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2010.11.11

『月見月理解の探偵殺人(3)』

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月見月理解の探偵殺人(3)』(明月千里/GA文庫)を読んだ。

相変わらずひどい話じゃったー。いかにもラノベミステリ的に始まりながら、最終的にミステリがどうでも良く、ミステリ的なお約束はほとんど無視をしてしまうあたりがほんにひどかったわー。しかし、それによる物語の緊張感と言うか「ここからどうなっちまうんだ!?」感は相変わらず素晴らしく、キャラクターがへんてこりんな立ち方をしていることを含めて、うん、まあ、面白かったように思います。

この作者は、一言で説明してしまうと西尾維新フォロワーの一人ではあるんですが、その中ではおそらく図抜けた一人であろうと思いますね。少なくとも西尾維新同様、ラノベミステリにおけるお約束を常に裏切ることでメタ的な言及を行うところまではやっているし、極端なキャラクターのように見えて、実は意外と一般的なメンタリティ(と書くとちょっと違うんだけど)な登場人物など、それぞれに不思議な魅力がある。すごくバランスが悪いといえなくても無いんだけど、アンバランスゆえの魅力があるように感じるのです。

ミステリとしては、相変わらず読者の意表をつくことに特化している、と書くと過剰のような気もするけど、一寸先の展開が読めない緊張感や不安感は確かに変えがたいものだ。主人公が”犯人”になったり”彼女”が死んだり、ある程度は予想はしてしても、それでも可能性としては低そうなことがどんどん起こるあたり、次は一体なにが来るんだろうと、読者としてはとても楽しかったです。

そして、読者の意表をつく展開をこれでもかと繰り出しながら、そしてキャラクターもまた戯画的に描かれながら、登場人物の動機や心情などは驚くほどに繊細であり、また普遍性を持って描かれている。一般的なそれからは離れているけれども、そこには確かに倫理があり、”正しきこと”がある。理解は傲慢で高慢で残酷でさえあるけれども、そこを外していないからこそ、彼女は”正しくある”ことが出来ているのだし、ただのピカレスクではなく、ただの壊れたセカイ系でもないところに物語を持ち込んでいるように思うのです。

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