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2010.08.28

『はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ』

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はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ』(白川敏行/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。

(コメントで指摘を受けたけど、白川先生は新人じゃありませんでした。これは自分の認識ミス。失礼しました)

新人だと多くは話の展開が荒削りだったりお約束を回避しようとして観念的になったりすることがあるんだけど、この作品においては驚くべきことにほとんど感じられなかった。<換象>と言う作品世界における超能力の取り扱いにも設定がしてあって少年漫画的なレベルで作りこんでいるし、そもそも舞台となる惑星自体にもSF的な設定を匂わせて奥行きがあるし、何より登場人物たちに過剰に感情移入はしないが読者に魅力的に見せる手続きは怠らないあたりなど、非常に丁寧な内容になっている。いや、これはちょっと見事だよ。非常にプロい仕事。全体的に高レベルでまとまっている分派手な印象はないけど、それは完全に作者の掌の上だよな。バランスが非常に良いので、逆説的に突出した部分が見えてこないさり気なさ。個人的には作者の主張が強すぎず、エンタメとしての作りこみを優先する姿勢は評価したいところですね(自己主張が強いのも悪いわけではないけど)。

登場人物がけっこう多くて、しかし、それぞれの顔がはっきりと分かるという点も良いですね。これは単純に書き分けが出来ているというだけではなく、それぞれが魅力的に描かれているという意味です。それぞれが別の行動原理を持ち、別の目的を持ち、多様な背景を背負っている。とりわけ特徴的なのが、メインキャラである主人公たち3人がそれぞれに主人公級の背景を背負っているのだけど、そのあたりの読者への開示の仕方も手馴れているというか、物語の手続きをきちんと踏まえているように思います。わかりやすいんじゃなくて、自然なのですね。

後半に入ってもキャラクター描写の描き方にはまったく危なげなくてよいです。会長のエピソードなんて、バトル部分と本人のキャラ設定をきちんと踏まえていて、とにかく上手いですね。メイン3人集がそれぞれの異能を明かしていく展開に至ってはおもわず「ほう、ほうほう」とか声が出た。

さように、いろいろと上手さを感じる作品だった。なんか絶賛してしまっているけど、なんとも貶し難い作品でもあるのよね。粗が見え難い。もちんろこれは長所であって、早く続きが読みたいものです。

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コメント

白川敏行は新人ではないかと

投稿: | 2010.08.29 02:39

あ、そうなんですか?これは確認ミスでした。ありがとうございます。

投稿: 吉兆 | 2010.08.29 10:26

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