« 買ったもの | トップページ | 買ったもの »

2010.05.23

『RPG W(・∀・)RLD(5)―ろーぷれ・わーるど―』

519nektm5tl__sl500_aa300_

RPG W(・∀・)RLD(5)―ろーぷれ・わーるど―』(吉村夜/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。

相変わらず非常に啓蒙的な作品でした。今まで主人公のユーゴが完璧なまでの勇者ぶりを発揮させつつも、それは仲間(とくにショウ)の支えあってのことであるということを今まで(ユーゴの勇者物語を阻害しないさりげなさで)描写していたが、とうとうユーゴの歪みが表層に現れてきました。勇者をロールプレイすることを決意し、それを実行できるだけの実力と機転を持ち合わせているユーゴに感情移入しているとこの作品は実に読者の願望充足を満たしてくれる作品なんですが、そのような安易な”英雄的行為”と言うものに対する危うさと言うものに足を踏み入れつつあるようだ。

勇者たらんとしているユーゴの責任感が、だんだんと化けの皮が剥がれて来るというか、自らに課した責任感のために、行動に焦りが伴ってきている。この状況に陥っても飄々と女の子にもていることしか考えてないショウ(ブレのない男だ)が今までユーゴの足りない、余裕の無さを補いつつあったが(特に前巻あたりから意識的にショウもその役目を自分で担おうとするところがあった)、それでもまだ”足りない”と言うことが明らかになりつつある。

まあこれはユーゴがそれだけ重い責任を負っており、その重荷をだれも肩代わりを出来てないということでもあるのだが、プレッシャーを跳ね除けようとするユーゴを、それを支えようとして、それでも支えきれないという構図が出来上がってしまっている。結果、ますますユーゴの負担は増えつつある。今回は言うなればインターミッションの回であるのだが、そうした脇道に逸れることにさえユーゴは自らの焦りを露にしてしまっている(これは、結果を受け止めるだけの覚悟がユーゴに出来てないということも出来る)。

結局、この作品において、ユーゴは常に先駆者であり、だれもその先を指し示してくれないというところが、非常に厳しい物語であるのだよな。本来、この手の英雄物語には主人公を導く”賢者”が存在するのだが、なぜかこの作品には存在せず、賢者と勇者の両方の役割を、ユーゴは求められてしまっている。それは、それまでゲーム好きな普通の高校生だった少年にはあまりにも重い役割であろう。

おそらく、ユーゴがプレッシャーに押しつぶされるのもそれほど遠くないと思われるのだが、そのとき、彼のパーティーは彼を支える、あるいは道を指し示すことが出来るのかと言うところが重要になってくるのではなかろうか。

|

« 買ったもの | トップページ | 買ったもの »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/48440272

この記事へのトラックバック一覧です: 『RPG W(・∀・)RLD(5)―ろーぷれ・わーるど―』:

« 買ったもの | トップページ | 買ったもの »