« 買ったもの | トップページ | 買ったもの »

2010.09.22

『アンチ・マジカル ~魔法少女禁止法~』

61rjuwxcc8l__ss500_

アンチ・マジカル ~魔法少女禁止法~』(伊藤ヒロ/一迅社文庫)を読んだ。

正直なところ、あまりにもウォッチメンでありびっくりしました。冒頭からしてウォッチメンの完全コピーであり、その徹底ぶりはもはやパロディとかそういうレベルを超えている。なにか執念のようなものさえ感じますね。と言うわけでウォッチメン魔法少女バージョンであるわけですが、なるほど、確かにアメリカにスーパーヒーローがいるのなら、日本には魔法少女がいたんだよなあ、と、えらく納得をしてしまいました。アメコミヒーローと対峙する、かどうかは分からないが、少なくとも日本における一大潮流であることには疑いない。さらに、強くてマッチョなヒーロー(とも限らないんだけど、ここは魔法少女と比較してということで)に対して、魔法少女は幼く弱い少女が主人公であるあたりに、日本的な歪みと言うか捻れがあるとも言え、実に興味深いところではあります。

内容はあまりにもウォッチメンそのままでありすぎたので正直どうかと思ったのは正直なところです。とくに中盤までの、場面をコマ割単位で再現しようとしているあたりは、その熱意は感じられるものの、面白さと言う意味ではなんとも言いがたい。個人的には、同じような展開をしつつも、そこにアメコミヒーロー的なものと魔法少女的なものの齟齬が生まれてくるのではないかと思ったのだけど、存外、差異が感じられない。これはちょっと残念だったように思います。もちろん、実際の魔法少女ものの歴史を踏まえて、モデルとなった作品を丹念に再構築しているあたりには確かに面白かったんですが、そこに明らかな差異が生まれていたかと言うと、それほどなかったように思いました。

しかし、クライマックス部分を読んだ限り、作者はどうやら”その先”を描くつもりがあるようです。主人公が自分の憧れは”偽物”であると言うことを理解し、その模倣として、自らの魔法少女像を構築したあたり、現実の魔法少女の流れ(”サミー”や”なのは”など、本来はジョークとしての魔法少女が本流になってしまう)と言うあたりを考えると、かなり真面目に偽史としての魔法少女をやろうとしているのかもしれない。いや、その視点で考えてみると、歴史を魔法少女で語りなおそうという試みは冒頭から確かに散逸されてはいたので、この行き着く先は最初から考えられていたのかもしれない、と、作品の視線の意外な(失礼)高さに驚いたのでした。まさに冗談かと思ったらガチだったと言うあたり、魔法少女の流れに沿っていますね(笑うところ)。

最大の心配は…これ本当に続きが出るの?と言うこと。もちろんラノベジャンルとして受け入れられるのかと言うところもあるけど、なによりここまで大風呂敷を広げてしまって、作者は畳むことが可能なのかどうか、すごく心配。非常に期待するところは大なので、頑張って欲しいものですが…。

|

« 買ったもの | トップページ | 買ったもの »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/49523531

この記事へのトラックバック一覧です: 『アンチ・マジカル ~魔法少女禁止法~』:

« 買ったもの | トップページ | 買ったもの »