとも、”きちんとしている”と言うのも大切なことだけれども)、それ以上の何かがあると言うわけでもないように思います。少なくとも、傑作とかそういう類いの作品ではない。けれど楽しいと言う、自分にとってはわりと珍しいタイプの作品でした。

思うにこの楽しさは会話劇の楽しさと言う側面が強く感じるんですけどね。ただ面白いのは、単に会話が軽妙というだけではないんです。会話が軽妙な作品なんて、それこそいくらでもあって、それだけだったら自分はあまり評価しません。この作品の良いところは、会話の裏側にある駆け引きとかが、ベタと言うかサスペンス的にはそれほど奇を衒ってはいないのだけど、会話劇の軽妙さとあいまって不思議な牽引力を発揮しているところだと思うのです。いちいち絶妙な謎の振りまき具合と、主人公のヒロインの含みのある会話が上手くシンクロし、妙に続きを気にさせられてしまう(”させられてしまう”んですよ)。

あと、個人的にも気に留めずにはいられないところがあって、ミステリアスなヒロインと斜に構えた主人公の、なんと言うかお腹の中をくすぐられるようなむずがゆい(自分だけかもしれない)会話には、直視できないような感じがあります。いや、その、気恥ずかしくて…。主人公の斜に構えっぷりが、昔の自分を見ているようで、なんかいたたまれ無い感じなんですよ。ああ、確かにこういう人生全部を斜に構えてバカにしていた頃ってあったなあ…って。まったく、「人生に退屈」なんて台詞は中学生までにしとけっての!(自分は高校まで思っていましたがね)

話が逸れましたが、そういう主人公がいろいろと頭をめぐらしつつ、ヒロインと相対する展開は確かにロマンがあって、どうにも嫌いになれないところがあります。このヒロインはとても良いですね。いろいろと無関心になっていた主人公が、珍しく興味を持った少女。果たして彼女はすべてを操る魔女なのか、それともただの変人なのか。その正体の知れなさはに興味をそそられる主人公には確かに共感を覚えました。確かにこんなクラスメイトがいたら(しかもしれが美少女だったら)興味を持たずには入られないよなー。そして、そんな美少女と、丁々発止な駆け引きもしてみたいという欲望は確かに分かる。つまり、自分にとっては、これ、ものすごい願望充足な作品だったんですね。得体の知れない相手と、会話の中で罠を仕掛け、正体を探る。たまんないっすねー。

ただまあ、個人的には作者の真価が問われるのは次回作からだと思います。今回の楽しさの多くは自分の願望充足にぴったりはまったと言う面が大きいので、あんまり客観的に評価出来ないんですよ。次回作を読んで、客観評価できれば良し、出来なかったら作者は自分の大好きなものを書く作家としてついていこうと思います。

さて、今回の作品はわりと一発ネタに近いものがあるので、次回も同じような話は出来ないと思うんですが(やってもいいけど、そんなに面白くはならないんじゃないかなあ…)、どうなるんでしょうか。作者が新しい設定を魅力的に作り出せるのか、あるいはキャラクターの魅力を追求していくのか。少なくとも、新しい事をしなくてはいけないと思うので、ちょっと気にかけておきたいと思います。

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2010.12.28

『ゴールデンタイム(1)春にしてブラックアウト』

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ゴールデンタイム(1)春にしてブラックアウト』(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)

基本的にとらドラシリーズの同工異曲である本作ですが、舞台が大学になっているために、とらドラシリーズにはなかった生々しさを獲得しているように感じました。高校生と言うのは、多分に自分の感慨と言うものもあるとは思いますが、どこか治外法権と言うか”どんなバカなことをしでかしても許される”雰囲気があるように思います。精神的、肉体的に深刻な障害を与えるほどの失敗は、滅多なことでは起こりえない世界と言うか、少なくとも、高校生と言う規範から外れない限りは、それ以外のことは大目に見られているように思います。

しかし、今作においては大学生が物語の主要人物となります。高校生から大学生になったことで何が変わるかと言うと、大きなものでは”大学生は大人としての行動が求められる”と言う事です。まあ大学生と言ってもスポイルされていることには違いは無いんですが、社会的により大きな行動力が認められる一方、義務もまた生じ始める地位にあたるわけです。

分かりやすく言うと、とらドラシリーズではギャグとして許されたことが、このシリーズでは許されない。大河の行動は冷静に考えなくてもクレイジーですが(深夜に木刀を持って主人公を殺しにかかるとかクレイジーとしか言えない)、そのあたりの行為は、周囲にはそれに匹敵するほどの変人がいたりして、なんだかんだで許されていく雰囲気がありました(このあたりの雰囲気は、実はとらドラシリーズのある一点から”変質”が始まるんですが。まあここでは関係ないので省略します)。こちらのゴールデンタイムのヒロイン、香子の行動もまた相当にクレイジーなものですが、しかしながら、彼女の行動はギャグには落とし込まれません。彼女の行動は紛れもなくクレイジーであり、彼女の対象となった人間にとっては迷惑以外の何物でもないのです。勿論、周囲の反応もまたそれに準じたものであり、(まだこのあたりは表面化はしていませんが)香子への対応は自然と厳しくなっていくというあたりに、”現実”として”ラブコメ”をやってしまうことによる”痛々しさ”のようなものが強く現れていると感じました。確かにラブコメが実際にあったとしたら、渦中にある人にとっては悪夢そのものでしょうからね。

そんな痛々しい行動を続ける香子に対して、そのひた向きさに心を惹かれ、彼女の手助けをしてしまう主人公、万里。このあたりの心境はとらドラに近しいものがあります。万里は香子に現実と言う毒に支配されていない美しさを感じ、守りたいと思う。これは大河に対して竜児が最初に感じたものでしょう(恋愛感情ではなく、あくまでも”彼女の持つ純粋さを守りたい”と言うもの)。ただ、大河は物語中でその”美しさ”を強調する描き方をされていたのに対して、香子の行動は本気で痛々しいので、”純粋さ”と言うものは本当に”不器用さ”と表裏一体なのだと言う事を思わせられます。不器用さは、不恰好であることにも通じます。人はそれを見て笑うかもしれないし、苛立つかもしれない。けれど、そこには”狡さ”がない。人が生まれて生きていくうちに、手を抜いたり、騙したりする、当たり前の、しかしある意味において卑劣なものを持たないということでもある。”卑劣さ”を”知恵”だと勘違いした者はおそらく彼女の不器用さを笑うことであろうけれども、”卑劣”であることを自覚した者にとっては、香子はどこまでもまぶしい存在であるのです。だが、この世は”卑劣さ”を”卑劣”であると自覚するものはあまりにも少ない。そして、社会に適応出来ないものに対しては、社会はどこまでも冷たい。社会性と言うものがより身近なものとなっている大学生と言う身分では、香子は困難極まりないでしょう。思うに竹宮先生は、”少女の純粋性”は”社会性”と相反するものとして描き、その摩擦を描き続けてきました。今回は視点をより”社会側”から描いているため、生々しさと言うか、痛々しさを強く感じるかもしれませんね。

ただ、そこまでは、ああ竹宮先生は”少女の純粋さ”と言うものの美しさと醜さの両面を描こうとしているんだなとは思うんですが。今回の主人公はちょっと設定に変わってところがあって、いささか読みが難しくなっています。これはわりとサプライズなところかもしれないので言葉を濁しますが、なんと言うか、すごく空っぽな存在なんですよ。ある理由によって、彼は自分自身の積み重ねを実感することが出来ません。そして、おそらくそのために他者に強く感情移入をすることになり、他者を助けるヒーローとして行動する。このあたりに”正義の味方”としてのロジックが構築されていて、妙に印象に残りました。万里は明らかに少女の不器用さの中にある純粋さを守り、引き上げる役目を背負っているんですが、そもそものところ、彼自身が”あやふや”に過ぎる。”何故助けるのか”が完全に欠落していて、それ自体はラノベ主人公としては良くあることなんですけど、あまりにもラノベ主人公過ぎて、リアリズムを重視した今作では浮いているようにさえ思います。ここに竹宮先生の意図が隠されているように思うんですが、そのあたりについてはなんとも分からず…。こういうことをするタイプだとは思っていなかったので、ちょっと不安と期待があります。本当に、どうなるんだろうこれ…(結論が思いつきませんでした)。

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2010.12.27

『狼と香辛料(15) 太陽の金貨(上)』

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狼と香辛料(15) 太陽の金貨(上)』(支倉凍砂/電撃文庫)

ロレンスとホロの関係もほぼ鉄板と言うか、共にいることの喜びも別離の悲しみもすべて一切合切を受け入れた関係になっていて良い関係だなあ、と思いました。いつまでも共にあることは出来ない関係ではあるが、それが今、共にいることの喜びを減ずるものではなく。いま、この一瞬の喜びを享受する、と言うか。まあこれはちょっと綺麗な言葉を使い過ぎかな。実際にはロレンスはまだグダグダしているし、ホロも未練だらけなので、そんなに割り切れているわけでも、悟っているわけでもない。まあそんなもんでいいと思うし、そうであるべきとも思うけれどもね。

以前から何度か名前の出てきたミューリの名を冠する傭兵団を探してレスコの街にやってきたロレンスとホロが、そこで今まで幾度か対峙してきたデバウ商会のもう一つの側面を見るという話になっていて、商人と言うものの二面性と言うか、物事を善悪ではなく利益で語るデバウ商会の良い側面が出ているようであります。今まで物語を読んでいると、デバウ商会がまるで悪の枢軸のような印象さえ受けいてたのだけど、実はその行動にはさまざまな意味があり、時代の流れを読んだ行動であったことが今巻で明らかになる。まあ言い方を変えればあくまでもデバウ商会は己の利益を追求しているだけなんだけど、彼らの行動により、さまざまな雇用や流通は活発になり、変わりつつある時代の中で多くの人々に影響を与えていくことになるわけです。

