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2010.11.22

『四隅の魔 死相学探偵(2)』

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四隅の魔 死相学探偵(2)』(三津田信三/角川ホラー文庫)

死相学探偵シリーズの二作目。一作目で形作られたオカルト要素を踏まえた真面目なミステリと言う方向性は堅持しているので安心感がありますね。超常現象が存在していることは前提としてあり、事件は悪霊の仕業なのか、あるいは人間の仕業なのかを見極めるところに推理がある。探偵が登場するまでの序盤の展開は、明らかなまでに古典的と言うか王道と言うか、ホラーものを踏襲しているのだけど、それが悪霊の仕業なのかどうかは不明である。悪霊だけが人を殺すのではなく、人間だって殺すのだ。むしろ、人間が殺す方が世の中には多いだろうから。

死を見ることが出来る探偵である主人公は、この世ならざるものを見ることが出来るのだけど、同時に、この世に存在するただ人でもあるので、戦う相手を見極めることが出来なくては事件を解決することが出来ないんですよね。そして戦う相手を見極めていく過程で、死者の想いと生者の望みに直面していくことになる。登場人物たちの動機や目的を描くのにも、オカルトと論理の両面から描くことが出来るところがこのシリーズの面白さではあるように思います。

内容については、前作よりもホラー要素が高かったように思います。先ほども書きましたが序盤から中盤、一部では終盤までホラーの雰囲気を強く感じました。”犯人”の正体が人間なのか悪霊なのか呪いなのかが不明で、それを追う主人公にさまざまな現象が起こっていく過程は(その現象が超自然なものなのかも不明)なかなか緊迫感と言うか、ゾッとする恐ろしさがあったように思います。その後、正体不明の存在が(オカルトであれどうであれ)明らかにされていくにつれて、恐怖が解体されつつ、しかし、オカルトの部分は残るあたり、作者らしいバランスを感じました。

キャラクター小説にしてホラーというジャンルとしてはなかなかよくまとまった作品になっているように思います。

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