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2010.07.07

『さよならペンギン』

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さよならペンギン』(大西科学/ハヤカワ文庫JA)を読んだ。

大西科学がハヤカワ文庫に!?と最初は驚いたけど、まあ順当なところではあった。あんまりライトノベル的な売り方は出来ないもんな。ならばハヤカワ文庫に移籍したことでどうなったかと言うと…うん、なんと言うか、すごくライトノベルと言うかキャラクター小説っぽかったです。SFのフィールドだとラノベに見えて、ラノベのフィールドだとSFに見えてしまうというのはちょっと作者にとっては気の毒なような気もするなあ…。

とは言え、SF的なキャラクター小説としては充分に面白く、最後に残る余韻を含めてわりとSFらしさを持っていたと思う。ただ、バトル展開があちこちにあるんだけど、正直それはいらなかったんじゃないか…?と思わないでもなかったです。冒頭の授業シーンとか、その後のペンダンとの生活とか、”教授”の講義とか、すごく刺激的でわくわくさせられたので、最後のまとめ方が、人間の情念に収束してしまったのは、なんと言うか、最初に期待していたものとはちょっと違ったように思えてしまったのでした。少なくとも、バトルシーンは要らなかったんじゃあ…?そんなことをしなくてもペンダンは充分にキャラは立っていたし、主人公のやり取りとかも面白かったし、何より冒頭の静謐で穏やかなシーンからの着地点としては、ちょっと不満が残りました。

とは言え、冒頭のシーンから続く、飄々としながらさまざまな論理で世界を構築していく一連の過程は非常にスリリングであったし、リリカルと言ってもよい世界認識はとても良いものだと思いました。まあ確かにここから物語に決着をつけるのは困難なので、”敵”を作れないと終われなかったのかなあ、と邪推してしまいますな。まあ、次は一冊まるごと世界認識だけの話も読んでみたいと思います。

売れるのかどうかはわからないけどねえ…。

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