デバウ商会の本拠地で、思わぬ人々の暮らしぶりを見て、ロレンスの心は揺れ動くことになるわけです。もしかしたらここは自分の夢をかなえる地なのではないか。その賭けに出るための時期なのではないか。正直、こういう未知な状況に飛び込むのは不安がいっぱいで、リスクが高いように思えてしまう。もしかしたらデバウ商会は裏では何かを企んでいるのかもしれない。ここでうっかり乗ってはいけないのかもしれない。ただ、決断をしなくてはならない時と言うのは確かにあって、それで失敗をすることを恐れていては、失敗はしないにしても成功もないというのは、使い古されてはいるが確かなことではあります(勿論、あえて失敗はしないために行動しないという決断も同様に尊重されるべきですが)。

その決断によって、ロレンスとホロの関係も大きく変わることになる。と言うより、はっきりと別れの時が近づいているのが、本人たちにも理解出来るようになって来ます。まあこの二人の結末がどうなるにせよ、後悔を残した終わり方はしないだろうという物語的な信頼はあるので見守りたいと思います。もっとも、デバウ商会がらみでもう一波乱くらいはありそう。これ一冊で見事なカタルシスがあるので忘れがちだけど、なんつっても上巻だしね。

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2010.12.26

買ったもの

1.『シドニアの騎士(4)』 弐瓶勉 講談社
2.『アイアムアヒーロー(5)』 花沢健吾 小学館
3.『“文学少女”と恋する挿話集(4)』 野村美月 ファミ通文庫
4.『Landreaall(17)』 おがきちか 一迅社
5.『傾物語』 西尾維新 講談社BOX

買った。

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2010.12.22

買ったもの

1.『装甲悪鬼 村正 琴乃の劔冑』 ホビージャパン
2.『カオスヘッド&シュタインズ・ゲート 科学アドベンチャーシリーズ マニアックス』 ホビージャパン
3.『真月譚月姫(10)』 佐々木少年 アスキーメディアワークス
4.『東京レイヴンズ(3) cHImAirA DanCE』 あざの浩平 富士見ファンタジア文庫
5.『RPG W(・∀・)RLD(7)―ろーぷれ・わーるど―』 吉村夜 富士見ファンタジア文庫
6.『棺姫のチャイカⅠ』 榊一郎 富士見ファンタジア文庫
7.『銀の河のガーディアン(2)』 三浦良 富士見ファンタジア文庫
8.『千の魔剣と盾の乙女』 川口士 富士見ファンタジア文庫
9.『お嬢様のメイドくん』 大樹連司 富士見ファンタジア文庫
10.『アースライト・ウォーズ 割れぬ少女と蝉の王』 六塚光 富士見ファンタジア文庫
11.『刀語 第十二話 炎刀・銃』 西尾維新 講談社BOX
12.『図書館に訊け!』 井上真琴 ちくま新書

俺たちの装甲悪鬼は終わらない!終わらないんだ!と言う熱情のままに琴乃の甲冑を購入。いや、正直、この価格でお得感はねーな。2もそうだけど、最近のホビージャパンは本気でオレを搾取にかかっているぜ。とりあえずいいから装甲悪鬼村正はアニメ化をだな…。ただ、最低でも一年間の大河ドラマレベルでなければ認めないので、そうならないならアニメ化しないでいいや。でも、コードギアスみたいな、似非大河ロマンアニメの枠でなんとかなりそうな気もするんだよな…。サンライズが発狂して装甲悪鬼村正をアニメ化してくれたりしたら最高なんだけど。はいはい、ありえませんよね。

3の真月譚月姫、完結!原作にもなかったエピローグを収録し、まさに完全版!これが「正史」と言う事でいいんじゃないでしょうか。リメイクの噂がかけらも聞こえてこないのが気になるが…。いまだ原作をやったことが無いという人も多いんじゃないのー?月姫もいい加減、エロゲ業界では古典に近くなっているからなあ。

あとは富士見ファンタジア文庫の新刊+その他。うっかり『棺姫のチャイカ』を買ってしまったのは…俺たちの装甲悪鬼は終わらない!終わらないんだ!(それはもういい)。だってイラストがなまにくATK先生なんだものー。装甲悪鬼スト(意味は知らん)としては買わないわけには行かないよー。と言うか、久しぶりにイラスト買いをしてしまった。なんか負けた気分(ちなみに良く負ける)。

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2010.12.21

11月に読んだ本

どうもまとめを貼るのを忘れていたみたいなので貼るよ。ほんとラノベと漫画ばっかり読んでいるなあ。アニメに触発されて刀語を読んでしまったのはこのあたりだったか。きちんと読んでみるとやっぱり面白いよ刀語。まあこれで12冊と言うのはやっぱり許せないけどな!

