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2010.11.09

『あるいは現在進行形の黒歴史 ―殺戮天使が俺の嫁?―』

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あるいは現在進行形の黒歴史 ―殺戮天使が俺の嫁?―』(あわむら赤光/GA文庫)を読んだ。

妹の考えていた中二病設定(小説ではない)が異界のなんやかやと結合して現実に侵食をしはじめちゃった、と言う意味ではわりと良くある(あるよね?)異能バトル系の話運びではあるんですが、妹の考えた中二病設定が現実化する過程において、ワンクッションを入れているところがおもろいような気がするなあ。単に中二病がそのまま現実化するのではなく、その設定を借りて、悪霊と死神の話が挟まっている。あくまでもメインは死神が現世に現れた悪霊を狩るというのは本来の話ではあるんだけど、悪霊たちが中二設定天使として顕現してしまったために、死神もまた”設定に付き合わなければならない”あたりがメタですよなー。メタな話をわりと好んで読んでいたのだけど、そのあたりの感覚にわりとフィットしたので楽しい読書でした。

内容の話をすると、ヒロインの一人である妹があまりにもガチすぎていて、なかなかインパクトがありましたね。ガチの中二病であり、ガチのブラコン。もう近親相姦一歩手前なレベルの兄好きで、これで美少女じゃなかったらドン引きですねー。そして、そのことに何一つ恥じらいも衒いもないあたりがまったくすごい。自分はわりとこういうノーガードって言うんですか、もう己の実存のすべてを賭けるっ!みたいなキャラは好きなので、普通にかわええのうーとかなんとかやっていました。巷に溢れるツンデレとかよりも、こういう一直線なキャラの方が好きなんですね自分。

主人公も、妹のガチさ、と言うかヤバさは充分に理解しつつ、兄として妹を支え守る立場を崩さないあたり、関係性が暖かくて良いと思います。充分にキモがりつつ、喧嘩しつつ、邪険にしつつ、ってあたりが兄妹らしいような気もしますね。

あと、この手の話には珍しく、主人公の両親がきちんと活躍します。活躍するというか、この両親が異常にキャラが濃くて、下手するとヒロイン達よりも目立っているくらいなんですが、両親と子供のやり取りをファンタジーに寄せつつもきちんと描いているのはいいんじゃないかなー。両親がきちんと作品上で重要な位置にいるラノベと言うのはあんまりなくて(母親、あるいは父親のどちらかと言うのはある)、すぐに出てくるのは俺妹ぐらい。その意味でもなかなか気持ちが良い作品でした。

あと、最初にも書いたけど、死神が悪霊を狩る物語が妹の作った中二病設定のせいで中二病異能バトルに変換されてしまっていると言うのが、個人的には最大にホットなところ。妹の作った設定が物語上の最上位に置かれており、作中人物たちはすべて設定に沿った能力を持っていて、その設定をどのように”出し抜く”かが重要であるところなんか、とってもメタねー、とか思うのですよ。

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