『ケモノガリ(2)』
『ケモノガリ(2) 』(東出祐一郎/ガガガ文庫)を読んだ。
ヒドイ。これは本当にヒドイ(褒めてます)。前作にも増してさらにヒドくなっています。主人公の強さに説明がなく、たんに”そういう生き物だから”と言う割り切りぶりは相変わらずですが、今作の主人公はもうすでに人外の領域に入り込んでいるのは想定内ですが、主人公の持つククリナイフまでスーパー化が進んでいるに至っては開いた口がふさがらねえぜ!いったい何十人切り殺しているんだよお前は!銃弾を弾き何十人(もしかしたら何百人)惨殺して”刃毀れ一つない”とかもうそれは人間の武器じゃねえ!戦車とか両断できるんじゃねえかこのククリナイフ…。
あと、さっきは想定内と書いたけど、主人公のスーパーサイヤ人ぶりにも相当に引っくり返りました。もうレジスタンスとか要らない!装備とか補給とか関係ない!作戦とか戦略も無視!主人公さえいれば革命は全部完了してしまうじゃないの!一人で各地の基地を全部潰すとか、一体全体どうなっているの!!それまでうだうだ潜入!とか暗殺!とかいちいちやってのがバカみてえだろうが!お前らがさっきまでやってた作戦にはなんの意味があったんだよ!最初からやれよ!!
すまん、ちょっとヒートしてしまった。とにかく、全編ツッコミどころと言うか、ツッコミどころしかないのは前回と同様ではあるけど、前回に比べてもB級感がより過剰になった感じかなー。前作はうっひょーバカーサイコーとか言いながら楽しんでいた自分だけど、今回はところどころ振り切られちゃったもん。唖然とさせられるというか、ギリギリで持ちこたえてた作品の緊張感が、バカの方向に踏み出しちゃったっつーか。まあこれはこれで面白いのだけど、前回の緊張感とシリアスとバカの奇跡的なバランスは、やっぱり奇跡だったんですかねえ。
まあだからと言って、悪いものではないんだけど。やりすぎてもはやシュールギャグになっているんだけど、そういうものだと思って読めば確かにすごい。最後のおばあちゃんとか、度胆を抜かれたよ変身シーンに。渾身のアホだった。真面目にやっているところがまたシュール。恐ろしいところは、東出先生はこれを本当に格好良いと思って書いていそうなところよね。ギャグのつもりで書いていては、この異様な迫力は生まれないよね。これがシリアスな笑いか…。
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