11月の読書メーター
読んだ本の数:70冊
読んだページ数:13574ページ

ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド ⑩ (MFコミックス フラッパーシリーズ)ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド ⑩ (MFコミックス フラッパーシリーズ)
入れ替わりによって緊張感がすごく出ている。すげー楽しい。
読了日:11月28日 著者:環望
よつばと! 10 (電撃コミックス)よつばと! 10 (電撃コミックス)
実際に子育て中の人が読んだら、幻想と思うのか共感するのか。どうなんだろ。
読了日:11月28日 著者:あずま きよひこ
いちばんうしろの大魔王ACT11 (HJ文庫)いちばんうしろの大魔王ACT11 (HJ文庫)
打ち切りが決まったジャンプ漫画みたいな展開だなあ・・・。
読了日:11月28日 著者:水城正太郎
夏のあらし! 8 (ガンガンコミックスJOKER)夏のあらし! 8 (ガンガンコミックスJOKER)
”戦争を理解したつもり”は傲慢で愚劣だが、理解しようとする姿勢は忘れないようにしたい。
読了日:11月26日 著者:小林 尽
3月のライオン 5 (ジェッツコミックス)3月のライオン 5 (ジェッツコミックス)
何の関係もない思いもかけない一言ですべてが救われる瞬間に、打たれる。
読了日:11月26日 著者:羽海野 チカ
カンピオーネ! 8 受難の魔王たち (集英社スーパーダッシュ文庫)カンピオーネ! 8 受難の魔王たち (集英社スーパーダッシュ文庫)
奇人変人カンピオーネ列伝。次はヴォパン公爵なんてどうすか?
読了日:11月25日 著者:丈月 城
GENEZ-5  ジーンズ (富士見ファンタジア文庫)GENEZ-5 ジーンズ (富士見ファンタジア文庫)
一応、学園異能を志向していたんだなこの作品・・・。
読了日:11月25日 著者:深見 真
友達100人できるかな(4) (アフタヌーンKC)友達100人できるかな(4) (アフタヌーンKC)
たぶん本当に必要なものは”愛”なんだろうと思うよ。ただ本物はすごく少ない。
読了日:11月24日 著者:とよ田 みのる
鋼の錬金術師 27 (ガンガンコミックス)鋼の錬金術師 27 (ガンガンコミックス)
何はともあれ、端整に終わってくれたことに感謝だ。
読了日:11月24日 著者:荒川 弘
装甲悪鬼村正鏖 (チャンピオンREDコミックス)装甲悪鬼村正鏖 (チャンピオンREDコミックス)
本編未プレイ者置いてきぼりのストロングスタイル。外伝としては高品質。
読了日:11月24日 著者:ニトロプラス
放課後ランダムダンジョン (一迅社文庫 せ 1-5)放課後ランダムダンジョン (一迅社文庫 せ 1-5)
スケールの大きさと細部の圧縮振りにメロメロ。/ただ、もちっと手加減した方が売れると思う。
読了日:11月24日 著者:瀬尾 つかさ
鋼殻のレギオス16  スプリング・バースト (富士見ファンタジア文庫)鋼殻のレギオス16 スプリング・バースト (富士見ファンタジア文庫)
歳を食った運命論者と言う名の中二病患者は本当に困ったもんだな。
読了日:11月24日 著者:雨木 シュウスケ
ジャイアントロボ地球の燃え尽きる日 8 (チャンピオンREDコミックス)ジャイアントロボ地球の燃え尽きる日 8 (チャンピオンREDコミックス)
何が何だかわからんがとにかくすごい自信だ。
読了日:11月24日 著者:横山 光輝,今川 泰宏
僕は友達が少ない (5) (MF文庫J)僕は友達が少ない (5) (MF文庫J)
斜め上なカードを切ってきたな。最近「引き戻し」が多かったので、今回も踏み留まるか?
読了日:11月23日 著者:平坂読
はじめてのあく 7 (少年サンデーコミックス)はじめてのあく 7 (少年サンデーコミックス)
完全に両思いなので、二次ヒロインたちの存在意義が不明確になっているような。
読了日:11月23日 著者:藤木 俊
羽月莉音の帝国 5 (ガガガ文庫)羽月莉音の帝国 5 (ガガガ文庫)
恒太は扇動者としては有能だったということで、つまりヒトラータイプっすね。
読了日:11月23日 著者:至道 流星
イエスタデイをうたって7巻 ポストカードブック付き特装版 (ヤングジャンプコミックス)イエスタデイをうたって7巻 ポストカードブック付き特装版 (ヤングジャンプコミックス)
3歩進んで4歩ぐらい下がっているけどそれも”進展”と言うのだろうね。
読了日:11月23日 著者:冬目 景
ミツヨシ完結編 (下) (ミツヨシ完結編) (愛蔵版コミックス)ミツヨシ完結編 (下) (ミツヨシ完結編) (愛蔵版コミックス)
これで大団円だと。まあ十兵衛と祠千代のラブロマンスとしては完結しているか。
読了日:11月23日 著者:上山 徹郎
死神姫の再婚 -微笑みと赦しの聖者- (B’s‐LOG文庫)死神姫の再婚 -微笑みと赦しの聖者- (B’s‐LOG文庫)
カシュバーン様とディネロさんの極めて高レベルな童貞力に圧倒されますな。
読了日:11月23日 著者:小野上 明夜
魔法先生ネギま!(32) (少年マガジンコミックス)魔法先生ネギま!(32) (少年マガジンコミックス)
流れるように物語に必要な構成要素を組み上げていく手腕が超絶技巧過ぎる。
読了日:11月22日 著者:赤松 健
おれはキャプテン(24) (少年マガジンコミックス)おれはキャプテン(24) (少年マガジンコミックス)
登場人物たちが皆、腹に一物を抱えていて超おもろい。試合前にテンションマックス。
読了日:11月22日 著者:コージィ 城倉
秘身譚(1) (KCデラックス)秘身譚(1) (KCデラックス)
冒頭からしてすでに面白い。美術と動きのバランスも良い。あとは続いてくれればなあ。
読了日:11月22日 著者:伊藤 真美
刀語 第十一話 毒刀・鍍 (ドクトウ・メッキ) (講談社BOX)刀語 第十一話 毒刀・鍍 (ドクトウ・メッキ) (講談社BOX)
どこがどうと指摘できぬレベルで全編が西尾維新以外は書かぬ(書けぬ)作品。
読了日:11月22日 著者:西尾 維新
乱と灰色の世界 2巻 (ビームコミックス)乱と灰色の世界 2巻 (ビームコミックス)
奔放な想像力の元に生まれた世界を魅力的な登場人物たちが躍動感を持って描かれている。
読了日:11月22日 著者:入江 亜季
刀語 第十話 誠刀・銓 (講談社BOX)刀語 第十話 誠刀・銓 (講談社BOX)
ついにバトル要素さえ否定してしまった。否定して、超克しようとする意思がカッコいい。
読了日:11月22日 著者:西尾 維新,竹
石黒正数短編集 2 (リュウコミックス)石黒正数短編集 2 (リュウコミックス)
不条理なようで情理(誤字にあらず)に富む認識が根底にあって作者らしい。
読了日:11月19日 著者:石黒 正数
刀語 第九話 王刀・鋸 (講談社BOX)刀語 第九話 王刀・鋸 (講談社BOX)
強い弱いなんて”たいした問題ではない”と言うセンスが好きです。
読了日:11月19日 著者:西尾 維新,竹
刀語 第8話 (8) (講談社BOX)刀語 第8話 (8) (講談社BOX)
「人間らしさ」について、日和号と七花の対比で語るあたり、美しいと思います。
読了日:11月19日 著者:西尾 維新
琅邪の鬼 (講談社ノベルス)琅邪の鬼 (講談社ノベルス)
論理と呪術が不可分である秦の時代を見た来たかのように騙る口振りが良いね。
読了日:11月19日 著者:丸山 天寿
難民探偵 (100周年書き下ろし)難民探偵 (100周年書き下ろし)
難民ではない難民に探偵ではない探偵が難事件ではない難事件を解決「しない」。極めて技巧的。
読了日:11月19日 著者:西尾 維新
少女素数 (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)少女素数 (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
「可愛さ」なるものの限られた瞬間を切り取る手腕をただ賞賛したい。
読了日:11月18日 著者:長月 みそか
あるいは現在進行形の黒歴史2 -紅バラの剣姫が俺の嫁?- (GA文庫)あるいは現在進行形の黒歴史2 -紅バラの剣姫が俺の嫁?- (GA文庫)
毎回こうして嫁が増えていくとなると4、5巻あたりの展開はどうなるのだろう。
読了日:11月18日 著者:あわむら 赤光
コロージョンの夏 (講談社BOX)コロージョンの夏 (講談社BOX)
作中に渦巻く若さと熱意をきちんと「作品」に落とし込んでいるところは偉いと思う。
読了日:11月18日 著者:新沢 克海,05
シャギーロックヘヴン (幻狼ファンタジアノベルス)シャギーロックヘヴン (幻狼ファンタジアノベルス)
才能もなく未来もない「社会にとって無能」な人々を描く筆致の確かさに感謝。
読了日:11月18日 著者:十文字 青
かんなぎ家へようこそ! (GA文庫)かんなぎ家へようこそ! (GA文庫)
会話の後ろにある登場人物たちの感情の流れにしっくりこないものがあるなあ。
読了日:11月18日 著者:冬木 冬樹
猫物語 (白) (講談社BOX)猫物語 (白) (講談社BOX)
素晴らしくねえ?成長物語とはかくありき、って感じだ。あと正しい言葉もある。
読了日:11月16日 著者:西尾 維新
ウィッチクラフトワークス(1) (アフタヌーンKC)ウィッチクラフトワークス(1) (アフタヌーンKC)
水薙竜…唳先生ですか…ッ!キルウィザードの続き、気を長くして待ってます。
読了日:11月16日 著者:水薙 竜
つぐもも(5) (アクションコミックス)つぐもも(5) (アクションコミックス)
主人公が突然に強くなったような気がするのだが。エロいからって騙されんぞー。
読了日:11月16日 著者:浜田 よしかづ
戦国妖狐(5) (ブレイドコミックス)戦国妖狐(5) (ブレイドコミックス)
作者の”奇跡論”がついに来たぜー。一方で不審な動きもあってどうなることか……。
読了日:11月16日 著者:水上悟志
機巧童子ULTIMO 5 (ジャンプコミックス)機巧童子ULTIMO 5 (ジャンプコミックス)
展開がはえーなオイ…。
読了日:11月16日 著者:武井 宏之
私と悪魔の100の問答 Questions & Answers of Me & Devil in 100 (100周年書き下ろし)私と悪魔の100の問答 Questions & Answers of Me & Devil in 100 (100周年書き下ろし)
質問そのものは意味はないが質問と回答を行うことに意味がある。
読了日:11月15日 著者:上遠野 浩平
ブロッケンブラッド6 (ヤングキングコミックス)ブロッケンブラッド6 (ヤングキングコミックス)
相変わらずゲス面白れえ。面白いと思うのが悔しいくらいだ。
読了日:11月15日 著者:塩野 干支郎次
セレスティアルクローズ(1) (シリウスコミックス)セレスティアルクローズ(1) (シリウスコミックス)
ギャグとシリアスの半々ぐらいで、正直、話がどこに向かうのか良く分からんなー。
読了日:11月15日 著者:塩野 干支郎次
血界戦線 2 ―世界と世界のゲーム― (ジャンプコミックス)血界戦線 2 ―世界と世界のゲーム― (ジャンプコミックス)
スタイリッシュなハッタリセンスに濡れ濡れです。
読了日:11月15日 著者:内藤 泰弘
刀語 第七話 悪刀・鐚 (アクトウ・ビタ) (講談社BOX)刀語 第七話 悪刀・鐚 (アクトウ・ビタ) (講談社BOX)
七実さん超カッコいいなー。最強であるゆえに最弱であるその精神性の構築はさすが西尾維新。
読了日:11月15日 著者:西尾 維新
STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン 22 (ジャンプコミックス)STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン 22 (ジャンプコミックス)
完全敗北してからが大統領の本気。こういう描写は凄みがあるなあ。
読了日:11月14日 著者:荒木 飛呂彦
ONE PIECE 60 (ジャンプコミックス)ONE PIECE 60 (ジャンプコミックス)
今さらエースを積むとか……作者は鬼か。/サボは生きているんだろうなー。
読了日:11月14日 著者:尾田 栄一郎
めだかボックス 7 (ジャンプコミックス)めだかボックス 7 (ジャンプコミックス)
球磨川さん登場回は西尾維新の真骨頂と言っても良いな。
読了日:11月14日 著者:暁月 あきら
毒吐姫と星の石 (電撃文庫)毒吐姫と星の石 (電撃文庫)
ロマンスとしては良く分からんが後日譚としては良いものだと思います。
読了日:11月14日 著者:紅玉 いづき
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈7〉 (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈7〉 (電撃文庫)
このシリーズで登場人物の一挙手一投足にここまでハラハラすることになろうとは。
読了日:11月14日 著者:伏見 つかさ
ヘヴィーオブジェクト 巨人達の影 (電撃文庫)ヘヴィーオブジェクト 巨人達の影 (電撃文庫)
生身で機動兵器を破壊しまくってる主人公は軍の至宝だと思うんだけどなあ……。
読了日:11月12日 著者:鎌池和馬
化物語アニメコンプリートガイドブック化物語アニメコンプリートガイドブック
スタッフやキャスト、原作者のインタビュー記事あり設定資料ありでわりと充実している、かな。
読了日:11月12日 著者:
刀語 第六話 双刀・鎚(ソウトウ・カナヅチ) (講談社BOX)刀語 第六話 双刀・鎚(ソウトウ・カナヅチ) (講談社BOX)
理屈と理念先行型のバトルの前にはチートと言わざるを得ない狂犬でさえかませ犬に。
読了日:11月12日 著者:西尾 維新
刀語 第五話 賊刀・鎧(ゾクトウ・ヨロイ) (講談社BOX)刀語 第五話 賊刀・鎧(ゾクトウ・ヨロイ) (講談社BOX)
いま思うとわりと重要な回だったんですね。転換点と言うか。
読了日:11月12日 著者:西尾 維新
刀語 第四話 薄刀・針 (講談社BOX)刀語 第四話 薄刀・針 (講談社BOX)
さすが西尾維新先生だ。俺たちに出来ないことを平然とやってのけるぅ!
読了日:11月12日 著者:西尾 維新
マルドゥック・スクランブル The 3rd Exhaust 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・スクランブル The 3rd Exhaust 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
かつての荒削りな情熱を熟練の業で包んだ良い仕事といわざるを得ませんな。
読了日:11月11日 著者:冲方 丁
マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
ここまで手を入れていると別の作品と言っても良いような気がしてくるなー。
読了日:11月11日 著者:冲方 丁
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
新改訂版と随分文章が違うような。あっちよりもさらに削っているところがある。
読了日:11月11日 著者:冲方 丁
もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったらもしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら
仏教の持つ神秘のヴェールを剥いで、技術と思想としての仏教出てて面白いです。
読了日:11月11日 著者:架神 恭介
医龍 24 (ビッグコミックス)医龍 24 (ビッグコミックス)
怪物野口、最後まで怪物のまま墜つ…てな。死んでないけど。
読了日:11月11日 著者:永井 明
シュガーダーク 埋められた闇と少女 (1) (角川コミックス・エース 98-18)シュガーダーク 埋められた闇と少女 (1) (角川コミックス・エース 98-18)
丁寧に雰囲気を作っているのだがそれゆえに物語がスロー過ぎる。
読了日:11月11日 著者:大岩 ケンジ
丘ルトロジック  沈丁花桜のカンタータ (角川スニーカー文庫)丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ (角川スニーカー文庫)
フリークスたちが大暴れする話が大好きな自分にはご褒美な作品でした。
読了日:11月10日 著者:耳目口 司
子ひつじは迷わない  走るひつじが1ぴき (角川スニーカー文庫)子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき (角川スニーカー文庫)
オールラウンドに受けそうな話でさすが大賞、って言っていいの?
読了日:11月10日 著者:玩具堂
“菜々子さん”の戯曲  小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫)“菜々子さん”の戯曲 小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫)
マジでポスト米澤穂信みたいになってきた。あっちよりも優しい話だけど。
読了日:11月10日 著者:高木 敦史
ベティ・ザ・キッド(下) (角川スニーカー文庫)ベティ・ザ・キッド(下) (角川スニーカー文庫)
一つの終局に向かって物語が閉じていく感触がたまらん。
読了日:11月10日 著者:秋田 禎信
戦国ゾンビ-百鬼の乱 5 (バーズコミックス)戦国ゾンビ-百鬼の乱 5 (バーズコミックス)
「時代劇アクション+ゾンビ」の基本路線にはブレなくエンタメ度も高い。
読了日:11月10日 著者:横山 仁,柴田 一成
生贄のジレンマ〈中〉 (メディアワークス文庫)生贄のジレンマ〈中〉 (メディアワークス文庫)
パニック状態から生き残りゲームへ移行する手つきに作者の熟練を見た。
読了日:11月10日 著者:土橋 真二郎
刀語 第三話 千刀・ツルギ刀語 第三話 千刀・ツルギ
ここから初読。アニメだとあっさり終わってたバトルがちゃんと駆引きをしてて意外な気がする。
読了日:11月03日 著者:西尾 維新
刀語  第二話  斬刀・鈍 (講談社BOX)刀語 第二話 斬刀・鈍 (講談社BOX)
発売当初はあまりに薄くてやってられっかー!と思っていたが、今読むとそれほど薄くもないな。
読了日:11月03日 著者:西尾 維新
刀語 第一話 絶刀・鉋 (講談社BOX)刀語 第一話 絶刀・鉋 (講談社BOX)
薄い高いと文句をつけて未読だったシリーズに手をつけることにした。なんか負けた気分だ。
読了日:11月03日 著者:西尾 維新

