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2010.06.07

『舞面真面とお面の女』

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舞面真面とお面の女』(野崎まど/メディアワークス文庫)を読んだ。

本当に最近のラノベ作家はジャンル意識が高いっつーか、意識的に脱ラノベを目指している印象があるな。僕はあまり詳しくないんだけど、ミステリにおける本格からアンチ本格とか脱格が盛り上がったみたいなもん?もしかしたら、今、自分はラノベ史における重大な転換点を目の当たりにしているのではないだろうか・・・などと思った。まあこのあたりを突っ込むと話が脱線するので別の機会にするけど、なんか最近のラノベは、やりたいことが一周して、文化として爛熟しきっているのではないかな、と思うわけです。ラノベがただラノベであるだけではもう足りなくて、一度解体して、再構築、再統合としているんじゃないかな。まあこれは別の話。

さて、脱線も甚だしいので、話を戻します(と言うかまだ話に入ってさえいねえよ)。この野崎まどと言う作家は、まさしくジャンルラノベを解体し、さらにミステリの文脈でもって語るという、まさしく西尾維新の正当な後継と言うべき書き手であろうと言う自分の認識を新たなものとしました。と言うか、この作品はジャンル意識がものすごく不鮮明なのです。メディアワークス文庫と言うレーベルの問題もあるのでしょうか、物語自体の開幕は明らかにミステリ的に始まります。しかし、祖父の遺言によってとある謎を解くことになった主人公、真面が、途中で登場するお面をかぶった少女とであったあたりから、だんだんとミステリとしての体裁が怪しくなってきます。祖父の写真にも登場するお面をかぶった少女の存在が、ミステリとして始まった物語を混沌の中に落としこみ始めるのです。

とは言え、ミステリと他ジャンルを融合させようと言う試みは実はそんなに珍しいことではないですよね。ファンタジー、SF、ホラー、いわゆる脱格とか変格とか(良く知らんのでイメージです)呼ばれる作品群でおおいに取り入れられました。その意味では、この作品は別に目新しいところではないと言えます。ただ、僕がちょっと新鮮だなと思うのは、(先ほども書きましたが)この作品はミステリをライトノベルのお約束ごとの上に成立させているという点です。ライトノベルのお約束をモチーフにしていること自体がミステリとしてのミスリードとなり、逆もまた真なりとなっているという事ですね。ライトノベル的手法とミステリ的手法の双方を用いつつ、物語をどちら側に落とし込むのかを最後まで明らかにされることはない。これを”ライトノベル”として描いているというところが新しいな、と思うのです。何より前作と継続して考えて、少なくとも作者はこのテーマを一発芸としてではなく、本気でメインテーマとして描くつもりのようですし、果たしてこのアイディアと構造勝負がとこまで続くのかを含めて、非常に興味深いと思いました。

つーか、ラストは正直、ゲラゲラと笑ってしまいました。ライトノベルとミステリをこうも扱うのか、と。ライトノベルであるということ自体が伏線になってんのなー。

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