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2010.05.02

『アンシーズ(3) ~刀侠戦姫飛恋録~』

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アンシーズ(3) ~刀侠戦姫飛恋録~』(宮沢周/スーパーダッシュ文庫)を読んだ。

あとがきを読む限りでが一応完結らしきことを書いてあったけど…なんか続きそうな感じもあるな。売り上げか?続編は売り上げの問題なのか?それとも他に理由があるのだろうか。まあどうでもいいが。

一風変わった設定のバトルロイヤルとして面白かったのだけど、とりあえず生徒会長がラスボスとして出張って来てくれたので、なんとか収まりがついたような気がする。そもそも、なんでこのバトルが起こっているの?とか、この空間はなんなの?とか、誰が管理しているの?とか全然何にも明らかにされないまま、とりあえずヒロイン(?)と因縁のある悪い奴をぶちのめしてハッピーエンドだぜ!で締められております。根本的な問題にはほとんど言及せず、か…。まあそこまで突っ込むと3巻で収拾をつけるのは不可能だったろうし、そもそも主人公がとにかく流されやすい(作中でも突っ込まれている)性格なので、現状に適応するだけで、そこから根本的な問題にまでは目が行かないタイプなので、素直に読んでいるとそれほどそちらには読者の目は行かないようになっていたのは、個人的には上手く誤魔化したなあと言う感じ。

その中でミツウさんがただ一人世界の謎と対峙したりしているところを見ると、むしろこの人がメインヒロインなんじゃないかとか思えてくるな。いや、これは単に自分がミツウさんが好きなだけなんだと思うけど。でも、基本的に彼女は主人公一筋なので、世界の謎にアクセスできる高みにまで届きながら、結局、主人公を助けることに尽力してしまうあたりも、作者の手腕が光っていた。確かにミツウさんなら世界の謎なんて漠然としたものよりも、主人公を助けることを選ぶよ。間違いないね。と言うわけで世界の謎はここでも棚上げと言うことに…。

個人的にはね、冒頭の少女二人の会話にはドキリとしたんですよ。お?作品をそっちに持ってちゃうの!?ひょっとしてセカイ系の最先端をいっちゃうの?みたいな。まあ結局ミスリードだったわけだけど…ん?実はそうでもないのかな?あのあたり、どうも不自然なところが多くて(”先輩”の存在とか)、なんかいろいろ示唆的なんですよね。もしかするとあのあたりに世界設定の裏が匂わされているのかも。ちょっと機会があれば読み直してみよう。

最後のクライマックスで絶体絶命に陥った主人公たちが復活して反撃する展開も、お約束といえばお約束なんだけど、きちんと1巻からの伏線を解消する形になっていたのは良いのではないか。理屈を一つつけるだけで、ご都合主義も随分印象が変わるものなんだな、と感心させられてしまった。あるいはミツウさんの介入もあったのかもしれない(ミツウさんの介入範囲はどの程度なのかは、描写されていることを疑ってみるのもいいかもしれない。もしかしたらもっと根本的な”何か”にアクセスしている可能性も…いやさすがにこれは妄想か)。

まあ、ただ現時点で確定しているのは、この世界は「思い込みの世界」だということですよな。ヒカルさんが戦うことが出来た、と言う時点で、そもそもこの世界のルール自体がまやかしの可能性がある(そもそもルールを誰が決めたんだよ、と言う疑問があるがそれを言っていては話が進まない)。そして、彼ら(彼女ら)の主観に基づいて世界が書き換えられている(ここも不思議なところで、世界が書き換えられているから主観も変わっているのか、はっきりしない)。なんかすごく恣意的な世界なんだよな。なので、冒頭の少女たちの会話には、おお!と思ったのだが…ううむ。これはどう考えればいいのだろう…。

で、さっきも書いたけど、一応、悪の親玉の生徒会長は滅びた!俺たちの戦いはこれからだ!で終わりました。うーん…まあ良いんだが。良いんだが、釈然とせんなー。僕が興味を持っていたもののほとんどが放置されてしまった。これは是非第二部、あるいは続編、またはスピンオフ、せめて同一世界の話を書いていただくしかございませんね。いきなり要求してしまったけど、ともあれお疲れ様でした。

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コメント

いつもながら、ここの感想を読んでいて、「シリーズ物の後半で興味を持つ→最初から集める」のパターンがあります(苦笑)

空色パンデミックは話の構造自体がセカイ系の意図を前提化したものでしたが、雰囲気的にはこれなどはその一歩手前、という感じなのでしょうか。
学園異能の荒唐無稽さにそういった要素を入れているのは逆に自然に読めるかなあ、と最近は思っています。ああ、また書店だ(笑)

話はずれてしまうのですが、最近は右のtwitterもたまに覗かせて頂いています。ループ物に関しては最近、丁度考える機会があったので、タイムリーな考察を頂けたことに感謝しております。
ラノベのループ物だと、タイムリープや学校を出よう、ここで興味を持ったサクラダリセット、クイックセーブ~くらいがぱっと思いつくところですが、確かに、と。
ループする過程で選ばれなかった事柄(選択がある意味他者の可能性の殺害であること)について選んでいく話だと最近のアニメ映画のほうのときかけだったりするのですが、こうした視点を重要視する話だとなにがあったかな、とふと考えさせて頂きました。

蛇足の方がえらく長くなってしまって申し訳ありません(苦笑)

投稿: | 2010.05.02 14:02

>雰囲気的にはこれなどはその一歩手前、という感じなのでしょうか。

なんとも言えませんね。その判断が出来る前に物語が閉じてしまいましたので、どうしても想像が多くなります。そうだったらいいなあ、と言う願望だと思っていただければ。

>ついったー

ループとパラレルの話はわりと面白いです。まあ本格的な物語論のように理論的なところまでは持っていけてないんですけど。

で、まあループの特徴と言うのは一回性の喪失と言うところがあって、物語的にはその失われたものに焦点が当たりやすいのではないか、と言う思いつきなんですけどね。

投稿: 吉兆 | 2010.05.02 23:06

ミツウさんが、ミツウさんが!
3巻は、主人公の流されやすさに泣いたなぁ。

投稿: | 2010.09.15 10:08

ミツウさんはちょっと病んでるところがいい。

投稿: 吉兆 | 2010.09.15 22:39

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