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2010.11.23

『六蠱の躯 死相学探偵(3)』

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六蠱の躯 死相学探偵(3)』(三津田信三/角川ホラー文庫)

ホラーとミステリを融合した結果、ミステリ要素が強まった作品と言うことは三作目においても変わりはないが、今回は主人公がわりと能動的に動いていた印象があります。今までは、どこか他人事と言うか、自分とは関係のない、事務的な態度で接してた事件に対して、自分の霊能力を積極的に活用してきています。被害者に対しても、自分から働きかけるなど、今までの、悪い言い方をすればスカした態度はなりをひそめつつあります。これは、さすがに二回の携わった事件を通じて、本人にも感じるところがあったようで、成長物語としての側面を描きたかったのかなあ、とも思いました。まあそんなに書き込みがあったわけでもないので(少なくとも物語上ではっきりとは描かれてなかったように思います)、どちらかと言うと、なかなか動こうとしてくれない主人公に業を煮やした作者が、強引に動かした気もしないではないですが、さすがに邪推ですよね。すいません。

さらにいえば、主人公の”死を見る”能力者と言う属性も後退し、普通の超能力探偵的な役回りになっている気もします。もともとホラーとしては成立してない作品ですが、完全に今回はサスペンスになっていて、殺人鬼と対決する主人公、の図式になっているようです。そして殺人鬼の背後で暗躍する謎の呪術師の存在が臭わされ、宿敵との対決やいかに、と言う展開。シリーズものとしては大きく動かしてきたところですが、開始当初のホラーとミステリとライトノベルの融合と言う側面からはちょっと離れてきたかなー。まあ、ポップでライトでドロドロとした不気味さは健在なので、エンターテインメントとしては十二分に楽しい作品ではあるので、特に文句をつけるところではありません。あしからず。

なお、ミステリとしての評価については余所に譲ります。フーダニット、と言うんだと思うんですが、誰が犯人なのかと言う点の謎解き部分については、充分に”意外な犯人”を演出できていたとは思いますが、なにぶん、自分は論理的推理力はイマイチなもので…。自分は充分に面白かったということだけは保証します。ただ、純粋論理なミステリを望んでいる人には向かないかもなー。

そんなこんな。

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