読書メーター

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『バカとテストと召喚獣(8)』

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バカとテストと召喚獣(8)』(井上堅二/ファミ通文庫)

6巻が出たあたりで読み始めて、おもしれーなーと読み続けていたのだが、今更1巻から感想を書くのもめんどくさいし、何より書くことが思い出せないので8巻から感想を書くことにするぜ!と言っても、一応、この本を読むスタンスを説明すると、単なる能天気なバカコメディ、よりはもうちょっと面白い作品ではないかなーと思います。キャラクター偏重のいわゆるラノベではあるんですが、キャラクターの使い方が非常に贅沢かつ濃厚で、かなり尖っているんですね。

具体的に言えば、男性キャラの使い方が非常に多彩。ラノベ(あとギャルゲー)において、美少女キャラのレパートリーは大概カオス化しており、もはや極彩色の様相を呈しているものの、男性キャラのキャラ分けと言うのは”主人公の友人”レベルが関の山。(無論、そうでないのもあるけど、あくまでも印象論あるいは一般論ね)。ところがこのシリーズに限っては、主人公の悪友たち(メインが3人いて、それ以外にモブがやたらと出張ってくる)のキャラクターが実に多彩。ややもすると、主人公とヒロインの関係よりも、主人公と男友達との関係に描写が割かれているようにさえ思える。さらに登場してくる美少女キャラの中では、主人公とはぜんぜん関係ないところで人間関係が構築されていたりする。この悪友とわいわいとバカな会話をしたりアホなことをしたりするのが、とても楽しそうに描かれているのが印象的です。自分の記憶だと、ここまで男友達との関係が楽しそうに描かれているのは、ラノベじゃないけど、ヤマグチノボルのグリーングリーン頃まで遡らないと記憶にないなあ。あと、男友達描写が楽しそうと言うのにも通じるですが、恋愛関係に以外の描写にもベージが割かれているのも好ましいですね。主人公のお姉さんとか…は、ちょっと肉親の感情からは外れているような気もするけど、登場人物の親兄弟、あと大人(先生たち)なども、わりと普通にキャラが立っているし、それぞれの関係もきちんと描かれたりしている。相談Q&Aとか変則的な形も多いけど、そのあたりさえも、物語世界を主人公たちの周辺だけに留めるのではなく、もうちょっと大きいところを描こうとしているように思います。

まあ、そうは言っても、基本的にキャラクター偏重のライトノベルの範囲内ではあるんですが、キャラ偏重を極めれば、主人公たちだけではなく、その友人や、友人の友人や、家族や家族の友人や、あるいは先生の、先生同士のキャラクター関係図まで描くことにまで意欲的なこの作品は、関係性の物語としてもう少し評価されてもいいのではないか、と思うのです。

8巻の内容は…まあ、ことさらに語るべき内容は無いです。勿論、つまらなかったという意味ではないですよ。相変わらずものすごく楽しい。その楽しさが、必ずしもラブコメ的な楽しさではないところもいいですね。ただ、多彩なキャラクターがそれぞれにやりたいことをまっとうした結果、面白くなっているという感じなので、細かいところを言うことが思いつかないんですよね。今回はいいけど、今後感想を書くのに苦労しそうだなあ。

あ、あと少し気になるのが、この作品、コメディなんだけど、ツッコミやボケが洒落にならんほどに痛そうなんですよね。と言うか、普通に死ぬだろ、と。これが完全な不条理ギャグとかなら、ギャク漫画時空が発生しているんだな、で済ませられるんだけど、普段は普通にライトノベルをしているところ、なぜかボケとツッコミのところだけにギャグ漫画時空が発生するもんだから、その落差から来るショックを覚えます。この作品の中で、バイオレンスなボケツッコミ部分だけはどうしても素直に笑えねー…。そこが不思議と言えば不思議。

(ぜんぜん関係ないけど、美少女キャラと書くのに対し、男性キャラと書いてしまうのは何故だろう。いや、女の子はみんな美少女描写されているのに、男は別にそんな描写がないからなんだけど…うん、自分の中の偏向に気がついたよ。本来なら美少女/美少年あるいは少女/少年と書かないといけませんね)

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2010.12.17

『ベン・トー 6 和栗おこわ弁当310円』

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ベン・トー(6) 和栗おこわ弁当310円』(アサウラ/スーパーダッシュ文庫)

5巻の広部さん編が、ベン・トーと言うシリーズの根幹に根ざした「たかが半額弁当」と言うテーマを扱っていた極めて重要な巻だっただけに、今後はどのように展開するのかに関心があったのだけど、どうやらイメージとしては第二部開始と言ったところのようである。新しい登場人物が登場し、既存のメインキャラ同士の関係性を見直しにかかっているという感じ。特に槍水先輩の妹である茉莉花との関係性によって、槍水先輩の素の表情と、それに対して佐藤が改めて意識してしまう関係は、ややマンネリ化していた関係性を再び蘇らせようと言う意図を感じた(邪推かもしれない)。

柚子の存在は、実は今のところその意味を図りかねているところはあるのだけど、単なるヒロイン追加と言うよりも、主人公たちとはまた違った立場から半額弁当を狙う、別視点の存在と言う印象がある。主人公たちの味方ではなく、かといって敵役と言うわけでもない、まあつまるところライバル的位置になるのだろう。このあたりについては正直あまり自信はないのだが、おそらく今後も登場することになるのではないか。だとすれば、今後はどのように物語を動かすことになるのか。これに対して、茉莉花は逆に新ヒロインの位置付けだった(なお、ヒロインであるからと言って主人公と恋愛関係になる必要はないので注意。あくまでも女主人公と言う意味合いです)。今回の佐藤は彼女のサポート役であり、彼女の苦難を手助けする立場となる。無論、その過程において、茉莉花の手助けをするうちに、自分自身の想いを確認していく手続きはちゃんとあるのでそこは安心。でも、あまりメインではないかな?今回は”佐藤の物語”と言う側面はそれほど強くなかったように思います。

気になるのは、ウィザードの気配が漂いつつあるところ。一巻以降姿を消していたウィザードが、再び登場する時はいかなる役目を背負うのか。なんとなく、ウィザード→槍水先輩の線が引かれているので、そこから佐藤への繋がる何かが浮上してくるのは間違いないと思うんだけど、正直、現時点では物語の展開を予想するのは難しいなあ。敵になるのか味方になるのか、あるいは新たな脅威が現れるのか…まあ、別に今から無理に予想する必要はないんだけどね。ただ、今までは”佐藤の物語”になっていたのが、”佐藤と槍水先輩の物語”になる気配を感じるので、そこに配置するにはウィザードの立場はすごく面白いところにいる。興味津々でありますね。今回は、新たなプロローグ的な印象もあったので、こんな風に今後の展開とか、どうしても考えてしまうなあ。

しかし、この妹ちゃんはいろいろとスペックが高いなあ。あんまり登場しすぎると、物語のパワーバランスが崩れそうだ…。ある意味、槍水先輩の最大のライバルは、この妹ちゃんのような気がしてくるぜ。

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買ったもの

1.『作者不詳(上)(下) ミステリ作家の読む本』 三津田信三 講談社文庫
2.『幻燈辻馬車(上)(下)』 山田風太郎 角川書店
3.『風眼抄』 山田風太郎 角川書店
4.『華竜の宮』 上田早夕理 ハヤカワJコレクション
5.『傷だらけのビーナ』 桝田省治 エンターブレイン
6.『ハーモニー』 伊藤計劃 ハヤカワ文庫JA
7.『〈勾玉〉の世界 荻原規子読本』 荻原規子  徳間書店
8.『蓮華君の不幸な夏休み』 海原育人 Cノベルスファンタジア
9.『ハチワンダイバー(18)』 柴田ヨクサル 集英社
10.『ZETMAN(15)』 桂正和 集英社
11.『NEEDLESS(12)』 今井伸 集英社
12.『絶対可憐チルドレン(24)』 椎名高志 小学館
13.『神のみぞ知るセカイ(11)』 若木民喜 小学館
14.『結界師(32)』 田辺イエロウ 小学館
15.『血まみれスケバンチェーンソー(1)(2)』 三家本礼 エンターブレイン

今日はちょっとテンションが上がりすぎた・・・。

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2010.12.16

『おれと天使の世界創生(3)』

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おれと天使の世界創生(3)』(冬樹忍/HJ文庫)

