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2010.07.20

『くあっどぴゅあ』

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くあっどぴゅあ』(木本雅彦/ファミ通文庫)を読んだ。

ロボットにかける若者たちの青春、と言う感じでなかなかナイスなSF。だけど、正直、ライトノベルとしてはキャラ付けが浮いている気がするなー。ライトノベルとして浮いているのではなくて、ライトノベル的部分が作品から浮いているのね。これは大きな違いです。つまり、もともとこの作品は舞台設定とサイドキックと言うロボットスポーツ競技の設定だけで8割方勝っていると思うんだけど、どうもライトノベルの客層を意識しすぎたのか、キャラクターの描写が違和感を覚えるのでした。先に同作者の『星の舞台からみてる』を読んでしまったせいもあるかもしれないのだけど(感想は近いうちに)、どうもラノベナイズされた戯画的なキャラ描写が作品のソリッドな雰囲気にあってなくて、正直、こういうキャラ描写はいらなかったような気がするんだけどなー。

とは言え、そうした部分を考慮してもなおやっぱりこの作品はナイスであろうと思います。サイドキックと言うロボット競技が単純に面白いと言うのもある。やっぱり、こういうスポコン物と言うのは勝負そのものよりも、勝負に至る過程こそが重要であろうと思うのだが、単純に技術を磨くのではなく、それぞれの持つ特技や特性がピタリとはまっていく共同作業の描写が大変に幸福なもので、好ましいと思います。こういう類いの幸福さと言うのは、実にライトノベル的な売れ線ではないので大丈夫かなあと思ったりもしますが(ハイ、余計なお世話ですね)、そこに主人公とヒロインの間で繰り広げられる恋愛模様でバランスを取ろうとした作者の努力は買いたいところです。もっとも、この部分が非常に主人公の煩悶とした心理がリアルで、言い換えれば実に泥臭く(むしろライトノベル的には悪化しているのだけど)、作品としてはとても面白くなっていると思います。

あと、サイドキックと言うのが単純なロボットバトルでは終わらないあたりの確かな技術的想像力に基づいた発想が面白く、ああ、やっぱり作者は現代と地続きの(しかし架空の)未来を描く力がある人だなあ、と思いました。うん、やっぱり普通にSF青春スポコンとしておもしれえな。続きは読みたくもあり、読みたくもなし(きちんと完結しているしね)、と言ったところです。

ライトノベルの良さといえば懐の深さなんだから、こういう作品ももっと受け入れられるべきだと思うんだよな。と言うわけでSFに興味のある人に向いているかも。

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