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2010.11.16

『十三の呪 死相学探偵(1)』

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十三の呪 死相学探偵(1)』(三津田信三/角川ホラー文庫)を読んだ。

作者の別シリーズと世界観を共有しているらしき本シリーズだけど、他シリーズでは不確かであったオカルトの世界をはっきりと描いているところが大きな違いだと思われます。主人公が”死を見る”ことが出来る霊能者であり、”死”と言う人間の認知外の現象を認識することが出来る。これは作者のシリーズの中では、決して描かれなかった部分であり、描かれなかったことによって恐怖をたたえていたことを考えれば、随分と思い切った方向に舵をとったものだと思います。おそらくライトホラーを志向している作品なので、今までは描かなかった恐怖を可視化し、恐怖を中和させようとしたものとも考えられます。

恐怖を可視化することによって、すなわち超常現象を一度完全に存在を認めることによって、どのように作品が変わっていったのか。驚くべきことに、今までよりも、ミステリ要素がより強くなるという結果になりました。超常現象を認めたのにミステリ度が高まるとはおかしいような気もしますが、良く考えれば自明のことでした。つまり、一度、存在が明らかになった超常現象は”恐怖”足り得ず、それは世界を構成する一要素に過ぎない。悪霊だろうと呪いだろうと”ある”と言うことが認識されれば、それはトリックを構成する素材に過ぎなくなる、と言う事かもしれませんね。と言うわけでこのシリーズは、作者の作品中でもっとも霊能的な要素が協調されながら、その悪霊や呪いが発生する原因、すなわち”人間”がメインになるという作品になっています。個人的には、西澤保彦先生のチョーモンインシリーズを思い出しましたな(あれの”呪い”版と言う感じ)。

ただ超能力と違って”呪い”には明確なルールが見え難いので、どのようなルールで呪いが発動しているのか、そして何故呪いが発動しているのかと言うところがミステリ的な焦点になっています。理不尽としか思えない呪いの法則と原因を見つけ出すために、主人公は知恵を絞ることになるわけですが、このあたりがミステリとして成立しているのかと言うと、良く分からないです。自分はイマイチ論理的な思考が苦手と言うこと考慮しても、この情報だけで真相(と言うか法則)を見出すことが出来るものだろうか……?まあ、法則を見極めたあとに真犯人当てが入るので、そこまで含めれば充分にミステリではあったように思います。

一巻目だけあって、主人公やレギュラー、そして宿敵の顔見せのような回になっていて(まあ宿敵は出てこないけどな!)(それゆえに恐怖足り得る)、わりとキャラクター小説的にも充実していたように思います。ぶっきらぼうで態度が悪く、ちょっと情に流されやすい主人公はわりと好感が持てるタイプ……なんじゃないかなあ。よくわからんが。

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