ライトノベルの自意識の問題など、非常にいろいろと欲張りに取り込んでいたけれども、残念ながらほとんど掘り下げられることなく終わってしまいましたね……。わりとこういう(いろいろな意味で)自意識過剰な話は嫌いじゃないだけに、残念。作者としてもあまりそっち方向ばかりやっては読者がついてこないことは承知していると見えて、いろいろとフックを用意していたみたいだけど、この結果からするとあまり評判が良くなかったのかしら。確かに耳かきプレイとか、ちょっとレベルが高すぎではあったが…(エロス的な意味で)。あれにエロを感じるためには、それなりに経験を積んだ紳士でなくてはな(どや顔)。

個人的なイメージだと、エロ話をしているうちに本題に入る暇がなくなってしまったという感じもする。エロ描写のねちっこさや執拗さから判断して、読者を釣る餌というだけではなく、作者自身も楽しんで書いていたようにも思うのだけど、いかんせん、ちょっと楽しみ過ぎてしまったかな、と。エロいシーンばかり印象に残って、完結したのにキャラクターやラストのクライマックスがあんまり印象に残らなかったのは、作者は力の入れどころを間違っていたのではないか、と思わずにはいられない。まあ、二次元ドリーム文庫ならばこのバランスも間違いではなかったのかもしれないが……。

まあ正直、作品としてはあまり言うことがないのだけど(基本的に作中で全部説明されてしまっているしな)、少なくとも、3巻で完結した時点では、涼宮ハルヒの提示したものを超えるものにはならなかったように思います。まあ終幕のための急展開なので、現在の舞台裏を明かすことしか出来なかったのだろうけど、本来はこの舞台装置を使って、”何か”をするつもりだったような印象を受けるので、勿体無いことこの上ありませんね。本当に、勿体無いという言葉しか出てこないや。

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2010.12.15

『粘膜人間』

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粘膜人間』(飴村行/角川ホラー文庫)

しかしまあ庵堂兄弟もそうだったけど、角川ホラー文庫と言うのは何でもありだなー、と改めて感じました。何しろ、角川ホラー文庫を久しぶりに読んでみたらなんだか単純にホラーとは言い難い、おかしな作品ばかりに突き当たってしまったので……。あるいはホラーと言うジャンル自体もまた拡散が始まっているのかかもしれないなあ。

と言うわけで(?)、この作品も順調にホラーではありません。じゃあ何かと言われると……なんだこれ?なんて言えばいいんだ?確かにグロテスクな描写は多々あるので、ホラーと言えばホラーなんだけど、別に恐い話じゃないしなー。どちらかと言えば、むしろファンタジック。狂った幻想と叙情が入り乱れる、ファンタジーとも言えます。

で、実は自分なりにはどういう作品なのかは理解しました。まあでも、たぶん間違っているんだろうな。でも書いちゃうと、これは”神話”だと思うんですよ。人間には理解出来ない神々の営みと勲しを描いていると言う点で。主人公の半神は、小学五年生にして身長195cm、体重を100キロを超える異形である雷太。この物語は、神話的英雄である雷太が、異界に迷い込み異形の怪物と戦うと言う物語であると思うのです。さらに言えば、平凡な彼の兄たち、利一と祐太は、彼の暴力に怯えるあまり彼の殺害を決意するわけですが、親兄弟から疎まれ憎まれるというのも神話の英雄ならば良くあることですね。それはむしろ雷太はただ存在するだけで、他者を破滅させるほどの存在であると言うことを意味しているわけです。まあ雷太自身も自分の暴力に悦に入っているので憎悪されるのも当然ではあるんですが、それも彼の”力”あってのこと。それゆえにからは現世から弾かれて、彼岸に迷い込むことになるのです。完全に行きて還りし物語とも言えますね。ただまあ、細部と言うか、イメージは相当に狂っていますが……。

あと、この作品が神話的であると感じるのは、異界がものすごく近くに存在していると感じられることです。裏山に分け入ればそこには異界があると言うレベルは、まだ日本人が神々と共にあった時代を思い起こさせます。野山に分け入ればそこには異界の神がいて、彼らは悪さを働いて、あるいは恵みを与えてくれたりするそんな世界です。実際にこの作品中には”河童”が出てくるんですが、彼らと普通に会話も出来てしまうという、異界感覚とでも言うんですか(いま勝手に考えました)、日常の連続の中に異界がするりと入り込んでいるような感覚を強く覚えました。このあたり凄まじい幻想性を感じましたね。この”河童”と言うのが、まさに気まぐれな異界の神そのものであり、知性的ではあるんですが、我々とは明らかに思考形態が異なる存在です。彼らを尊重し、付き合い方をわきまえていればそれほど危険はない存在ですが、利一と祐太は、彼らに雷太の殺害を依頼をしてしまうことから、異界と現世の垣根が崩れていくことになります。

そこから始まる雷太の物語は、完全に異界漂流譚と言えますね。異界に迷い込み記憶を失った彼は現世へ帰還するためにいくつかの試練を乗り越え、記憶を取り戻して現世へ帰還するまでを描いています。同時に、異界を現世に招いてしまったことから生じる恐怖もまた描かれていくことになります。異界の論理が現世を支配し、世界は少しづつ、あるいは一足飛びに狂っていくことになります。完全に砕け散り、異界と化した世界に帰還した雷太は、完全に発狂した世界で最後の戦いに望むことになる。この最後の戦いの描写は、なんとも荘厳であり、そしてどこまでも幻想的でさえあります。半神と見まごう異形である雷太と完全なる異形のハルマゲドン。まさに神話の世界の戦い。物語は何一つ確かな決着を見せずに終わりますが、永遠に続く神々の闘争をイメージさせるという点で自分にはまったく不満はありませんでした。

つまり、そこで”終わらないと言う神話は完結した”のだと、自分は思うのです。

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買ったもの

1.『月見月理解の探偵殺人(4)』 明月千里 GA文庫
2.『這いよれニャル子さん(6)』 逢空万太 GA文庫
3.『深山さんちののベルテイン』 逢空万太 GA文庫
4.『のだめカンタービレ(25)』 二ノ宮和子 講談社
5.『キガタガキタ!(1)』 西条真二 秋田書店

買った。

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2010.12.14

『パラケルススの娘(10)』

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パラケルススの娘(10)』(五代ゆう/MF文庫J)

パラケルススの娘シリーズの完結編。開始当初は、それまで(物語的にも本の厚み的にも)スケールの大きな作品ばかり描いていた作者だけに、ライトノベルの長編シリーズ(書き下ろし一冊完結型)を書けるのかどうか不安に思うところがあったけど、無事、そして綺麗に完結してくれたことに喜びを禁じえない。良かった、良かった。

シリーズ全体を振り返ってみると、前半は、やはり作者もラノベの尺の問題に苦しめられていたような気がしないでもない。作者の手が勝手にスケールを膨張させていくのを、ギリギリのところで食い止めているような危うさを感じました(まあ、自分が作者のそういうところこそ好きなので、そういう展開を期待していたためだと言われればそれまでですが)。今思えば、序盤の数巻はプロローグ的な位置付けだったので、イメージの氾濫を抑え目にしていたのかな。確かに登場人物も出揃った「緋袴の巫女」あたりから、作者の端麗なイメージが乱舞するようになった気もするし。その意味ではきちんと計算されていたのかもしれませんね。

物語的な事を言うと、主人公の二人の取り扱いが興味深くありました。一応、主人公は遼太郎になると思いますが、一方でクリスティーナもまた主人公に当たりますよね。この物語は日本においては”能無し”として蔑まれていた遼太郎が、クリスティーナの下で自分を見つめなおしていくという導入になります。クリスティーナが庇護者となり、さまざまな事件に巻き込まれる遼太郎を守り、導くという形で始まりますが、物語が進むにつれて、遼太郎は庇護される対象ではなくなって行きます。大体、6巻あたりで遼太郎の成長は完成されていて、すでに精神面ではクリスティーナを凌駕するところまで到達してしまうんですね。逆に、登場当初はヒーロー的存在と思われたクリスティーナは、その脆さが明らかになります。否、実のところクリスティーナの未熟さ(と言うか未成熟さ)は物語の当初から存在していて、遼太郎に自分の愚かさの象徴としてみなしていた節もありましたが、遼太郎がクリスティーナのなし得なかったことを(無論、クリスティーナ自身の援助があってのことであれ)成し遂げる姿を見て、ある意味で嫉妬していた節もあります。二人の関係は完全に対等になっているわけです。

この時点で、遼太郎とクリスティーナは一般的なヒーローとヒロインの関係とは決定的に異なっていますね。遼太郎は、実は非常に正しい意味での”ライトノベルヒーロー”に当たりますが、クリスティーナは、いわば”ただ一人のためだけにヒーローでありたかった”人に当たります。さらに言えば、守ることに”失敗した”人でもあります。それゆえに、目の前の人間すべてを助けたいと願う遼太郎に対して、苛立ち、嫉妬します。そのくせ、彼の絶対的な挫折は見るに忍びなく(おそらく彼女自身を重ねてしまう)、つい手を貸してしまう。そして、”すべてを守ってしまう”遼太郎に敗北感(と言うほど深いものではなく、羨望に近いかな?)を抱き続けることになる。遼太郎は遼太郎で、”能無し”である自分とはまったく異なる、”真に力に溢れた魔術師”としてのクリスティーナに憧れを抱きつつ、しかし、力を持ちながら”正しきこと”のために力を振るわないクリスティーナに苛立ちを覚えます。しかし、実際の魔術師との対峙にはクリスティーナの力を借りなくてはならず、無力感を噛み締めることにもなるのです。

つまりこの二人は「ライバル」なんですね。お互いを嫌いながら、しかし、決定的に無視できない。心情的に対立しつつ、心のどこかで自分にはないものを羨んでもいる。そんな二人が、さまざまな事件を通じてお互いに”デレていく”と話とも読めます。最初は反発するだけだった二人が、さまざまな事件を通じて、実は相手に自分がもっていないものを見つける話になるわけです。ただ、デレると言っても、最終的にお互いの信条のすり合わせはほとんどなくて、それぞれに自分の正義を完全に構築しているところが「ライバル」たる由縁ですね(遼太郎については、クリスティーナの反発から自分の正義を構築していった感じもあるな…)。

