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2010.06.29

『ジョン&マリー ふたりは賞金稼ぎ』

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ジョン&マリー ふたりは賞金稼ぎ』(桝田省治/ハヤカワ文庫JA)を読んだ。

とても楽しい作品でした。騎士養成学校は卒業したものの、家督を継ぐ家もなく、仕官する先もないと言う、まるで就職先が決まらない大学生レベルにはお先真っ暗なジョンが、色々と偶然が重なってマリーにプロポーズしてしまったことで、マリーの両親に結婚を認めさせるために一財産を築かなくてはならなくなる。そんな二人が賞金稼ぎとして色々な事件にドタバタしながら関わって行く、と言う話だ。二人のいちゃいちゃぶりや、なにやらきな臭い陰謀など、エンターテインメントとしての要素はすべて兼ね備えている。色々な”面白さ”の要素を贅沢に盛り込んでいるあたり、作者は実にサービス精神が旺盛だなあと感心しました。

ただ、個人的には手放しに褒められないところもあり。というのは、どうにも物語の手順が基本に忠実すぎて、読者側としてはまったく予想を裏切られるところがないと言うところがあって。いや、別にこれは欠点ではなく、むしろ安心して読めると言う意味では、むしろこういう作品を望んでいる読者もいることであろうとは思うんですが、読みながらまったく「ため」がないというか、ストレスが感じられなかったんですね。やっぱりカタルシスって言うのは、それまでに読者にある程度のプレッシャーあるいはストレスをかけることで、それが解消されることによって生み出されると自分は思うのですが…。

物語自体は波乱万丈であり、起伏もあるのですが、いかんせん物事がパタパタとスムーズに(悪い言い方をすると単調に)進んでしまうのがちょっと。説明するのが非常に困難なのですけど、そのー、アミューズメントパークのアトラクションって、何もこちらがアクションをしなくても、どんどんイベントが起るじゃないですか(中には観客参加型のアトラクションもあるけど、それは除外します)。観客は別に何もトライしなくても、物語は進んでいく。で、今回の作品では、ジョンの視点から見ていると、まるでジョンがアトラクションでもやっているかのような印象を受けてしまったのです。ジョンから何もアクションをしていないのに(あ、プロポーズの部分は自分から動いてましたね。そこはともかく)、なぜかイベントの方からジョンのところに舞い込んでくると言うところに、非常にアトラクション的なものを感じます。

まあ、そこはきっと読み手の趣味の問題で、なにも事件を起こすのにひたすらプレッシャーをかければ良いというものでもないのですが、そのあたりが個人的には残念でした。

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