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2010.05.17

『高慢と偏見とゾンビ』

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高慢と偏見とゾンビ』 ジェイン・オースティン、セス・グレアム=スミス 二見文庫

マッシュアップ小説!そういうのもあるのか!と、なにやら新し物好きでゾンビ大好き本読みの間で話題を集めている今作ですが、万が一、知らない人のために説明すると、『高慢と偏見』と言うジェイン・オースティンの原作(映画にもなっていますね)を、文章の8割だか9割だかはそのままに、随所にゾンビを落とし込むことによって別物に仕上げてしまうという斬新なアイディアなのだ!まあ商業ベースに乗った原作ファックだと思ってもらえれば大体間違いはない。

文章は原作のものをほとんど使っているとの事ですが、そんな印象は欠片も無いほどにゾンビゾンビのゾンビパラダイスさ!主人公たちであるベネット一家も、中国まで言って荒修行をこなしてきたという筋金入りの戦士であり、この世界の価値観もまたいかに戦士であり、ゾンビどもをぶち殺せるかと言うところが尊ばれている。道を歩けばゾンビにあたり、はっきり言って世界終焉は近いんじゃねーの?と言うぐらい最悪な状況なんですが、ゾンビ小説の基本として、ゾンビはあくまでも状況であり、ゾンビが存在する世界で人はいかなる社会を構築しうるのかと言うところまで描いており、たんなるジョーク小説ではない深みを感じるのだ。

まあこの作品の面白さの半分以上は原作のおかげであることは言うまでもないのだが、18世紀のイギリスの田舎における人間の偏見や思い込みによるすれ違いと言う原作のテーマをきちんと活かしつつ、ゾンビはびこる世界を構築しているところはすごいよなあ。読み始めて数十ページもするとゾンビの存在が必要不可欠な物語構成要素に思えてくる。原作を読んだのは何年も前の事のせいか、もうすでに原作がどんな内容だったか思い出せない…。完全に記憶が上書きされてしまった…。ん?人の恋路を邪魔するのはゾンビだったよな?ゾンビが人の偏見を助長するわけですよな?ゾンビなくしてこの恋愛物語は成立しないんじゃないか、と思い始めてきたら、おそらくその人はこの作品の意図の思う壺にはまっていることでしょう。オレのように。

誤解と偏見と勘違いですれ違うカップルのコメディ調な雰囲気と、バタバタとゾンビに食われていく殺伐としたグロテスクさが入り混じった不思議な感触が、なにやら癖になる作品。ヒロインも超強いし(忍者相手に空中戦やったりする)。原作レイプもここに極まりって感じだな。

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