あー、今思ったけど、二人の関係はライバルだけど、”相棒”でもあるのかもしれない。最初は保護者と被保護者の関係だったけど、遼太郎の成長と(この成長度合いはマジ半端ない)クリスティーナの傷(未熟と言い換えてもいいかもしれない)がつりあった結果、この最終巻でついに完全に対等になるわけです。お互いに考え方は違えども、と言うよりも反発するからこそ、二人の間には確かな信頼が生まれている。それは”依存”とはまったく異なるシビアなもので、お互いに譲れないものがあり、それは時として相容れないこともあるが、だからこそ”譲れないものがあると言うことは信じている”と言うか。「自分は自分の信じる道を行くから、お前もまっすぐに自分の道を行けよ!」とお互いを叱咤する関係となります。この二人は、ヒーローとしての道はまったく異なりますが、それゆえにお互いの道にかける信念は信頼している。この関係性はすげーカッコいいなあ、と思いました。

追記。つうか、クリスティーナが”男”だったら話は最初から分かりやすかったんだけどね…。まあこれはいいか。

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2010.12.12

買ったもの

1.『バニラスパイダー(3)』 阿部洋一 講談社
2.『ジオブリーダーズ(16)』 伊藤明弘 少年画報社
3.『TAKE THE B STUDIO 完全版』 伊藤明弘 少年画報社
4.『ゴッドバード(1)』 長谷川裕一 ジャイブ

買った。

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2010.12.10

『庵堂三兄弟の聖職』

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庵堂三兄弟の聖職』(真藤順丈/角川ホラー文庫)

ホラーかと思って読んでいたら感動作だった。何を言っているのかわからねーと思うが、自分も何を読んだのか分からなかった。と言うのは冗談ですが、非常に不思議な作品。ホラージャンルと言われれば、確かに舞台設定や作中で取り扱われている架空の”職業”などは確かにグロテスクでありホラーのようにも思えるのが、しかし、グロテスクでおぞましい舞台設定で紡がれるのは、とある3兄弟の、愛と人生の物語であったのでした。兄弟それぞれが自分の人生の壁に突き当たり、とある家伝の職業を軸に、己の人生を見つめなおしていくと言う展開はある意味物語の王道とも言えますね。作者特有のどこか乾いた文体でそれぞれの苦しみと彷徨が語られており、ウェットな話になりそうなところを、淡々としていながらも美しい物語とさえ言えると思いました。ただ、”描写していること”はおぞましくもグロテスクであり、それでいて”描写そのもの”は端整ともいえる筆致であるところにギャップがあるように思います。そこがこの作品の不思議な味わいがあるところだと思うので、ここは長所だとも思いますけどね。グロテスクや汚い表現の中に、生きることの困難さに直面してしまった人々のまとう悲しみ、哀切が込められており、単なるイロモノと断ずるには難しい品格の高さがあると感じます。

さて、先ほどから、グロテスク、おぞましいなどと言う言葉を使っているんですが、そろそろぶっちゃけましょう。そもそも良質の人間ドラマが描かれているこの作品が、なぜか(?)ホラー文庫で出版されてしまった理由であると思われますが、それが庵堂家家伝の職業、”遺工師”であります。遺工師とはなにか?それは”遺体を加工して日常品を作り出す職人”なのです。死んだ人間の骨を、筋を、脂肪を、あらゆる部位を加工して、日常で用いる石鹸や櫛などを作り出す職人。それが遺工師。まあ、およそ現実に存在するとは思えない、異形の職種を、作者はその淡々とした筆致で克明に”仕事風景”を描いてみせるところはまさにホラー。あまりに淡々と描かれるので騙されそうになりますが、やっていることは遺体損壊であり、描写もあっさりとしつつも丹念で後に引く(なんの話だ)。延々とそういった描写が続くので、その部分だけを取り出してみれば、紛れもなくスプラッタホラーともいえます。ところが一筋縄ではいかないのがこの作品でして、遺体を解体して血と脂に塗れた遺工師と言う職は、しかし、遺族の祈りを込められた神聖な仕事でもあるのです。そう、遺工師とは異常者の所業ではなく、遺族からの依頼を受け、遺体から日常品を作り出すことで故人を偲ぶよすがとする、まさに聖職であるのです。なんだそりゃありえねーと思う向きもあるかもしれませんが、ところが、異常としか思えないその職業は、しかし、作品世界においては(特殊技能ではあるものの)当たり前の仕事として捉えられているのですね。ある意味、その一点のみがファンタジーとなっているとも言えます。

この時点で相当に混沌としているんですが、その上で作者は、家伝の業をめぐる兄弟たちのドラマを動き出していくのです。遺工師の職に就き、その職業に誇りを持ちながらも壁に突き当たっている長男。家伝に馴染めず都会に出るも、職場に馴染めず帰郷してきた次男。生来の汚言症のため軋轢の耐えない三男。長男のもとに送られてきたある依頼によって、それぞれが自らのルーツを求めて葛藤していくことになります。それぞれの葛藤が、遺工師と言う職業とリンクして向き合っていくという一連の流れは、実に繊細な哀切さえ漂う格調高い物語になっているのですが、繰り返しますが遺工師はぶっちゃけた話、死体加工業者です。兄弟たちが己の葛藤と向き合い、遺工師と言う職業に向き合えば向き合うほどに、作品は血と人脂と死臭にまみれて行きグロテスクさを増していくことになるのは必然と言えますが、しかし、彼らが現実と向き合い、立ち上がる糧を得る過程を描く筆致はどこまでも端整であり、美しさが損なわれることはない。むしろ遺工師と言う一点の異常が、物語に強烈な異界感をかもし出しているようにさえ感じられるのでした。

それが前述の不思議な読後感に繋がっているのですが、面白いのは、描写が丹念になればなるほどにグロテスクに、そして感動的な物語になっていると言う事ですね。物語を読み進めれば進めるほど、次第に人間の死に向き合う遺工師と言う職業について、当初感じていた嫌悪感に近い感情が、神聖この上ない職業に対する尊敬の念に変わっていることに気がついてしまう。いや、実際、素晴らしい職業だよ遺工師は(グルグル目で)!といいたくなってしまうぐらいには自分の中で価値変換が起こりました。親から受け継いだ業をめぐり、兄弟たちが葛藤し、それぞれの道を見出していく物語はどこまでも美しく、父親がその業に賭けた想いを知れば知るほどに彼らの物語に感動をせざるを得ず、遺工師と言う職業に対する尊敬の念はいや増す。ついにはラストシーンに至った頃には、爽やかとさえ言えるラストにうっかり感動してしまいました。いや、うっかりと言うか、実際に良く出来た作品なんですが、常識的に考えると何かがおかしい、ような気もする。だが、おかしいが何の問題もない!と言う心情に最終的にはなったのでオールオッケー。どいつもこいつもみんな愛すべき登場人物ばかりだよ。遺工師と言う職業も素晴らしい意義ある職業だと思いますよ(グルグル目で)。

追記。この作者、電撃文庫でも賞を取ってたけど、あっちの続きは出ないのかなあ。まああまりライトノベル的な作品ではなかったけど……。

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2010.12.09

『くいなパスファインダー』

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くいなパスファインダー』(瀬尾つかさ/一迅社文庫)

『円環のパラダイム』の続編と言うか姉妹編と言うか、そのような位置付けの作品みたい。前作は”学校”と言う閉鎖された世界におけるエゴのぶつかり合いとそれによる危機を描いていた作品だったけど、今回はより広い世界を舞台にした開放感のある作品になっている。分断され、異世界と混合した世界は、ある意味においてはとても未知と自由に満ち溢れた世界でもあるという側面を描いているのだろう。勿論、法も秩序も崩壊した世界で生き延びるだけの”力”があってのことではあるが…。その意味では、前作の人々はその力がなかったがゆえにあれほどの危機感と焦燥感にあったのであり、今作の主人公である”くいな”は力に満ち溢れている。危機よりも好奇心を優先し、己の命よりも知らないことを知ることを尊ぶ。そんな少女ならば、確かにこの世界は夢と希望に満ちたものになるのだろう。

そして、この物語はそんな強く美しい生き方をする少女に魅せられた少年、俊平の視点によって語られる。彼はある偶然から絶大な力、”魔法”を手に入れている。彼の力は強大であり、さらに本人はなんの努力も才能も得ずに獲得した力である。穿った見方をすれば、まさにラノベ主人公的な主人公と言えよう。ただし、自分で獲得したものではない力、実感の伴わぬ力など、実はなんの意味もないと言うことを突きつけられた少年でもある。彼の力は強大ではあるが、本人の力に対する無知が、彼自身を追い詰めてしまっていた。そんな彼が、くいなと出会うことによって、己の力の”意味を実感”していくことにもなる。それは成長物語と言う側面をとり、その意味では彼こそがこの物語の主人公であるとも言えよう。

だが、それはあくまでも一側面に過ぎない。これはあくまでも”彼と彼女の物語”なのである。すなわち俊平が力の意味を我が物としていくのと同様に、くいなと言うどこまでも他者と繋がることの出来ない少女が、”繋がり”を得るまでの物語でもあるのだ。ただし、それはただ少年と少女がお互いに気持ちが通じ合うと言うことではない。むしろ二人の間には、通じなかったと言う事実が最後まで残る。これは、物語の後半において、俊平とくいなが文字通り”心が通じ合った状態"になるのだが、むしろ心が繋がった時の方が断絶がはっきりするのである。俊平は、それまでくいなが何を考えているのかまるで分からず、彼女の心を知りたいと思っていたのだが、いざ心が分かってみれば、実はそれでもまるで分からないということが分かったのだ。それはくいなにとっても同様であって、彼女はつまり思考能力があまりにも優れすぎ、抽象性が高すぎるため、”言葉”と言う手段が伝達手段としては低すぎるために、無口であるわけだが、実のところ彼女自身、自分の意思が伝わらない(周囲が彼女の意思を汲み取るレベルに無い)と言う事実には孤独を深めていた。それゆえに、俊平と心が通じ合った状態に狂喜し、このままの状態が続けば良いと思うのだが、それはもろくも崩れ去ることになる。

