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2010.07.13

『ロッド&ブレット』

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ロッド&ブレット』(水城正太郎/幻狼ファンタジアノベルス)を読んだ。

『いちばんうしろの大魔王』の作者です。原作を読んだが意外なことに(実に失礼)面白かったので、興味を持って単発シリーズらしくこの作品を買ってみました。なにやら文明崩壊後の、19世紀アメリカっぽい世界観で繰り広げられるライトハードボイルドと言った風情。わりとハードボイルドとして本格派と言うか、会話がなかなかに洒脱で警句に満ちていて、作者はハードボイルドのセンスがあるなあ、と感心しました。この警句センス(なにそれ)についてかなり良い感じだったのは嬉しい誤算(重ね重ね失礼)。大魔王でもちょっと感じたけど、この作者、どうも土台の部分はSFとかハードボイルドとか、あっちのところにあるような気がするなあ。ライトノベルはその一環で書いているという感じもする。実のところ水城正太郎は極めてクレバーなタイプにように思えるのですね。萌えとかエロとか計算して書いていて、その意味ではヤマグチノボルの同じタイプと言えるでしょう。ただ、ヤマグチノボルはその計算をした上で読者の欲求に最大限に応えるタイプであるのに対し(言うまでも無いですが自分の勝手な妄想です)、水城正太郎はどちらかと言うと自分の書きたいものを優先するタイプであるように思います(繰り返しますが勝手な妄想です)。 どんなに萌えエロを書こうとしても、どうしても作者が顔を出してしまう。これは弱点でもありますが、それだけに書きたいものが明確にあるということでもあり、悪いことでもないように思えます。

さて、盛大に話が逸れたので内容について。ライトハードボイルドとしては予想以上に満足感のある作品でした。タイトルにもなっている若き富豪ロッドと元革命家ブレッドのコンビのキャラクターが立っていることは勿論、彼らの軽快でユーモア溢れる会話や、それなりの経験に基づいたカッコいい台詞など、なかなかに隙がない。ハードボイルド的なカッコよさと言うのは、下手をすると極めて痛々しい中二病的なものになってしまうことがほとんどですが(ライトノベルでハードボイルドを志向すると大抵そうなる)、こちらの作品では本当に主人公たちの人生観が見えて、なかなかに重みを感じました。やっぱりきちんと作者が経験と人生観を持っている人だと作品が締まりますねー。善き哉。

作中で起こった出来事についてはわりと突き放した距離感があるのもハードボイルド。ハッピーエンドではなかったり、主人公側が割りを食う展開があったりもしますが、そうした苦味は薬味みたいなもんだよね。すっきりした展開にはなかなかならないところもありますが、それもまた自分は評価したいと思いました。

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