結局、心が通じ合うことは理解し合うということとは別の問題なのだ。心が通じていても理解出来ないことは多々ある。その逆もまた同じ。相手の考えていることが分からずとも、相手を理解することは出来る。少なくともそのように信じることが出来る。おそらく信じることと言うのが、心が通じない、理解も出来ない”人間同士”と言う名の異種に対して出来る唯一のことなのだろう。相手も、きっとそう思っている。それを信じること。誰にでも出来ることではないし、誰に対してもする必要はないとは思うけれど、ただ誰か一人のためだけならば、それをすることはしてもいいのではないか。そのように思えるようになったのなら、きっと孤独ではなくなっているのだろう。

追記。内容について書き忘れた。瀬尾先生特有の”話の密度が濃すぎる問題”は相変わらずでした。テーマが絞り込まれていてブレが無いのだけど、物語に枝葉が少なすぎて窮屈と言うか、世界に広がりが感じられない。今回の話ではいろいろな場所に冒険をしているので大分開放感があるのだが、もうちょっと異世界感があれば良いのに、と思う。背景にいろいろな物語が想像できるだけに、なおさら窮屈さを感じてしまうのかもしれない。我ながら贅沢な話だとは思います。

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買ったもの

1.『ブレイクブレイド(9)』 吉永裕ノ介 ソフトバンククリエイティブ
2.『ケルベロス(4)』 フクイタクミ 秋田書店
3.『進撃の巨人(3)』 諫山創 講談社
4.『烙印の紋章(7) 愚者たちの挽歌よ、竜に届け』 杉山智則 電撃文庫
5.『ソードアートオンライン(6)ファントム・バレット』 川原礫 電撃文庫
6.『電波女と青春男(7)』 入間人間 電撃文庫

買った。

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2010.12.08

『とある飛空士への恋歌(2)~(4)』

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とある飛空士への恋歌(2)~(4)』(犬村小六/ガガガ文庫)

4巻が出た時点で、さすがに一巻を読んで放置していたシリーズを読破することにした。2巻~3巻途中まではカルエル君の無邪気(≒バカ)ぶりにハラハラしつつ(意訳:こいつウゼー)、あんまり好きにはなれなかったんですが、そこから4巻にかけて、犬村先生の描写の美しさに気がつき、面白く読めるようになりました。

そもそも、とある飛空士シリーズは、と言うより、犬村小六先生は実は自分にとって必ずしもすべて肯定できる作家ではないんですね。好きな部分もあるけど、同じくらいあまり好きになれない部分も多い作家なのです。時折、ものすごく美しいイメージを描写するかと思えば、一点、ものすごくあかぬけない場面を描くこともあって、びっくりしてしまう。空が広がっていくような美しいイメージを描くかと思うと、一方で耐え難いまでにベタベタなコメディ調になったりする。

まあこのあたりは好きな人もいるんだと思いますが、どうもバランスが悪く感じます。作者自身が自分の作風を徹底仕切れていないというか、悪く言えば”雑”なんですね。なんでわざわざそんな事を書くのか分からないような部分があるので、読んでいて困ってしまう。あと、主人公やその仲間たちの感情の動きについても、納得がいかないわけではないんですが、納得のさせ方が分かり易すぎるのがちょっと困りますね。このあたりは感覚的になってしまうので明確に指摘できないんですが、身も蓋も無い言い方をすると小説的ではなく脚本的と言う気がします。会話描写などは特にそのように感じますね。拭いきれない不自然さがあると言うか……。

しかし、一方でものすごく美しいイメージがあるのも事実。一番強かったのは4巻のラストシーンとか、ただ綺麗なものを見たような震えがある。積み上げているのは王道と言うか一つ間違えば陳腐な描写ではあるのだけど、その積み上げていったものはとてもとても美しいものでした。それまで積んできたクレアや学徒たちの描写を積み上げた結果があったからこそ、その美しさはある。ここは感心と言うか、うっかり感動させられてしまいました。このイメージ喚起力は見事と言うほかありません。他にもけっこう印象的なイメージがあって、空戦シーンはおしなべて空間的な広がりを感じさせる良い描写が多かったように思います。一方で、人間関係の方がドロドロしているんですが、それはそれで良いとしても、ドロドロの解決方法があまりにも力技すぎるかなあ。まあ良いんだけど。

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買ったもの

1.『紅kure-nai(6)』 原作:片山憲太郎 漫画:山本ヤマト 集英社
2.『怪物王女(13)』 光永康則 講談社
3.『多重人格探偵サイコ(15)』 原作:大塚英志 漫画:田島昭宇 角川書店
4.『ジンキ・エクステンド~リレイション~(3)』 綱島士郎 富士見書房

買った。 

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2010.12.05

『フルメタル・パニック!(12)ずっと、スタンド・バイ・ミー(下)』

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フルメタル・パニック!(12)ずっと、スタンド・バイ・ミー(下)』(賀東招ニ/富士見ファンタジア文庫)

気の向くままに書いたら、12巻だけではなくてシリーズ全体の思い出話みたいになってしまいました。だらだらと無駄に長いので、別に読まなくていいです。

フルメタも完結かー。初出が1998年だから、実に2000年代を通じて書き続けられた作品であり、この年代におけるライトノベルの代表作の一つであった、と言ってしまってもいいんじゃないでしょうか。少なくとも、2000年代を代表するラノベを上げよ、と言われたら自分はこの作品は候補5枠の内には入れるかな。残り4枠に何を入れるかは考えてないけど。

登場当初、長編と短編で”ジャンルがまったく違”っていて、非常に驚いた記憶があります。と言うか、たぶん、この作品が嚆矢であったような気がしますね。それまで、スレイヤーズなど、長編を書き下ろして短編を雑誌連載と言うケースはわりと普通にあったんですが(もっとも自分がドラマガを読んでいたのはずいぶん昔なので、現在はどうなのかは知らないんですが)、それでも長編と短編でジャンルが違うということは無かった。本編シリアス短編コメディと言う違いはあったけど、基本的にやっていることは同じでした。ところがフルメタは、本編がシリアスな架空ながら(当時としては)本格ミリタリーアクションラノベであり、宗介の兵士としての活躍が描かれながら、短編では兵士として純粋であるがゆえに平和な日本に戦場の常識を持ち込むことによって生まれるギャップを生かしたシチュエーションコメディであり、双方でやっていることの違いに、当時はものすごく感心したのでした。まあ途中で苦しくなったのか、短編連載終了してしまったけど、しょうがないかなと言う気もする。ニ作品を同時に書いているようなものだしね。

ただ、途中から続巻がなかなか出なくなったのは、やはり作者に対するプレッシャーは厳しいものになったのではないかと思われますね。良くも悪くもフルメタは有名になりすぎて、そして物語に要求される水準も途方も無く高くなっていて、単純な娯楽アクションだけでは収まらなくていたように思います。特に作者自身がそれを強く感じていたのではないかな、と妄想したりしました。『つづくオン・マイ・オウン 』を分岐点にして、それまでの爽快ミリタリー活劇からドシリアス方向に舵を取ったものの、そこからいささか迷走していたように思えます。一度、『燃えるワン・マン・フォース』で、”戦争”とはすなわち”殺し合い”であり、宗介は”人殺し”であると言う、人殺しの業に翻弄される人々を描くという、とてつもない暗黒ドラマを展開させたかと思えば、『つどうメイク・マイ・デイ 』ではハイテンションなロボットバトルに移行したり(ミリタリーは?)と、良く言えばバラエティ豊かで、悪く言えば話がブレ気味だったように思います。また、作者が物語の品質維持のために非常に努力しているのは良く分かるんですが、作品の視野を高く持つ弊害として、物語の細部が曖昧になってしまったように感じるのも残念なところです。ミスリル壊滅後、テッサの活動とかアマルガム側の策謀とかいろいろ大きな動きはあれども、結局、現場レベルの描写しかしなかったのは取捨選択の一つとしては理解できるものの(すべてを描写しては長編一冊に収まらない)、いろいろと物語を展開できる可能性があっただけに勿体ないことこの上ない。個人と組織の物語まで描いていけば、ジャンルを超えた傑作になりえたのかもしれなかったのだけど……。これはつまりジャンルを超えた傑作になるより、ライトノベルとしての完成度を取ったということかもしれませんね(またこれにも悪い言い方があって、つまり”冒険を避けて安全策をとった”と言う事も出来る)。

そのように大きくなりすぎていく物語を、ライトノベルとしての領域に留め、宗介とかなめの物語にまとめ上げていった作者の手腕は見事と言えますが、それによっていろいろ割を食った部分も多くあるように思います。特に宗介のライバルキャラとして登場したレナード・テスタロッサは物語の都合に翻弄されてしまっているように感じました。レナードは当初、妹であるテッサなど及びもつかない天才であり、同時にミスリルの大敵であるアマルガムの幹部として登場しました。常に余裕のある態度を保ち、かなめに対してアプローチをかけて来る描写から、レナードはミスリルの敵であると同時にかなめをめぐる宗介のライバル的な存在であることがほのめかされていました。事実、登場当初のレナードの”格”は限りなく高く、ラスボスになるのも味方になるのもどちらでも在りうるほどのキャラ格であったように思います。そのまま行けば宗介の対極者としての役割まで背負うダークヒーローの領域まで持っていけるかと期待をしたんですが、しかし、残念なことに彼の人物の掘り下げは物語が進むにつれても、ほとんど行われることはなかったんですね。と言うのも、宗介とかなめの間の物語力があまりにも強く、レナードの付け入る隙がそもそもなかったからです。かなめが、ほんのわずかでもレナードに男に対する好感を抱いていたら違ったんでしょうけど、かなめ自身のメンタルがあまりにも強すぎるため、レナードにはチャンスさえ与えられなかった。言ってみれば、間男にさえなれなかったのです。正直言ってこれは悲しい。男としてすごく悲しい。興味を持った少女に、まったく興味を抱き返してもらえなかったフラレ男。それがレナードの最終的な立ち位置になりました(言いすぎかな?いや、そうは思えないなあ)。おそらくレナードにとって最大のチャンスはかなめがレナードを撃ってしまった時ですね。あの時がかなめはもっとも罪悪感と同情で揺らいだ時期だったので、この時を逃さず捕まえればレナードにも勝機はあったと思うんですが……。その次の巻で、突然、頭に弾丸を食らってキャラが変わってしまったことに唖然としてしまいましたね。お前、ワイルドバージョンとか言っている場合じゃないだろうが(言ってない)。かなめにちゃんと構ってやれよ。何をやっているんだ(実はこのあたり、途中で路線変更があったんじゃないかと疑っているんですが……。やっぱり宗介とかなめの間にヒビを入れるのはヤバイと思ったんじゃないかと。下手するとかなめがビッチ扱いされかねない)。このワイルドバージョンも次の『ずっと、スタンド・バイ・ミー(上)』で雲散霧消してしまうし、このあたりにレナードの扱いが物語の都合に振り回されてしまっている感じがしますね。

最終決戦に当たる今作に至っても、レナードはかなめに従属している段階であり、男としては見られることはないんですね。作中におけるクライマックスは、おそらく宗介とレナードとのついに実現した五分の状況下による直接対決に当たると思うんですが、その時レナードが「なんだか知らんがとにかくお前が気に入らない」みたいなことを言い出すわけです。このあたりの文脈にはいろいろ考えるべきところがあるように思いますが、自分にはここに至っても、そんなレベルでしか対立軸が作れなかったのかなあ、と言う印象が強く残りました。つまり、二人はライバルにはなりえず、さらに言えば”敵”にさえなれなかったのだ、と。宗介とかなめの関係は磐石であり万全、余人の入る隙間はない。変貌したかなめを見ても、宗介は少しも揺らぎもせず、かなめも宗介に対する気持ちには揺らぎないため、さっきも書きましたが、恋のライバルにもなれない。敵(正確には宿敵)となるには二人の間には因縁が足りない(確かにレナードはミスリルの敵ではありますが、宗介自身はレナードに対する敵愾心は見受けられません)。二人が対決する理由が「任務だから」、「目的を邪魔するから」以外のものとなると「なんとなく気に入らないから」ぐらいしかなかったのかもしれませんね。やはり、途中のキャラ激変がレナードの敗因だったように思いますねえ。あそこできちんとかなめの罪悪感に向き合い、ついでにレナード自身の肉体に障害を遺すぐらいの重症を負っていれば、かなめの同情に付け込める可能性もあったのに……。まあ、これも後から考えればの話なので、後出しじゃんけんですよねー。

しかし、ラスボスの後にもう一山を残したのはけっこう良かったように思います。カリーニンの裏切りとしては正しい理由になるし、カリーニンの格も落ちないし、キャラもぶれない。そして、宗介が乗り越えるべき相手としてはこれ以上の相手はいない。その後の宗介の選択、決断まで、実に綺麗な終わり方でした。このあたりの落としどころは以前から練られていたんだろうなー。この終わり方なら、レナードが実はライバルでもなんでもなかった、と言う点も許せますね(あるいは、こちらのインパクトを強めるために、意図的にレナードのキャラ格を下げたのかもしれない)。

さて、ここまで散漫に書き綴ってみましたが(まとまらんかった……)、ここまで長く続いた、そして人気のあるシリーズを、何はともあれきちんと決着をつけてくれたことに感謝したいと思います。あのラストシーンは、いろいろな意味で感無量です。人気も出て作者のプレッシャーもとんでもないことになっていたと思いますが、ありがとうございました。コップクラフトの続きも、期待しています。

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2010.12.03

『シー・マスト・ダイ』

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シー・マスト・ダイ』(石川あまね/ガガガ文庫)

これは良い作品だとは思うけど、ライトノベルではぜんぜんありませんね。そもそもライトノベルの文法を完全に無視している。文章も硬質であるし、ラノベでありながらキャラクターを描写するよりも校舎の描写の方が力が入っているほどの無視っぷりです。ラノベ文法を無視することの良し悪しについては、まあライトノベルレーベルから出している事を考えれば、良いとは言えないのだろうが、一読者にとっては何一つ関係の無いことではあります。が、このあたりうるさい事を言う人もいるので、まあ、ねえ。などど口を濁すのでした。

冒頭は、とある中学校が突然テロリストに占拠されるところから始まるという非常にボンクラ魂が刺激される展開となります。突然に非日常に叩き込まれたクラスの中で、法の枷が外れたことによって欲望のままに行動するクラスメイトに対して、好きな女の子を守るために勇気を振り絞って対決する主人公の物語。ここまでは非常に正しいボンクライズムの発露であると言えるでしょう。物語は主人公とヒロインとライバル、そして”敵”の存在に絞られ、なんだかんだで知恵と機転と勇気によってヒーロー性を発揮し、暴力的で衝動的なライバルに対して渡り合う主人公は、世界の敵と疑われるヒロインを守るために戦いを始めていくことになります。いわゆる群像劇的な要素は薄いものの、バトルロワイヤル系の系譜をそれなりに受け継いでいるものと思われます。

しかし、そうしたボンクライズムは実は前振りに過ぎません。”主人公特権”にまつわる物語こそが本筋となり、一見、収束したかに見えた事件は、後半において新たなる展開を見せることになります。そこでは、主人公が必死に勇気を振り絞った行為に対する疑義が呈されることになり、ヒロインは一つの決断を迫られることになります。その意味では”主人公”と言うものに対する一つの議論であるとこの作品を捉えることも可能でしょう。ヒロインの決断そのものについては、自分はそれほど重視していません。あれは結論ではなく、一つの判断に過ぎないものと思われます。ただ、”ヒロイン”である彼女が下したもの、と考えるならば、なかなかに意味深くはありますが。

個人的な話をするのであれば、自分はあまり認めたくはありませんね。世界に承認された主人公の”意思”など、どれほどの意味があるというのか……。ご都合主義に対する皮肉、と言うのが一番素直な読み方だとは思いますが、単に皮肉であるのではなく、そのことによる幸福追求を行い続けた結果”何が生まれるのか”と言う点まで描いているところは評価するべきではないかと思うのでした。

 

・作品にはあまり関係のない雑記

この本を読んでいた頃、ついったーでのとある話題。これを読んで激怒したのを思い出したので書く。当時は激怒しすぎて何も書けなかったんだ。何を書いても罵倒になってしまいそうで。それはともかくとして、これ何に激怒したって、「お前らが”無駄”だと言っているのはお前らの了見での”無駄”だろうが!!」(当時の心境)ってところだったんです。無駄と簡単に言うけど、それが無駄だという根拠が良く分からなかったんですよね。描写が長い、物語に関係がないっつーのは、イコール無駄ではないと思うんですよ。”物語に関係がない描写を書いてはいけない”なんてのは、ただの決めつけに過ぎなくて、それが”正しい”わけではまったくないはず。勿論、個人で「この作品は描写が長くて読みにくい」と言うのはかまわないのだけど、それが”無駄”だと言うのは納得し難いなあ……。技法の正しさを、誰かに決め付けられたくはないなー。

少なくとも、あのあたりは自分にとっては映画的な俯瞰視点から物語が始まっているんだろうと感じました。最初に物語には関係のない外側から描写して行って、そこからカメラが狭いところ入っていく。それが効果的かどうかは別の議論になると思うけどね。だいたい”無駄な描写が無い”と言うのは”描写が貧しい”と言う事にも繋がる問題なのでそんな単純な話じゃないよ。たぶん、評者はラノベ以外をあまり読んでいないんだろうなー。ラノベ以外だったら作品の横幅を広げる目的で、物語に直接関係のない描写を増やすことなんてわりと普通にあるんだけど(まあただの水増しの場合もある)。

ガガガ文庫は、わりとラノベらしからぬ(と言うより、積極的にラノベの枠を拡大解釈する)作品を作るレーベルなので、このように言われるのはむしろ正しいことなのかもしれない。

どっちにしても、皆さんわりと保守的なんですのな……。

・さらに雑記

最後の方で”スニーカー文庫が育てた”と言う文脈で上げている作家全員が”続巻が出なくなっている”と言うあたり、もしかしたら高度な皮肉だったりしたのかしら?そのあたりに浅井先生が直接コメントしててびっくりしてしまいました。まあ、確かにご本人としては一言したくなるのかもしれない……。

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買ったもの

1.『ユンボル -JUMBOR-(1)』 武井宏之 集英社
2.『保健室の死神(6)』 藍本松 集英社
3.『スケットダンス(16)』 篠原健太 集英社
4.『銀魂(37)』 空知英秋 集英社
5.『PSYREN(14)』 岩代俊明 集英社
6.『クレイモア(19)』 八木敦広 集英社

ジャンプ漫画だけー。

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2010.12.02

『銀の河のガーディアン』

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銀の河のガーディアン』(三浦良/富士見ファンタジア文庫)

超未来における宇宙で、呪術によって成り立つ国家と科学技術によって成り立つ国家の対立が続く中、出会った少年と少女と、物語としては王道一直線を行っている感があります。しかしながら、『抗いし者たちの系譜』シリーズを読めばわかるように、王道と言うにはいささかクレバーな部分が作者にはあるので、そのぶん単純な冒険活劇にはなっていないように思います。未熟な少年少女が敵国のスパイと渡り合う作品を躊躇いなく描くことにリアリティが感じられないタイプなのかも、とも思います(妄想ですが)。それはともかくとして、主人公たちが単純に活躍するのではなく、もっと大きな国家間の状況から構築しているところが実に頼もしい。呪術と科学と言う異なるものを信奉する国家間の対立と、それに従って行動する組織、翻弄される個人がきちんと描写されています。主人公は生まれついて強大な魔力を持っているようですが、実戦経験と言うか、そもそも殺し合いの訓練を受けていないので、なかなか思うようには行かない。ただ、それによって主人公の格が落ちるかと言うとそうではなく、むしろろくな訓練を受けていないのに状況を生き延びていく主人公がすごい、と思わせられたのは状況が成立する過程の描写に説得力を感じたと言うことでしょう。もっとも普通のSF大河ロマンほどと言うわけではないので、その点に不満を持つ人もいるかもしれません。自分もライトSFオペラとしては優れているとは思いますが、冒頭で書いたよう大河ロマン的な設定~期待した人にとっては物足りないと思う可能性はあります。ただ、キャラクター中心に描きつつ(少年と少女のやり取りを中心に置きつつ)、必要最小限のキャラクターと描写で大きな状況を描き得たという点は評価されてもいいのではないか、と自分は思います。

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